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医学部入試における高校時代の欠席日数の影響とは?|30日以上は要注意?欠席が合否に与えるリアルな影響を徹底解説

高校生活での欠席日数は、医学部入試において重要な要素とされています。医学部受験では、学力試験の点数や評定平均ばかりに目が行きがちですが、大学側は調査書に記載された出席状況にも非常に興味を持っています。背景には、「将来医師となる人材として、大学での厳しい学修にきちんと耐えられるか」を見極Sめたいという大学側の意図があります。ここでは、医学部入試における欠席日数の扱いについて丁寧に解説します。国公立大学と私立大学の違い、推薦・AO入試と一般入試での評価の差、「欠席30日以上」が不利と言われる理由、正当な理由による欠席への対応策、実際の合否への影響事例、進路指導の現場での見解、そして欠席が多くても合格するためのポイントまで、客観的な情報と現実的な対策をまとめました。皆さんが不安を解消し、前向きに対策を考えられるようにお話します。

国公立大学と私立大学での欠席日数の扱いの違い

医学部の場合、国公立大学と私立大学で入試の性格や評価基準に違いがあります。一般に、国公立大学は学力試験(共通テストや二次試験)の成績を重視し、私立大学は面接や人物評価の比重が高い傾向にあります。しかし、欠席日数に関しては 「大学ごとに対応が異なる」 というのが実情です。一概に、国公立は気にしなくて私立は厳しいと決めつけられるものではありませんが、ある程度の傾向は見られます。

まず国公立大学では、学力重視の方針から「高校時代の欠席が多少あっても、それだけで不合格にすることは少ない」と言われます。実際、国公立医学部には浪人生や社会人再受験など高校卒業後に年数が経ってから受験するケースも多く、そうした受験生にとって高校の調査書の意味は大きくないので、調査書(出席状況含む)をあまり重視しないことが多いとも指摘されています。「一般入試では高校3年間で30日程度の欠席(年間10日程度)であれば大きな問題視はされないだろう」とも言われています。このため、国公立志望の場合、極端な欠席超過でなければまずは学力試験対策に専念すべきだというのが一般的な進路指導の考えです。

しかし、国公立であってもまったく欠席日数を無視するわけではありません。医学部では全大学で面接試験が課されますが、面接官は提出された出願書類(調査書等)に目を通しています。欠席日数が非常に多ければ、「なぜこんなに休んだのか」はやはり気になるため、間違いなく質問されると考えておいてください。実際にある国立大医学部では、二次試験の集団面接後に欠席日数の多い受験生だけ別室に呼ばれ、大学病院の医師から長期欠席の理由を厳しく問い質されたというケースも報告されています。国公立でも欠席日数が極端に多い場合には詳細な確認が行われることがあるわけです。

一方、私立大学の医学部では、一般入試であっても面接や調査書による人物評価の比重が高い傾向があります。特に医学部はどの大学も面接が必須であり、私立では面接点を合否判定に大きく反映させる大学もあります。そのため、高校時代の欠席が多い受験生には国公立以上に厳しく目を向ける場合があります。「私立医学部では、高校3年時に特別な理由30日もの欠席があるような生徒が二次試験(面接)に合格した例は見たことがない」と述べている長年医学部予備校で教務の仕事に携わってきた人の話を聞いたことがあります。私立医学部の場合、募集人員に対する志願者数も多いため、最終的な人物評価でマイナス要素のある受験生は容赦なくふるい落とす傾向があると言えます。

もっとも、私立大学でも対応は一律ではありません。大学ごとに重視するポイントが異なり、中には欠席日数をそれほど重視しない大学もあります。また大学側の公式見解としては、「過去の学修歴(転校経験や欠席の多さ、病弱だったこと)だけで一概に不利になることはない。丁寧な個人面接を通じて、入学後に必要な学修に耐えうるかどうかを判断する」というフェアーな姿勢を示している大学もあります。実際、国際医療福祉大学医学部(私立)の入試Q&Aでは、「欠席日数が多いこと自体で有利・不利は生じない」と明言されています。このように私立であっても、最終的には面接で本人の資質を見極め、公平に判断することをうたっている大学もあります。

要するに、欠席日数の扱いは大学によって様々です。ただし国公立・私立を問わず、「欠席が非常に多い」場合には何らかの形で注意を払われることは共通しています。国公立は学力重視ゆえに多少の欠席には目をつぶりやすい傾向がありますが、私立は人物重視ゆえに欠席にも敏感だという程度の違いと考えると良いでしょう。どちらの場合も、面接では欠席の多さについて問われるのは当然だことを念頭に置き、準備をしておくことが大切です。

