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奈良県立医科大学の欠員補充2次募集の合格者が発表されました

奈良県立医科大学の欠員補充2次募集の合格者が発表されました。

2次募集の倍率は最低でも18.6倍

3月30日に2次募集の合格者が発表されました。募集人員11名のところ、合格者は11名でした。最初の受験番号が7028番、最後の番号が7205番であったことから、205名以上の出願者がいたと推測され、最低でも18.6倍の倍率だったと考えられます。

合格者の共通テスト最低得点率は91%

確認できた受験生の共通テストの得点と合否は、845点(93.9%)で合格。827(91.9%)で合格。819点(91.0%)で合格。817(90.1%)で不合格でした。

国公立医学部では異例の欠員補充2次募集

今年の奈良県立医科大学医学部医学科の一般前期は募集人員22名に対し57名が志願していたのに、3月5日に発表された合格者は12名でした。57名のうち多くが受験したと思われるので、大学は22名の合格者を出すことができたずです。しかし、大学が発表した合格者は12名でした。これにともなって、奈良県立医科大学は国公立大学医学部では異例といえる、欠員補充のための2次募集を実施すると発表しました。

共通テストで85%以上の得点が選抜対象

欠員補充のための2次募集の選抜対象は、出願時点でいずれの国公立大学にも入学手続きを行なっていないこと、そして、共通テスト得点率85%以上を得点していることということでした。小論文と面接試験は実施せず、実質的に共通テストの得点だけで合否判定が行われました。共通テストで85%以上を得点していれば、京大や阪大の医学部に出願できるので、旧帝医学部の志望者で前期試験と後期試験に不合格になった層が、2次募集に出願したようです。

後期試験の不合格者も選抜対象

今回の2次募集の出願日程は、国公立後期試験の合格発表後に設定されていたことから、後期試験で国公立医学部を不合格になった受験生も出願することができたことになります。奈良県立医科大学は後期試験を実施しているので、合格しなかった受験生も2次募集に出願しました。国公立大学医学部の推薦入試、前期入試、後期入試の全てで不合格になっていても、共通テストで85%以上得点していた受験生は、奈良県立医科大学の前期試験の欠員補充2次募集を含めると、計4回国公立医学部を受験するチャンスがあったことになります。

前期試験の志願者は昨年から70%減少

奈良県立医科大学は、昨年度前期入試の募集人員22名のところ、志願者は224 名で、受験者が189名、合格者が22名、入学者が22名でした。ところが、今年、2024年度前期入試では募集人員は前年と同じ22名であったのに対して、志願者は57名でした。前年からは167名減少。70%の志願者を減らしたことになります。大学が目測を誤ったのかもしれません。

志願者が減少した原因は学力試験の廃止

今年の前期入試で奈良県立医科大学が志願者を大きく減らした理由は、学力試験を廃止し、配点100点の小論文試験と面接試験(配点なし)だけにしたことだと考えられます。昨年まで、奈良県立医科大学は、他の国公立医学部と同じように共通テストに加えて、2次試験で英語、数学、理科の学力試験を課していましたが、大きく入試制度を変更したため、受験生に敬遠されたのでないでしょうか。

直前まで志願者が定員の半分以下

前期試験の出願状況を見ていましたが、直前まで募集人員22名のところ志願者が9名で、0.4倍でした。最後の数日で48名が出願し、最終的に志願者は57名、倍率は2.6倍になりました。これは予想でしかありませんが、駆け込みで出願した受験生の大半が、大学が期待していた共通テストの得点率を満たしていなかったのではないでしょうか。

入試制度が変更される初年度の受験を受験生が嫌う理由

受験生が入試制度が変更される初年度の受験を嫌う理由はいくつか挙げられます。

不確実性への不安

新しい入試制度が初めて導入される場合、試験内容や出題形式などが従来のものと異なることが確実です。今回は、小論文試験の形式が分からなかったことで、受験生は不確実性を感じ、十分な準備ができるかどうか不安になり、出願を敬遠したと思われます。

情報不足への不安

新しい入試制度に関する情報が不足している場合、受験生はそれに対する理解や対策が難しくなります。また予備校や高校の先生も、入試制度が変更になる大学へ自信をもって出願させることをためらいます。私が今年指導していた医学部受験生の中で、昨年までなら奈良県立医科大学前期入試への出願をうながす学力をもった受験生を、今年は奈良県立医科大学には出願させませんでした。

過去問の不足

新しい入試制度が初めて導入される場合、過去の試験問題がなく、対策のための情報が不足しています。今回は、奈良県立医科大学に小論文の過去問が存在しなかったため、受験生が過去問を活用して対策することが難しくなり、不安を感じたと思われます。奈良県立医科大学関係者の方に、「小論文は普通の形式になるだろう」というコメントをいただいていましたが、「普通の形式」を予想することが困難であるため対策を断念し、医学部受験生に奈良県立医科大学前期入試への出願をすすめることはありませんでした。

合格基準の変更

新しい入試制度では、合格基準や評価方法が変更される場合があります。これにより、合格するための戦略や準備が従来とは変わってくる可能性があります。そのため、不安や疑問を感じる受験生も多いのだと思われます。実際、合格者が募集人員より下回るという状況を予想することはできませんでした。

本来、このことは医学部受験生に限りません。しかし、何があっても医学部に合格したい、そのためには少しでも合格が確実な大学に出願したい、他学部への出願は検討しない、国公立医学部なら他の地方でも構わないという受験生の多い医学部受験というフィールドであったために、今回のようなことが起こったと言えるかもしれません。

グリットメディカルでは、今年の小論文の問題を入手し、来年の奈良県立医科大学受験生の指導を行います。来年の入試には、今年の過去問が存在しているので、同じようなことが起こる可能性はないと言ってよいでしょう。

参考リンク

令和6年度医学科(前期)欠員補充第2次募集合格者受験番号一覧を掲載しました

令和6年度医学部(医学科)欠員補充第2次募集インターネット出願サイトを開設しました

令和6年度 医学部医学科欠員補充第2次募集(訂正版)の募集要項を掲載しました。

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