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【徹底解説】私立医学部の重複日程の比較と併願戦略

大学図書館で一所懸命勉強している数名の日本人大学生の写真

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私立医学部の一般入試は、毎年1月下旬から2月にかけて全国31校で集中して実施されます。多くの受験生が複数の医学部に出願・併願するため、試験日程の重複がしばしば発生し、入試日程の調整はまるでパズルのように複雑です。ここでは各大学の一次試験日程の傾向と年次変化、併願のしやすさ・しにくさ、試験会場の影響、併願計画を立てる際のポイント、そして受験生と保護者へのアドバイスについて、順を追って丁解説します。

私立医学部入試日程の全体像と重複状況

全国私立医学部の一般入試日程は、大学入学共通テスト終了後の1月下旬から始まり、2月中旬までに一次試験(筆記試験)がほぼ集中します。その後、2月下旬~3月中旬にかけて一部の大学で後期試験が実施されます。日程が集中しているため、複数大学の一次試験日が同日に重なるケースも珍しくありません。以下に、2024~2025年度の主な一次試験日程と重複例を紹介し、その傾向や年次変化を見てみましょう。

以上のように、私立医学部の一次試験日程は年によって少しづつ変更され、それによって他大学との重複関係が変化します。日程の前倒しや重複解消によって志願者数が増減する例もあり、その場合には倍率が変化しますから、毎年度の最新日程情報をチェックすることが大切です。

併願しやすい大学・しにくい大学

併願のしやすさは、ズバリ各大学の一次試験日程が他校と重ならないかどうかにかかっています。試験日が異なれば物理的には全て受験可能ですが、実際には試験科目の特性や地理的要因も絡むため、戦略的な選択が必要です。ここでは「併願しやすい組み合わせ」と「併願しにくい組み合わせ」の典型例を挙げ、受験校選びのポイントを見てみましょう。

以上を踏まえると、併願校選びでは「日程の重複がないこと」を大前提に、さらに各大学の入試科目・難易度の特徴、自分との相性も考慮して取捨選択することが重要です。私立のみを受験する場合、日程的に可能な限り多く受験して合格のチャンスを増やす戦略も有効ですが、体力面・精神面も考慮しながら無理のない計画を立てましょう。

試験会場(東京会場・地方会場)の有無とスケジュールへの影響

私立医学部の一般入試では、多くの大学が複数都市に試験会場を設けています。東京・大阪・名古屋・福岡など主要都市に会場を用意する大学も多く、受験生は本学(大学キャンパス)まで行かずずに自宅から近い会場で一次試験を受けられる場合があります。この試験地の選択肢は併願スケジュールに以下のような影響を及ぼします。

総じて、試験地の選択肢が多いことは併願スケジュール上の利点です。しかし「移動しなくて済む=疲れない」というわけではありません。連戦が続けば自宅から近い会場でも疲労は蓄積します。遠方受験の場合は前泊や休養日を織り交ぜる、近場受験でも油断せず体調管理に努める、といった心構えが必要です。

併願戦略を立てる際に考慮すべきポイント

複数の医学部を併願する場合、スケジュール管理が合否を左右する重要要素となります。以下では、併願プランを練る際にぜひ考慮したいポイントを整理します。第一志望校の優先から合否発表や入学金納付まで、トータルで戦略を立てましょう。