推薦・AO入試と一般入試での評価の違い

高校の欠席日数が評価に影響する度合いは、入試形態(選抜方式)の違いによっても変わります。一般に、学校推薦型選抜(指定校推薦・公募推薦)や総合型選抜(旧AO入試)では、学力試験だけでなく高校での調査書の内容が重視されます。一方、一般選抜(一般入試)では学力試験の成績が最優先されます。ただし、医学部の場合は一般入試でも面接試験が課されるため、完全に欠席日数が無関係とは言えません。それぞれのケースで欠席日数がどう評価されるのか見ていきましょう。

推薦入試(学校推薦型)やAO入試(総合型選抜)では、まず出願資格の段階でハードルがあります。大学や高校によって細かな基準は異なりますが、推薦を狙う場合、「欠席日数が年間で10日以内」などの目安を課していることが多いと言われます。指定校推薦では高校内での選考(いわゆる「校内推薦」)がありますが、その際に欠席が極端に多い生徒は評定平均が高くても選考から外されてしまうことがあります。高校側も「大学に送り出して恥ずかしくない生徒」を推薦したいという判断が働くため、日頃の生活態度(出席状況も含む)まで含めて優秀な生徒が選ばれがちです。実際、「高校3年間で欠席10日以内」が一つのラインとされ、それを超えると指定校推薦は難しいという指導が一般的だという声も聞きます。

公募推薦や総合型選抜でも、大学側が出願要件として欠席日数の上限を明示しているケースがあります。例えば「3年間皆勤が望ましい」「欠席◯日以上の場合は要相談」などといった条件です。要件として明示されていなくても、調査書を点数化して評価する方式の場合、欠席の多さはそれだけでマイナス評価につながります。ある医学医学部予備校の解説では、「年間10日を超える欠席があるとマイナス評価となり、合格の可能性が下がる」という目安が示されています。推薦、AOでは調査書の占める比重が大きいため、欠席日数が多いとそれだけで合否に直結しかねないということです。

一方、一般入試(一般選抜)では基本的に学力試験の結果が最重視されます。大学受験全般で見れば「卒業できれば出席日数は関係ない、実力勝負だ」と思われがちですが、実際には調査書は全員分提出されます。ただし多くの大学の一般入試では、明確に「調査書は参考程度(合否判定には加味しない)」とされていることが多いです。そのため、学科試験の点数さえ突出して良ければ、欠席がある程度多くても合格できる可能性は十分あります。実際、欠席が高校3年時に30日以上あった生徒でも、一浪して一般入試で私立医学部に正規合格できた例もあります。このケースでは私立大の一般試験で欠席日数について特に触れられることもなく合格に至ったとの証言もあり、一般入試ではまず筆記の点数で、文句ない点数を叩き出せば欠席日数は問題にならないともいえます。

しかし、医学部の一般入試では必ず面接が課される点に注意が必要です。筆記試験でトップクラスの成績を取れば多少の欠席は帳消しとも言われますが、それでも面接官が調査書を見て欠席日数が非常に多ければ質問されることは確実と思っておいてください。大学によっては、「調査書も含め総合的に判断する」と募集要項に明記しているところもあります。また筆記試験の点数が合格ボーダー上で拮抗した場合、「日頃真面目に登校していたかどうか」が最終判断材料になる可能性があります。つまり、一般入試でも欠席日数が合否を左右しうるわけです。

近年では、コロナ禍での特例措置として「出席停止・忌引等の日数(主に感染症による出席停止や休校措置日数)は調査書に記載しない」措置もとられました。2020~2021年にオンライン授業等で登校できなかった分については、受験生が不利を被らないよう文部科学省が配慮した経緯があります。このように社会的な事情がある欠席については点数化しない対応も行われています。病気や公的な出席停止措置による欠席は、一般入試ではカウントされないこともあるので、もし該当する場合は調査書や面接でその旨が伝わるようにすると良いでしょう。

一般的に、推薦・AOでは欠席日数がシビアに評価され、一般入試では基本的には学力優先だが状況によっては考慮されると考えてください。推薦やAOを考えている場合は高校在学中から「欠席日数を極力増やさない」ことが重要です。一般入試一本でいく場合でも「どうしても必要な時以外休まない」努力はしておくに越したことはありません。いずれの方式でも医学部入学後には厳しい出席要件が課されます。大学側も「きちんと出席して学べる学生か」を見ている点は共通ですので、欠席日数は少ないほど有利と心得てください。

