医学部入試で「再面接(追加面接)」に呼ばれると、多くの受験生は一瞬で不安になります。
「一回目で何か失敗した?」「もう不合格確定?」と考えがちですが、再面接は必ずしもマイナスではありません。大学側が「もう一段、判断材料を取りたい」と考えたときに発生する手続きであり、制度設計や運営上の都合で行われる場合もあります。
ここで大切なのは、再面接を「罰」や「追試」のように捉えないことです。医学部は、学科試験が高得点でも、医師として必要な基本的資質(説明責任、誠実さ、協調性、倫理観など)が著しく欠けると判断されれば合格になりません。逆に言えば、大学が再面接を行うのは、一回の面接だけでは決めきれない事情があるからです。
目次
再面接・追加面接・二次面接の違い(用語の整理)
呼び方は大学や受験生の間で混在しますが、概ね次のように整理できます。
- 二次面接(制度としての二段階):一次通過者に対して、最終段階として実施
- 追加面接(補完):評価が割れた/確認が必要などの理由で、追加実施
- 再面接(受験生の体感として):同じ受験生がもう一度面接を受ける総称
受験生にとって重要なのは名称よりも、大学が「何を確認したいか」を読み解くことです。
再面接が起こりやすい入試区分(一般/推薦/総合型/地域枠)
再面接は一般選抜でも起こり得ますが、特に起こりやすいのは次のような区分です。
- 推薦・総合型:書類と面接の整合性が評価の中心になりやすい
- 地域枠:将来の従事要件(勤務地・義務年限)への理解確認が必要
- 面接比重が大きい大学:面接評価が合否を左右するため、追加確認が入りやすい
「呼ばれた=不利」とは限らない理由(大学の選抜設計)
再面接は、大学側から見ると「合否を決めるための情報が足りない」状態です。
つまり、少なくとも検討対象に残っている可能性があります。むしろ一回目の面接で誤解が生まれた場合、再面接はそれを修正する機会にもなります。ここを「終わった」と捉えるか、「整合性を示す場」と捉えるかで、当日の受け答えは大きく変わります。
医学部面接で再面接が行われる理由
再面接の背景を理解するには、大学側の「採点と会議の現実」を想像すると分かりやすくなります。医学部は定員が厳密で、合否は必ずどこかで線引きになります。さらに面接は、学科試験ほど機械的に点を付けにくく、評価が割れやすい。そこで大学は、再面接という手段で判断材料を補完します。
理由①:評価が割れている(面接官間で意見が一致しない)
面接は複数名の面接官で行われることが多く、評価が一致しないことがあります。
- ある面接官は「論理的で良い」と評価
- 別の面接官は「具体性がなく薄い」と評価
この割れが会議で解消できないとき、再面接で追加情報を取り、評価の収束を図ることがあります。
理由②:ボーダー帯の最終判断(合否線上の微差を詰める)
合否線付近では、総合点が拮抗します。
このとき大学が見たいのは「加点要素」よりも、減点要素がないか、そして「合格に足る納得感があるか」です。
- 学力は足りているが、動機が薄い
- 動機は良いが、現実理解が甘い
- 小論文は良いが、受け答えが噛み合わない
こうした微差を確認する目的で再面接が組まれることがあります。
理由③:志望理由・将来像の整合性チェック(矛盾/浅さの確認)
医学部面接で最も重い論点の一つが「一貫性」です。たとえば、
- 「地域医療に貢献したい」と言いながら、地域の課題や生活の現実に触れない
- 「研究医志望」と言いながら、研究の話が概念的で、経験や動機が弱い
- 「人の役に立ちたい」から先が深掘りできない
この場合、大学は“落とすため”というより、本当にそう考えているのか/誤解ではないかを見極めるために再面接を行うことがあります。
理由④:提出書類と発言の整合性チェック(活動歴・経歴・時系列)
推薦・総合型では特に、書類と口頭説明のズレが再面接の引き金になり得ます。
- 活動歴の頻度や役割が曖昧
- 調査書の内容と、面接での説明が一致しない
- 時系列が混乱している
医療者は将来、記録と説明責任が求められます。入試段階でも「誠実に説明できるか」は見られています。
理由⑤:医師適性の確認(倫理観・協調性・説明責任)
医学部が確認したいのは「優しそう」かどうかではなく、最低限の職業倫理と対人能力です。
再面接になりやすいのは、次のような気になる反応が出たときです。
- 他責的で、失敗を自分の課題として語れない
- 倫理的テーマ(同意、個人情報、差別、SNS)に対する感度が低い
- チーム医療の視点が弱く、独りよがりに聞こえる
ただし、緊張で誤解されることもあります。だからこそ大学は、再面接で慎重に確認したいと再面接を行う場合があるわけです。
理由⑥:面接形式上の理由(MMI・複数班・短時間評価の補完)