  1. 第一志望の試験日程を最優先する: 併願校を決める上でまず大切なのは、第一志望大学の試験日に他校の試験が重ならないようにすることです。第一志望の一次試験日に他大学を受けて受験できない、という事態は絶対に避けましょう。また第一志望の二次試験日程も念頭に置き、他校の予定と衝突しないよう調整します。第一志望に全力投球できるスケジュールを組むことが合格への近道です。
  2. 移動と体力管理を計画に入れる: 併願スケジュールを立てる際は、地理的な距離と移動時間、受験生の体力面も必ず考慮しましょう。連日異なる都市で受験する計画は机上では可能でも、実際には移動の疲れが集中力を削ぐ恐れがあります。遠方で朝早い試験なら前日入りして宿泊する、試験後は速やかに移動して休息するといった対応が必要です。連戦が続くときこそ睡眠・栄養を十分確保し、試験本番で実力を発揮できるコンディション管理を心がけてください。
  3. 合否発表と入学手続き(入学金納付)のタイミングを把握する: 私立医学部では、一次試験合格発表から数日以内に入学手続き(入学金支払い)を求められるケースが多くあります。そのため、併願校の合格発表日と入学金納付期限が重なった場合にどう対処するか、事前に方針を決めておく必要があります。 たとえば「第二志望の合格発表前に第三志望の入学金納付期限が来たらどうするか」、「繰り上げ合格の連絡待ちの間に他大学の手続きを進めるか」等、想定シナリオごとに家族で意思確認しておきましょう。特に私立医学部特有の繰上げ合格(補欠合格)は、合否連絡の時期が読みにくく計画を難しくします。上位校の合格者が他大学へ流れることで下位校の補欠が繰り上がる玉突き的な構造があり、その年の日程や偏差値動向によって繰上げ発生時期・人数が左右されます。繰上げ合格を待つ間にやむを得ず別大学に入学金を納めるケースも想定し、金銭面・進路面での判断基準をあらかじめ話し合っておくと良いでしょう。
  4. 受験費用の見積もりと予算管理: 私立医学部は1校あたりの受験料が約6万円と高額で、受験校数が増えるほど出願費用は嵩みます。さらに遠征受験では交通費・宿泊費もばかになりません。併願プランを立てる際は、受験にかかる総費用を試算し、経済的負担が無理のない範囲に収まっているか確認しましょう。合格後に複数校の入学金を押さえる場合の費用(各校数十万円ずつ)も念頭に置き、家庭の予算内で計画を組むことが大切です。金銭面の不安を減らすことも精神的な余裕につながります。
  5. 学科試験と面接・小論文対策の両立: 併願校が増えると、それだけ各大学ごとの入試傾向研究や対策範囲も広がります。特に国公立との併願者は共通テストや二次筆記に追われがちですが、私立医学部の問題形式や面接形式も大学ごとに多様であり、油断できません 。MMI(多項目面接)やグループ討論を課す私立大もあります。学科試験対策と並行して、面接や小論文の準備も早めに着手しておくことが望ましいです。一次合格後に焦って準備する余裕はほとんどありません。スケジュールが詰まっている受験生こそ、効率よくポイントを押さえた対策が必要になります。
  6. 柔軟な計画修正と冷静な意思決定: 入試本番が近づくと、出願状況の変化や模試結果によって志望戦略の修正が必要になる場合があります。「やはりこの大学は見送ろう」、「新たに○○大学も併願しよう」といった判断を迫られることもあるでしょう。そんな時は、当初の計画に固執しすぎず柔軟に対応することも大切です。もちろん場当たり的に増やしすぎるのは禁物ですが、受験直前期の学力や精神状態を踏まえて最適な受験校数・併願パターンに調整する冷静さを持ちましょう。迷った場合は信頼できる先生や予備校のアドバイザーに相談し、客観的なアドバイスを得るのも有効です。

受験生と保護者へのアドバイス

最後に、複雑な併願受験を乗り切るための実践的なアドバイスをいくつか述べます。受験生本人だけでなく、保護者の方も一緒にスケジュール管理や情報収集をサポートしてあげてください。

私立医学部の併願受験は、その緻密なスケジュール管理と戦略立案こそが合格への鍵です。試験日程の重複情報を正確に把握し、無理のない受験計画を立ててください。第一志望を軸に据えつつ、併願校それぞれへの対策も抜かりなく進めましょう。受験生と保護者が二人三脚で情報収集とスケジュール調整に取り組めば、きっとベストな受験パフォーマンスが発揮できるはずです。


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