「欠席日数30日以上」が不利と言われる理由

医学部入試の話題でしばしば出てくるのが、「欠席日数30日以上あると不利だ」という言説です。なぜ30日という数字がクローズアップされるのでしょうか。これは、多くの大学関係者が経験則として「高校3年間で30日を超える欠席は多い」とみなしていることに由来します。3年間で30日ということは年平均10日の欠席です。先述したように、推薦入試などで「年間10日以上の欠席は多い」と判断される目安と一致します。したがって、30日を境に「これ以上だと要注意」という一つの基準になっているわけです。

もっとも、30日というのは厳密な線引きではなく、「おおよそ1か月分以上休んでいる」という感覚的な区切りとも言えます。大学側が重要視するのは数字そのものより「なぜそれだけ休んだのか」、「それは今は克服されているのか」という点です。とはいえ30日を超える欠席があると、面接官や入試担当者の心証として「かなり休んでいるな」という印象を与えるのは事実です。では、その際大学側はどんな懸念を抱くのでしょうか。

健康上の不安

欠席日数が極端に多い場合、まず考えられるのは受験生本人の健康問題です。大学としては、「せっかく医学部に入学しても体調不良で授業や実習についていけなくなり、留年、退学してしまうのでは困る」という懸念を抱きます。さらに将来的に医師になってからも、慢性的に病気がちで入退院を繰り返すようでは職務を全うできません。医学部の授業は講義に加え解剖実習や臨床実習など必修科目が詰まったカリキュラムで、一つも単位を落とせず、遅刻欠席は厳禁という世界です。そのため高校時代に長期欠席歴があると、「体は大丈夫か?医学部のハードな学業について来られるか?」と面接で必ずと言っていいほど問い質されます。実際、決して差別的な意味ではなく、医学科の学生としてやっていける体調かどうかを確認する質問です。

生活態度・協調性への不安

欠席が多いもう一つの理由として考えられるのが、本人の生活態度や精神面の問題です。例えば、「怠け癖があるのではないか」、「責任感に欠けるのではないか」「人間関係のトラブルで不登校気味だったのではないか」など、様々な憶測をまねいてしまうのです。医師という職業は学業成績だけでなく、他者との連携やコミュニケーション能力、責任感が不可欠です。病院では医師同士や看護師等とのチーム医療が当たり前で、患者さんとも向き合わなければなりません。極端に協調性を欠いたり、コミュニケーションに難があったりする人物だと、「将来医師としてやっていけるのか?」という不安材料になります。高校時代の欠席が多すぎると、「普通の学校生活すら送れなかった人」と見なされかねず、面接官によってはネガティブな印象を持つこともありえます。大学によっては面接評価で厳しく減点し、「医師に不向きな人物」と判断された場合はどんなに筆記が良くても合格させない方針の所もあります。

以上のように、「欠席日数30日以上」が問題視されるのは、健康面と人物面の両方で大学側に不安を抱かせる可能性が高まるからです。「30日」という数字自体に厳密な意味があるわけではありません。しかし、それを超える欠席がある場合は特に大学側の疑念を払拭する説明責任が受験生に生じると考えてください。逆に言えば、30日以上休んでいても「健康上の問題は既に解決済み」、「学業への意欲や協調性も十分にある」ことを示せれば合格の可能性が高まります。多くの大学は「欠席の多さ=即不合格」と決めつけるのではなく、あくまで個別の事情を考慮し総合判断するスタンスです。先にも触れた国際医療福祉大学のように、公式に「過去の学修歴だけで有利不利は生じない」と述べている大学もあります。

とはいえ現実問題として、欠席日数が多い受験生はそうでない受験生に比べて不利な立場からスタートするのは否めません。医学部受験生は全国から優秀で勤勉な学生が集まります。欠席ゼロや皆勤という人も珍しくありません。その中で自分だけ30日以上も休んでいるとなれば、理由が何であれハンデを負ってしまうのです。ですから、「欠席が多い=不合格」という短絡的な話ではないものの、「欠席が多い=しっかり対策・説明しないと不利」というのは事実だという認識から面接対策を初めてください。

