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【医学部英語】最新テーマ「動物言語学」を攻略する:シジュウカラとベルベットモンキーが教える知性の境界線

国際学会イメージ

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医学部入試の英語長文では、近年「人間特有と思われていた能力が、実は動物にも存在する」というテーマが頻出しています。なかでも「動物言語学(Animal Linguistics)」は、2026年現在、最もエキサイティングな分野の一つです。

なぜ医学部で狙われるのか? それは、「動物言語学」が「脳の進化」「認知機能」「コミュニケーションの神経基盤」という医学・生物学の根幹に関わるからです。

1. 二つの画期的な研究:参照と文法

動物言語学を理解する上で、絶対に避けて通れない二つの種がいます。

ベルベットモンキー(Vervet Monkey):「意味」の起源

ヴェルヴェットモンキー

1980年代、セイファースらによって発表されたベルベットモンキーの研究は、動物コミュニケーションの常識を変えました。彼らは外敵の種類によって異なる警戒音(Alarm calls)」を使い分けます。

シジュウカラ(Great Tit / Japanese Tit):「文法」の発見

シジュウカラ

そして2010年代後半から2026年にかけて、世界を驚かせているのが東京大学の鈴木俊貴准教授らによるシジュウカラの研究です。

シジュウカラは、異なる音を組み合わせて複雑なメッセージを作ります。例えば、「ピーツィ(警戒)」と「ヂヂヂヂ(集まれ)」を組み合わせる際、特定の語順(Syntax)を守らなければ仲間は正しく反応しません。これは、人間以外の動物で「文法」が確認された、まさに歴史的な発見です。

2. 医学部入試・必須キーワード集(動物言語学編)

以下の単語が長文に出現したら、シジュウカラやベルベットモンキーの例を頭に浮かべてください。

英単語意味医学・生物学的背景
Vervet Monkeyベルベットモンキー指示性(Referentiality)の象徴。特定の外来刺激に対する固有の反応を研究する際のモデルケース。
Great Titシジュウカラ統語論(Syntax)研究のフロントランナー。階層的な情報処理能力の進化を議論する際に登場。
Alarm Call警戒音外敵を知らせる音声。生存本能と認知機能が直結したコミュニケーション形態。
Syntax統語論(文法)音を並べるルール。脳内での高度な計算処理(Merge)が必要とされる領域。
Compositionality語彙の結合性複数の要素を合体させて新しい意味を作る能力。人間に特有とされたが、シジュウカラで発見された。
Cognitive Evolution認知進化知能がどのように進化してきたか。言語の獲得プロセスは医学的にも脳機能解明の鍵となる。
Niche生態的地位生物が環境の中で占める役割。言語能力も、その種の生存戦略(ニッチ)に合わせて進化したとされる。
Field Experiment野外実験飼育下ではなく、自然界でスピーカーなどを用いて反応を確かめる手法。鈴木氏らの主要な研究手法。

3. 試験で差がつく「読解のポイント」

医学部の問題文では、しばしば以下のような論理展開がなされます。

  1. 「人間だけが特別」という仮説の提示:言語、特に「文法」は人間にしかない(チョムスキーの理論など)。
  2. ベルベットモンキーによる反証:動物も特定の「単語」のようなものを使っている。
  3. シジュウカラによる決定的な反証:動物も「文法」を操り、情報を組み合わせて理解している。
  4. 結論(医学的展望):言語能力は突発的に人間に現れたのではなく、進化の過程で連続的に発達してきた。この理解は、人間の言語障害や認知症のメカニズムを解明する新しいアプローチになり得る。

最後に:未来の医師として

「鳥の鳴き声なんて医学に関係ない」などと考えてはいけません。脳がどのように情報を処理し、他者と共有するのかというプロセスを理解することは、精神医学や神経内科、さらにはリハビリテーション医学においても非常に重要な視点です。シジュウカラの「文法」や言語能力についての理解を深めることは、脳の神秘を解き明かす第一歩なのです。

以下のリンクは、東京大学の鈴木俊貴准教授が一般向けに発売したシジュウカラの言語についての書籍です。最近はどこの書店でも平積みになって発売されているので、表紙を目にした人がいるかもしれません。

医学部受験だけでなく、言語は人間しか持たないと思ってきた全ての人にとって非常に興味深い書籍です。いま受験している人は忙しくて読む時間がないかもしれませんが、受験が終わった人、まだ受験が少し先の中学生、高校生はぜひお読みください。

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