全国の国立大学医学部および公立大学医学部(都道府県立・市立)の6年間に必要な納入金(入学金・授業料・その他諸費用)について、最新の公式情報に基づき調査しました。国公立医学部は「医学部 学費」の面で私立と比べ格段に安く、家庭の経済的負担を大きく軽減できる進路です。本記事では各大学の6年間学費総額や「医学部 安い」ランキング、納入方法や減免制度などについて、受験生・保護者向けにわかりやすく解説します。資金計画の参考にぜひご活用ください。
国立大学医学部の6年間学費一覧
国立大学医学部の学費は文部科学省が定める標準額に基づいており、基本的に全国共通です。入学金28万2,000円、年間授業料53万5,800円が標準額で、6年間合計は約349万6,800円となります。これは他学部と同額であり、医学部だから特別高いわけではありません。以下は主な国立大学医学部の6年間学費総額です。
- 東京大学(医学部) 約4,139,760円(入学金28万2,000円、年額授業料64万2,960円) ※2025年度入学生より授業料20%値上げ
- 千葉大学(医学部) 約4,139,760円(入学金28万2,000円、年額授業料64万2,960円) ※2020年度より値上げ
- 東京医科歯科大学(現・東京科学大学) 約4,139,760円(入学金28万2,000円、年額授業料64万2,960円) ※2020年度より値上げ
- 京都大学(医学部) 約3,496,800円(入学金28万2,000円、年額授業料53万5,800円)
- 大阪大学(医学部) 約3,496,800円(標準額)
- 東北大学(医学部) 約3,496,800円(標準額)
- 九州大学(医学部) 約3,496,800円(標準額)
※上記以外の国立医学部(北海道大、筑波大、名古屋大、神戸大、広島大、鹿児島大 など全国の医学部設置国立大学)は、ほとんどが標準額で6年間総額約349万6,800円です。東京大学・千葉大学・東京医科歯科大学のみ授業料を上限(標準額の120%)まで引き上げており、6年間総額が他より約60~70万円高くなっています。2025年現在、京都大学や大阪大学など多くの国立大は旧水準を維持しています。
公立大学医学部の学費(地元・県内 vs 県外)
公立大学医学部(都道府県立・市立)の学費は各大学が独自に定めており、地域の住民か否かで入学金に差を設けるケースが大半です。授業料は多くが国立標準額に近い年間50~60万円台ですが、入学金は「地元(大学設置自治体内)」「県外」で2倍以上の差がつくこともあります。以下、代表的な公立医学部の6年間学費総額を「自治体内出身者 / 外出身者」で示します(授業料は年額、6年総額は概算)。
- 札幌医科大学(北海道) 約349万6,800円(道内外共通、入学金28万2,000円、年額授業料53万5,800円)※札幌医大は地域による入学金差がなく、公立で唯一国立標準額と同水準。ただし初年度に後援会費20万円の納付あり(6年総額約369万6,800円)。
- 福島県立医科大学 約349万6,800円 / 約406万0,800円(県内282,000円 / 県外846,000円、授業料53万5,800円)
- 横浜市立大学 約357万9,000円 / 約372万0,000円(市内141,000円 / 市外282,000円、授業料57万3,000円) ※横浜市大は初年度に施設設備費(市内15万円、市外20万円)と実習費等が別途必要。それらを含む6年総額は市内約393.9万円、市外約413万円。
- 名古屋市立大学 約344万6,800円 / 約354万6,800円(市内等232,000円 / その他332,000円、授業料53万5,800円)※名古屋市大では入学者本人または親族が1年以上名古屋市在住の場合に入学金減額があります。初年度に後援会費・同窓会費等の徴収約26万円あり。
- 京都府立医科大学 約349万6,800円 / 約370万7,800円(府内282,000円 / 府外493,000円、授業料53万5,800円)
- 大阪公立大学(医学部) 約343万6,800円 / 約359万6,800円(大阪市民とその子22万2,000円 / その他38万2,000円、授業料53万5,800円)※大阪公立大は大阪市立大と府立大の統合に伴い、大阪市民およびその子に入学金減額があります(大阪府民は28万2,000円で据置き、府外は38万2,000円)。
- 奈良県立医科大学 約349万6,800円 / 約401万6,800円(県内282,000円 / 県外802,000円、授業料53万5,800円)
- 和歌山県立医科大学 約349万6,800円 / 約396万6,800円(県内282,000円 / 752,000円、授業料53万5,800円)