病気や特別な事情による欠席がある場合の対応策

高校時代の欠席には様々な理由があると思います。長期の病気療養、ケガによる入院、家庭の事情(介護や転居等)、留学やボランティア活動など前向きな理由、あるいはコロナによる出席停止措置など、自分では避けられない事情もたくさんあります。欠席の理由が正当である場合は、大学側も一概にマイナス評価はしません。大切なのは、それをしっかり大学に伝えることです。ここでは、病気や特別な事情で欠席が多くなってしまった場合の具体的な対応策を解説します。

自分の欠席日数を把握すること

国公立でも私立でも医学部を受験しようとする人は、必ず自分の欠席日数を把握してください。高3で調査書が発行される前には事前に、こういう形で調査書を作っているからねと教えてくれる高等学校もありますが、事前に教えてくれない場合には自分から聞きに行きましょう。

調査書の備考欄や出願書類で事情を伝えてもらう

高校から大学へ提出される調査書には、「出欠の記録」の欄とともに備考欄があります。長期欠席の理由が学校側で把握できている場合、担任の先生が備考欄に「○年次に○○の疾病により△日間療養」などと記載してくれます。まずは高校の進路指導の先生や担任に、自分の欠席理由を正確に伝えてください。医師の診断書など公的な証明書があればそれも提出し、調査書上で正当な理由が示されるよう依頼することが大切です。文部科学省も「感染症による出席停止等の扱いで不利益がないように」と指示しており、高校側も正当な欠席は備考に書いてくれます。

診断書や証明書を提出できるなら提出する

出願時に追加書類として診断書等を求められる大学は通常ありませんが、面接時に「必要であれば診断書等を持参」と指示される場合があります。また、こちらから申し出る形で診断書を提出させてもらえるケースもあります。特に病気、ケガで長期欠席した受験生は、主治医に事情を説明して「完治証明」や「経過に関する診断書」を書いてもらうと安心です。それを面接のときに提示できれば、面接官にも現在は健康上問題ないことが伝わります。診断書がなくても、たとえば入院期間の証明や公的な出席停止通知書(学校保健安全法に基づく出席停止期間の通知など)があれば持参しておくと良いでしょう。書類が公式に提出できなくても、手元にエビデンスを持っておけば受け答えに説得力が増します。面接時にエビデンスを提出するタイミングがあれば提出してください。

欠席理由を質問されたら明確かつ誠実に説明

面接試験で欠席日数について聞かれた場合は、できるだけ正直に、そしてはきはきと答えることが重要です。嘘をついて取り繕うのはダメです。経験豊富な面接官には嘘は見抜かれてしまいますし、発覚すれば評価は大幅に下がります。そうならないためにも、欠席の「理由」と「現在は問題が解決していること」をセットで伝えましょう。例えば病気なら、「高2の秋に◯◯という病気で△週間入院治療を受けました。しかしその後完治し、高3以降は体調良好です。」といった言い方です。家庭の事情でも、「◯年時に家族の介護でどうしても休まざるを得ない日が続きました。現在は介護体制も整い、私が頻繁に欠席する必要はなくなっています。」などと説明できます。ポイントは、現在は学業に専念できる環境、健康状態にあることを強調することです。医学部の面接官は医師でもありますから、医学的に合理的な説明をすればちゃんと理解してもらえます。「一定の期間で通院しているが指導の下で問題なく生活できている」状態であれば、その内容を伝えれば大丈夫です。安心してください。

「今は大丈夫」であることを伝える

欠席理由を説明する際には、声のトーンや表情にも気を配りましょう。小声で自信なさげに弁解するより、明るくはきはきと「現在は全く支障ありません」と言い切る方が良い印象を与えます。面接官も「この受験生はもう問題なく大学でやっていける」と安心できるでしょう。特に健康上の理由の場合、医学科の面接官たちは専門家ですから、こちらが萎縮せずに明確に説明すれば誰よりも事情を理解してくれるはずです。