MMIのように短時間で複数ステーションを回る形式では、評価が分散しやすく「確認不足」が起こりやすい。
また面接官班が複数に分かれている場合、評価尺度のズレが生じることもあります。こうした制度的事情で、再面接が補完的に実施されることがあります。
理由⑦:運営上の理由(時間不足・聞き漏れ・体調/交通トラブル対応)
面接運営は「現場」です。時間押し、聞き漏れ、受験生の体調不良、交通事情などが起これば、公平性を担保するために再面接が設定されることもあります。ここは受験生側の落ち度には関係ありません。
再面接になりやすい受験生の特徴(ただし改善可能)
ここからは傾向です。該当しても、準備次第で十分に挽回できます。
特徴①:話は上手いが「具体」がない(根拠・経験が薄い)
抽象的な美談だけだと、深掘りで崩れます。
医学部面接では「具体→結論」の順で語れる人が強いと心得てください。
特徴②:一貫性が弱い(志望理由が場当たり的に見える)
「なぜ医師」「なぜこの大学」「将来どうしたい」の3点がつながらないと、再確認が入ります。
特徴③:受け答えが長い/論点がズレる(質問に正面から答えない)
医学部面接は「会話」です。質問に対して結論が遅い、話が横道に逸れると、評価が割れやすくなります。
特徴④:医療倫理・SNS・個人情報の感度が低い(地雷になりやすい)
現代の医療現場では、個人情報・SNS・同意は「常識」です。ここが甘いと、確認が入る可能性があります。
特徴⑤:再受験・転学・ブランク等の説明が不十分(誤解を招く)
事情そのものが不利というより、説明が曖昧で誤解されるのがリスクです。誠実に、短く、整合性をもって説明できれば問題になりにくいです。
「再面接=不合格フラグ?」よくある誤解を整理する
誤解①:再面接は落とすために呼ぶ → 実際は「判断材料の補完」が多い
大学は最終会議で説明できる合否判断を求めます。再面接は、そのための材料集めです。
誤解②:一回目の失敗が確定した → 誤解の修正チャンスにもなる
面接は相性もあります。再面接で誤解が解けるケースはあります。
誤解③:再面接で盛れば逆転できる → 大事なのは整合性と誠実さ
新しい武勇伝を足すより、一回目との矛盾をなくし、具体性を補うほうが強いです。
再面接に呼ばれたときの対策
対策①:一回目の回答を再現し、矛盾を消す(方向転換はNG)
まずは「一回目に何を言ったか」を可能な限り再現し、軸を固定します。
再面接は確認なので、軸が動くと不利になりやすいと考えてください。
対策②:深掘りされやすい論点を想定し、短く答える練習をする
再面接は確認質問が増えるため、短く答え、必要なら追加する形が有効です。
目安は「結論→理由→具体」で30〜45秒程度。
対策③:医師像・大学志望理由を「具体→結論」で語れるように
- 何を見た(経験)
- 何を学んだ(気づき)
- だから何を目指す(結論)
この骨格があると、深掘りに耐えます。
対策④:地域枠・推薦なら「義務年限/勤務地/キャリア」を現実的に説明する
「貢献したい」だけでは弱い。義務年限や勤務地の現実を理解し、その上での意志を語れると強いです。
対策⑤:態度・所作で損しない(防御的にならない/焦って早口にならない)
再面接で最も起こりがちなのが「焦りで悪化」です。落ち着いた声量、質問を聞き返す勇気、結論から話す意識。これだけで印象は改善します。特に焦って早口で話てしまう受験生は悪印象を与える可能性が高いと考えてください。
再面接で聞かれやすい質問パターン(頻出テーマ)
パターン①:「さっきの話をもう少し具体的に」(具体化要求)
例:その経験で何をし、どんな役割で、どんな変化があったのか。
パターン②:「なぜ本学なのか」(大学固有の理由)
例:教育方針、地域性、カリキュラム、臨床実習、研究環境などへの理解。
パターン③:「医師の厳しさをどう理解しているか」(現実理解)
例:責任、当直、訴訟リスク、チーム医療、燃え尽き等をどう捉えるか。
パターン④:「チーム医療での立ち位置」(協調性・対人)
例:意見が違う相手とどう合意形成するか。
パターン⑤:「倫理・個人情報・SNS」(医療者としての自覚)
例:守秘義務、同意、SNS発信、差別への姿勢など。
まとめ:再面接は「最終確認」。勝負は整合性と具体性
再面接(追加面接)は、大学側が「もう少し判断材料がほしい」と考えたときに行われます。評価割れ、ボーダー確認、整合性チェック、適性確認、形式上・運営上の補完など、理由は多様です。
だからこそ受験生側がやるべきことは明確で、
- ① 一回目と矛盾しない軸を固定し、
- ② 具体を足し、
- ③ 短く誠実に答える。
再面接は落ち着いた人が勝つ場になりやすい。決して焦らず、整合性で勝負しましょう。