このように、公立医学部では入学金の地域差が顕著です。例えば奈良県立医科大・和歌山県立医科大では県外からの入学金が80万円超と、国立標準より大幅に高く設定されています。一方、授業料は国立と同程度に抑えられる傾向で、6年総額も自治体内出身であればほぼ350~360万円程度に収まります(自治体外出身者でも+50~100万円程度)。なお公立大でも初年度に施設費・後援会費・同窓会費など諸費用が別途必要な場合があります。大学公式サイトで事前に確認しましょう。
国公立医学部6年間学費ランキング(安い順)
国公立医学部の6年間学費は私立に比べ幅が小さいものの、大学や出身地域によって若干の違いがあります。以下に国公立医学部(計47大学・82医学科)の6年間納入金総額を安い順にランキング形式でまとめます。
- 1 大阪公立大学(大阪市民枠) – 3,436,800円 (全国最安。市民以外は3,596,800円)
- 2 名古屋市立大学(名古屋市在住枠) – 3,446,800円 (市外は3,546,800円)
- 3 国立大学医学部(多数) – 3,496,800円 (標準額。一部公立大の域内枠も同額)
- 3 京都府立医科大学(府内枠) – 3,496,800円 (府外は3,707,800円)
- 3 奈良県立医科大学(県内枠) – 3,496,800円 (県外は4,016,800円)
- 3 和歌山県立医科大学(県内枠) – 3,496,800円 (県外は3,966,800円)
- 4 横浜市立大学(横浜市民枠) – 3,579,000円 (市外は3,720,000円)
- 5 大阪公立大学(大阪市民以外) – 3,596,800円 (大阪府民含む)
- 6 名古屋市立大学(市外) – 3,546,800円
- 7 横浜市立大学(市外) – 3,720,000円
- 8 京都府立医科大学(府外) – 3,707,800円
- 9 和歌山県立医科大学(県外) – 3,966,800円
- 10 奈良県立医科大学(県外) – 4,016,800円
- 11 福島県立医科大学(県外) – 4,060,800円
- 12 東京大学(医学部) – 約4,139,760円
- 12 千葉大学(医学部) – 約4,139,760円
- 12 東京医科歯科大学 – 約4,139,760円
ご覧のとおり、最も安い国公立医学部は大阪公立大学(大阪市民枠)で6年間約343万円、次いで名古屋市立大学(地元枠)約344万円となっています。多くの国立医学部および公立医学部(地元枠)は約350万円前後で横並びですが、横浜市立大のように授業料がやや高い大学は360~370万円超になります。一方、最も高額なのは東京大学・千葉大学・東京医科歯科大学で約414万円(授業料引上げのため)となっており、一部の公立大県外枠(福島・奈良など約400~406万円)よりも上回っています。
※注: 上記金額は原則「入学金+6年分授業料」の合計です。一部大学では施設設備費・後援会費・同窓会費等が別途必要となり、実際の納入総額は上記より数十万円加算される場合があります。ランキングは目安としてご参照ください。
学費納入方法やサポート制度について
国公立大学の授業料納入は通常、年額を半期ごと2期に分割して支払います(例:4月と10月に各267,900円ずつ)。大学によっては経済的理由により更に細かい分納を認める場合もあります。また、各大学には授業料免除(減免)制度が整備されており、家計困難な学生は所定の申請により審査のうえ全額または半額免除を受けられます。例えば札幌医科大学では真に支弁困難な学生に対し授業料の全額・1/2・1/3免除制度を設けています。東京大学でも授業料値上げに際し、減免対象者の拡大(世帯年収600万円以下は全額免除対象に)など学生支援を強化しています。入学金についても、災害被災世帯や生活保護世帯等を対象に入学料免除・徴収猶予制度が設けられている大学が多いです。
さらに国や自治体、民間団体による奨学金制度も活用できます。日本学生支援機構の無利子・有利子貸与奨学金や、各大学独自の給付奨学金(例:成績優秀者特待、地方自治体医師修学資金など) が充実しています。地域医療枠で入学すれば卒業後一定期間の勤務を条件に学費貸与を受けられるケースもあります。国公立医学部には特待生(学費全額免除入学)の制度はありませんが、その分学費自体が低廉であり、奨学金・ローンによるサポートも得やすくなっています。
まとめ
国公立医学部の6年間学費は約350~360万円が一つの目安で、これは「私立医学部1年分にも満たない」水準です。中でも地元自治体の公立医学部に進学すれば最安で340万円台前半となり、家庭の負担を大きく抑えられます。一方、国公立であっても大学や出身地域によっては400万円台に達する場合もありますので、志望校の最新学費情報を必ず公式サイトで確認してください。学費以外に生活費も考慮しつつ、奨学金や自治体の修学資金制度も積極的に活用して、6年間の医学部生活を経済面から支えていきましょう。