持病や障害がある場合は覚悟も必要

中には、てんかん発作など将来的にも完全には消えない持病を持つ受験生もいるでしょう。このような場合、正直に話して理解を求めるのはもちろんですが、現実問題として医学部合格のハードルは高くなることは覚悟したほうががいいでしょう。実際、ある受験生は高校3年時にてんかんを発症し12日間休んだところ、面接でそのことを細かく聞かれ、とても落ち込んで帰ってたとのことです。しっかり説明しても結局複数の大学に不合格を突き付けられました。医学部の場合、手術中に意識を失う危険があるような持病は深刻に受け止められます。このケースでも、「意識消失を伴うてんかん発作が問題視され、『患者の前で発作が起きたら困るだろう』という判断になったのだろう思われます。ただ、こうした持病がある場合でも全ての大学が一律不合格にするわけではありません。大学ごとの判断になりますので、自分の志望校の過去の受け入れ事例などを調べたり、オープンキャンパス等で相談できる機会を利用してください。また、必要に応じて受験校数を増やす(安全校も含め複数受験する)などリスクヘッジも大切です。どんな事情であれ、「しっかり説明して理解を得る努力をする」ことがまず第一であり、それでも結果が伴わないこともある、という現実も頭に入れながら面接対策をしっかり行ってください。

アピールポイントを用意する

欠席の理由説明だけでなく、自分の長所や医学部で学びたい熱意を強くアピールすることも重要な戦略です。欠席の話題ばかりでは面接全体が消極的な印象になりかねません。例えば病気療養の経験がある人は、「その経験から医師志望がより強くなった」と志望動機につなげるられます。逆境を乗り越えたエピソードとして話せれば、面接官の心に響く自己PRにもなります。課外活動での頑張りやボランティア経験などがあれば積極的に話し、欠席を補って余りある魅力があることを示しましょう。「この生徒は欠席が多いけれど、それ以上に医師としての資質を感じる」と面接官が判断すれば前向きに評価してくれる可能性が高まります。

欠席日数が合否に影響したとされる事例

ここで、実際に「欠席日数」が医学部入試の合否に影響したとされる具体的な事例や体験談をいくつかご紹介します。いずれも例ではありますが、大学側の対応や受験生側の感じ方を知ることで、欠席日数問題への理解が深まるでしょう。

国立大で別室面接を受けた受験生の例

高校3年時に30日以上の欠席があったAさんは、一浪して医学部受験に挑みました。一般入試で私立医学部をいくつか受験した際は、面接で欠席について特に触れられることもなく、ある私立大医学部に合格しました。しかし国立医学部の二次試験では、集団面接後に再度Aさんだけ呼び出されて、大学病院の医師による個人面談を受けました。そこでは高校の長期欠席の理由を厳しい口調で質問されました。「なぜそんなに休んだのか」、「本当にそれだけの理由か」とまるで取調べのように聞かれ、Aさんはとっさに「私立受験で各地を回っていました」と答えました。するとと、さらに「何校受けたのか?」と追及があり、実際は数校だったものの咄嗟に「10校ほどです」と答えると、面接官の教授はメモを取りながら「本当ですか?」と念押ししてきます。Aさんが「はい、本当です。ちなみに高3の二学期までは1日しか欠席していません」と付け加えると、「その1日はなぜ休んだ?」と細部まで質問が及びました。Aさんが「インフルエンザで欠席しました」と答えると、教授は「感染症であれば仕方ないな」と態度を和らげたそうです。実はその教授は感染症の専門医で、納得できる理由だと分かった途端に安心した様子だったとのことでした。結果として、Aさんはその国立大学医学部にも合格を果たしました。後になって振り返ると、「あそこまで確認されたのは驚いたが、逆に言えば納得さえしてもらえれば合格できるとも言える」という感想を持ったそうです。この例は、大学側が本当に心配している点(健康面など)がクリアになれば欠席が多くても合格できることを示しています。同時に、大学ごとに対応が大きく異なることもわかる事例です。

持病による欠席で不合格が連続した例

高校在学中にてんかん発作を起こし、合計12日ほど欠席したBさんは、現役で複数の国公立医学部を受験しました。いずれも一次の学科試験は通過しましたが、面接試験で毎回のように「どうしてこれだけ休んだのか」、「発作は今もあるのか」と詳細に質問されました。Bさんなりに「発作は薬でコントロールできています」、「日常生活に支障はありません」と説明しましたが、面接官からは「手術中に発作が起きたらどうするんだ?」と厳しい指摘も受け、面接後は本当に落ち込んだそうです。結局、Bさんは受験した国公立大学からすべて不合格通知を受け取ることになります。保護者の方は「医学部受験には必ず面接があり、息子はどの大学でも持病のことを細かく聞かれ、しっかり答えても最終的に大学側がどう判断するかは事前にはわかりません。うちの場合にはおそらく持病によって全ての大学に不合格にもらいました」と残念そうに語っています。これについて別の医学部の面接官が分析したところでは、「てんかんの場合、問題なのは欠席日数そのものより発作で意識を失う可能性があることです。医療の現場でそれは致命的なリスクになる。だから大学も慎重にならざるを得ないのではないか」ということでした。Bさんのケースは、継続的な持病がある場合の医学部入試の難しさを物語っています。ただし、Bさんは翌年以降志望校の変更など戦略を練り直し、医学部進学の夢を諦めず私立医学部に合格しました。いずれにせよ、この事例からは「欠席理由が将来的リスクにつながるかどうか」で大学側の対応が変わると考察できます。

