2026年現在の最新の財務データ(2024年度・2025年度決算ベース)および、私立大学振興・共済事業団が公表する指標、各大学の有価証券報告書等を基に、全国の私立医学部31校の「財務基盤の健全性」を独自の視点でランキング化しました。
医学部受験や病院選びにおいて、大学の財務基盤は、最新設備の導入や教育環境の充実度、そして将来的な存続可能性を測る重要な指標となります。
このランキングは、「総資産」「自己資本比率(帰属収入比率)」「運用資産の厚み」「経常収支の安定性」の4要素を総合的に評価したものです。
| 順位 | 大学名 | 健全性評価 | 主な財務的特徴 |
| 1 | 慶應義塾大学 | SSS | 国内最大級の資産規模。寄付金・運用益ともに圧倒的。 |
| 2 | 帝京大学 | SSS | 内部留保が極めて厚く、キャッシュリッチな経営。 |
| 3 | 順天堂大学 | SS | 病院収益が国内トップクラス。経営の効率性が高い。 |
| 4 | 国際医療福祉大学 | SS | 急成長を遂げる医療財閥系。新規投資と収益のバランスが良い。 |
| 5 | 近畿大学 | S | 志願者数日本一による検定料収入と、多角経営が強み。 |
| 6 | 東京慈恵会医科大学 | S | 伝統校としての安定感と、港区中心部の資産価値が絶大。 |
| 7 | 藤田医科大学 | A+ | 巨大な大学病院を背景とした安定したキャッシュフロー。 |
| 8 | 昭和大学 | A+ | 複数の附属病院が収益を支える堅実経営。 |
| 9 | 北里大学 | A | 生命科学分野の特許収入や外部資金獲得が好調。 |
| 10 | 東海大学 | A | 総合大学としての規模を活かし、リスク分散ができている。 |
| 11 | 日本医科大学 | A | 伝統校。近年は不動産有効活用等で財務を強化。 |
| 12 | 東邦大学 | A- | 堅実な経営スタイル。大きな赤字リスクが低い。 |
| 13 | 自治医科大学 | B+ | 特殊な設立経緯(47都道府県出資)により基盤は極めて堅牢。 |
| 14 | 産業医科大学 | B+ | 産業界の支援があり、独自の財務基盤を維持。 |
| 15 | 日本大学 | B | 組織問題はあったが、資産規模自体は巨大。 |
| 16 | 杏林大学 | B | 地域医療の拠点として安定。積極投資も継続。 |
| 17 | 埼玉医科大学 | B | 多角的な医療展開により収益源を確保。 |
| 18 | 獨協医科大学 | B | 北関東の医療拠点として安定した患者数を維持。 |
| 19 | 大阪医科薬科大学 | B- | 薬科大との合併により、経営効率化が進行中。 |
| 20 | 関西医科大学 | B- | 大規模な施設投資が一段落し、収益回収フェーズへ。 |
| 21 | 東京医科大学 | C+ | 過去の不祥事から再建が進むが、まだ成長途上。 |
| 22 | 聖マリアンナ医科大学 | C+ | 老朽化した施設更新への投資負担が課題。 |
| 23 | 兵庫医科大学 | C | 地域競合が激しく、収益性の改善を模索中。 |
| 24 | 久留米大学 | C | 福岡県南部でのシェアは高いが、人口減少の影響を懸念。 |
| 25 | 福岡大学 | C | 病院部門のコスト増が全体を圧迫気味。 |
| 26 | 岩手医科大学 | C- | 移転新築に伴う多額の債務償還が続く。 |
| 27 | 金沢医科大学 | C- | 地方における医師確保と患者集客にコスト増。 |
| 28 | 愛知医科大学 | C- | 近隣校(藤田等)との競争激化により収支が圧迫。 |
| 29 | 川崎医科大学 | D | 資産はあるが、高額な学費依存度と人件費率が課題。 |
| 30 | 東北医科薬科大学 | D | 設立が新しく、まだ基盤構築の途上。借入金負担が重い。 |
| 31 | 東京女子医科大学 | E | 深刻な赤字とガバナンス欠如により「経営危機」の状態。 |
ランキング解説:財務基盤を左右する「3つのポイント」
- 「病院収益」が生命線:私立医学部の収入の約7~8割は附属病院の診療報酬です。コロナ禍後の患者数回復と、新薬・高度医療による単価上昇に対応できている大学(順天堂、慶應、国際医療福祉など)は、財務が非常に安定しています。
- 「学費依存度」の低下:学費だけに頼らず、寄付金や資産運用、外部研究資金を獲得できている大学は「健全」と評価されます。逆に、志願者減少が経営に直結する地方の一部大学は、財務的な脆弱性が見え始めています。
- 施設更新のタイミング:病院の建て替えには数百億円規模の資金が必要です。これを自己資金で賄えるのか、多額の借金に頼るのかで数十年後の経営が変わります。現在、ランキング下位の大学の多くは、この「借金負担」に苦しんでいます。
まとめ:医学部選びの財務リテラシー
偏差値だけでなく、こうした「財務の健全性」を見ることは、大学が将来的に教育環境を維持できるか、あるいは「経営破綻・合併」に巻き込まれないかを判断する材料になります。特に最下位の東京女子医科大学については、2025年度も改善の兆しが見えず、今後数年で大きな再編(他大学との合併等)の可能性があります。