欠席日数158日からの逆転合格

高校時代、「怠惰」という言葉がぴったりな生活を送り、3年間の欠席日数合計158日という生徒もいました。部活動や病気などではなく「なんとなく休んだ日」が多かったとのことです。当然現役時は他の学部にも合格できず浪人しました。1浪目は大手予備校に通うも成績は振るわず、2浪目の9月から心機一転して医学部専門の予備校に入り猛勉強を開始。そこから劇的に成績を伸ばし、私立医学部に合格したそうです。このエピソードはある医学部専門予備校の合格体験記として紹介されたものですが、本人いわく「高校時代にサボってしまった反省も込めて、人一倍努力した」とのことでした。面接では当然「なぜ高校でそんなに休んだのか」と聞かれましたが、正直に理由を述べた上で「現在は医学部進学への熱意から生活態度を一新し、主体的に努力しています」と強調したそうです。その誠意が伝わり合格にいたったと考えていると語られていました。これは極端なケースではありますが、欠席日数がどれだけ多くても、努力と伝え方次第で合格のチャンスをつかむことはできるという好例でしょう。ただし158日となると高校3年間の約4分の1を欠席した計算です。これだけ欠席日数を増やしてしまう前に軌道修正するのが望ましいと思います。

これらの事例から明らかなのは、欠席日数自体よりも、背景事情と面接での印象が合否を左右しているということです。ケース1のAさんは欠席が多くとも説明に納得が得られて合格し、ケース2のBさんは欠席日数は12日とそれほど多くなくとも持病のリスクで不合格となり、ケース3のように極端に欠席が多くても猛省と努力でカバーして合格にいたったということです。つまり、欠席日数は合否を決定づける一要因ではあっても、絶対的ではありません。「欠席が多い」というハンデを抱えた受験生は、他の受験生以上に慎重になるべきであり、入念な準備と対策をすることでそのハンデをひっくり返せる可能性はあるということを強調したいと思います。

高校の進路指導現場での見解

高校の先生方は日頃から生徒の進路相談に乗り、大学側の要求や傾向も踏まえて生徒に学業や生活についてアドバイスしています。欠席日数が多い生徒について、進路指導の現場ではどのような見解や指導がされているのでしょうか。

「推薦組」は遅刻欠席厳禁が基本方針

高校内で指定校推薦や医学部推薦を狙う生徒に対して、進路指導の先生は早い段階から「とにかく欠席や遅刻をしないように」と強く指導します。学校長推薦をもらうための校内選考では評定平均だけでなく出席状況も考慮されます。欠席が多いとそれだけで減点対象になるからです。「3年間で欠席10日以内」という目安は多くの高校で共有されており、評定や模試成績が足りていても欠席が多い生徒は推薦候補から外されることがあります。先生方としても、「大学に出して恥ずかしくない生徒」を推薦したいという思いがあるため、日頃から欠席や遅刻の多い生徒には推薦を勧めにくいのが現状です。したがって、医学部に推薦で行きたいという相談を受けた先生はまず「これ以上欠席を増やさないこと」を強く伝えます。そして、やむを得ない事情で休んだ場合は必ず連絡と正当な理由を伝えるように指導します。例えば病気なら医師の診断書や出席停止の証明書を提出し、遅刻早退でも理由を書面で可能な限り書面で残すなど、後から調査書を書く際に困らないように記録を整えるよう助言します。進路指導室では欠席が多い生徒の情報を共有し、「この生徒はこういう理由だから推薦書に一筆添えよう」などと検討することがあるからです。

欠席が多い生徒へのカウンセリング

欠席が増えてきた生徒には、進路指導担当やカウンセラーが声をかける場合があります。「何か困っていることはありませんか」、「体調は大丈夫ですか」など、生徒の置かれた状況を把握しようと努めます。その上で、医学部志を志望している生徒であれば、「このままだと入試で不利になる可能性があると」を正しく伝えます。特に高2の段階で欠席が増えている場合、「高3では心機一転して皆勤を目指そう」「生活リズムを整えよう」と具体的な改善策を一緒に考えてくれる先生が良い先生です。起立性調節障害などで朝起きられず遅刻・欠席が多い生徒には、保健室登校を活用したり、医師と連携して治療・生活改善に取り組んだりといったサポートが行われます。このように高校側も生徒の欠席日数を減らすためにできる限りの支援をします。しかし、最終的には生徒本人の自覚と努力が必要です。「医学部に行きたいなら休んでいてはダメだ」という当たり前に聞こえる助言も、生徒にとっては将来の目標と直結することで場合が強く心に響いてしまう場合があります。ある高校の進路指導の教諭は「欠席が多い生徒にはこのまま医学部を諦めるのはもったいない。まずは残りの高校生活で遅刻と欠席を少なくするように改善してごらんと伝える」とおっしゃるそうです。高校の先生方も、生徒が夢を諦めないよう励ましつつ、しかし現実問題として不利になる点はちゃんと警告するというバランスに苦心されているようです。

一般入試で巻き返す道を示す

欠席が多いために推薦は難しい生徒には、一般入試で勝負する道を示すのも進路指導の役割です。例えば「○○さんの学力なら一般で十分合格可能だから、欠席のことは気にしすぎず学力を伸ばそう」といった声をかける方法です。一方で、「一般入試でも面接はあるから、欠席理由はきちんと説明できるようにしよう」というアドバイスも欠かしません。高校によっては模擬面接の場で先生がわざと「高校時代、欠席が◯日ありますが?」と質問し、生徒に練習させることもあります。「そこで自信のない態度を示したり、嘘をついたりしないよう指導する」とのことで、面接対策まで含めて高校がサポートしてくれるわけです。面接のリハーサルになるため、本番で落ち着いて答えられるようになります。進路の先生は「言いにくいことほど練習しておきなさい。そうすれば本番で動揺しない」とアドバイスしてくれます。これは欠席日数に限らず、家庭環境や高校での評定平均など何でも当てはまる心得ですが、特に欠席が多い場合は重要です。事前に答えを用意し、自分の言葉で本当のことを自信をもって語れるようにしておけば、面接官にも誠意が伝わります。面接官も人間なのです。

欠席日数をことだけを心配しすぎない

生徒によっては欠席が多いことを非常に気にして、「もう医学部なんて無理だ」とふさぎ込んでしまう場合があります。そういう生徒に対して、先生方は「欠席日数だけですべてが決まるわけじゃない」と繰り返し伝えています。実際、「一般入試なら大丈夫」、「サボりでなければ推薦でも望みはある」といった回答をする教員もおり、一度や二度の失敗で自分の夢を諦める必要はないと励まします。無責任な楽観論を吹き込むわけではなく、「理由があるならちゃんと説明しよう」、「もう休まない覚悟を見せよう」と現実的な対策もセットで示します。しかし最終的には「今さら過去は変えられないのだから、くよくよせずに勉強に集中しよう」という前向きなマインドへ導いてくれるのが良い先生です。高校の先生方としても、欠席日数の多さだけで生徒の可能性が閉ざされてしまうのはかわいそうという思いがあります。「ここから先の頑張りで十分挽回できる。まずは目の前のことをやろう」という建設的な指導を心がけているのです。

欠席日数が多くても医学部に合格するためのポイント

ここまで見てきたように、欠席日数が多いことは医学部受験において確かにハンデにはなりますが、合否を絶対的に決定する要因ではありません。実際にハンデを乗り越えて合格した先輩たちがいます。しかし、他の受験生以上に周到な準備と工夫が必要はことは理解してください。最後に、欠席日数が多くても合格を勝ち取るための具体的ポイントを整理してまとめます。

学力で圧倒する

医学部入試では結局のところ学力(試験の点数)が最も重要です。筆記試験で誰よりも高得点を取れれば、面接で多少マイナスがあっても総合点で合格ラインに乗せることができます。欠席日数が多い過去は変えられませんが、未来の試験結果はこれからの努力次第で変えられます。過去は変えられませんが、「絶対に合格圏内の点数を取る」という強い決意で未来を変えることはできるのです。特に一般入試志望者はここが勝負です。推薦やAO志望でも学科試験や共通テストを課す医学部は多いので、最後まで気を抜かず学力向上を目指してください。圧倒的な学力は医学部受験最大の武器であり、面接官の印象も「成績優秀なら多少の欠席は乗り越えてくれるだろう」と好意的になるものです。

調査書を味方につける

出願時に学校から提出される調査書は自分では直接書けませんが、内容に影響を与えることはできます。日頃の授業態度を良くして成績を上げておけば、担任の先生も好意的なことを書いてくれます。先述の通り長期欠席の理由は備考欄に記載してもらえるよう、普段から先生に相談しておくことです。先生と良好なコミュニケーションを取り、「どうしても休まざるを得なかった」事情については理解してもらえる関係を築いておくべきです。「○○は△△の理由で欠席が多かったが、その中でも課題提出など努力を怠らなかった」といった肯定的なコメントを書いてくれるかもしれません。調査書は封印され受験生本人は見られませんが、教師側も生徒の将来のためできる限り配慮して書いてくれるものです。欠席のフォロー説明を調査書に盛り込んでもらうことが第一関門と言えます。

志望理由書・自己PRの充実

AO入試や一部私立大の一般入試では志望理由書の提出が求められます。これら書類は自分自身で作成できる貴重なアピールの場です。欠席について直接書く必要はありませんが、自分の熱意や人となりを存分に伝える内容にしましょう。高校生活で力を入れたこと、医師を志す理由、そのために努力してきたことなどを具体的に書いて、面接官が「この生徒はぜひ欲しい」と思うような文章を目指します。欠席が多い場合、逆に「〇〇の活動に打ち込みすぎて欠席が増えた」などプラス評価につながるエピソードがあれば積極的に盛り込む手もあります。ただし理由によっては言及しない方が良い場合もあるので、そこはグリットメディカルに相談してください。グリットメディカルには経験豊富で有能な小論文・面接の先生がいます。志望理由書や自己PRで自分の長所を強烈にアピールできれば、欠席日数という短所を補って余りあります

面接対策を徹底する

欠席日数が多い受験生にとって面接試験が勝負の場です。ここで納得してもらえれば合格、弁明に失敗すれば不合格です。したがって、念には念をいれて対策します。想定質問としては「欠席が多い理由」は必ず準備し、自分なりの伝え方を練ります。その際は上で述べたように正直さと、現在は問題ないことが強調がポイントです。「なぜ?」と掘り下げられてもしどろもどろになったりしないように、模擬面接を重ねると良いでしょう。何度も口に出して練習することで、聞かれても落ち着いて答えられるようになります。また、欠席の理由だけでなく「医師としての資質」や「志望動機」など他の質問にも備え、どんな話題でもしっかり受け答えできるようにしておきます。欠席の件でマイナスを背負っている分、他の回答でプラス評価を積み上げる意気込みで臨みましょう。面接では人柄や熱意をアピールするチャンスでもあります。笑顔と礼儀を忘れず、ハキハキと受け答えすれば、それだけで印象は良くなります。身だしなみも当然整えて臨んでください。遅刻厳禁なのは言うまでもありませんが、時間より少し早めに行動し、面接官に入室する時からきびきびとした態度を見せれば、「欠席が多いと聞いていたが、しっかりした学生だ」という評価に変わる可能性だってあります。グリットメディカルには、高校1年生で欠席を重ねて、高校を中退して、通信制高校へ転学、猛勉強をしたことは当然ですが、小論文でも面接でも十分に対策を重ねて、受験した私立大学の医学部の二次試験はすべ突破した卒業生がいます。1年間を通して小論文と面接の対策を積み重ねて、一次合格した大学は圧倒的な小論文と面接の力を発揮し、数々の私立大学の合格を勝ち取りました。

大学入学後は大丈夫とアピール

面接や志望理由書で、ぜひ伝えてほしいのが「入学後は万全の態勢で臨む」という決意表明です。「高校時代は高校にも◯◯でご迷惑をおかけしましたが、大学では決して休まず勉学に励むつもりです」といった前向きな宣言をするのも有効です。ただ口で言うだけでなく、「現在は毎朝◯時に起床し体調管理に努めています」、「○年間無遅刻無欠席を続けています(もしくは継続中です)」など、具体的な改善ぶりを示せると説得力が増します。重要なのは、大学側に「この受験生はもう大丈夫だ」と思ってもらうことです。いまはもう大丈夫と意思表示をはっきり行うことで、面接官に安心感を与えることを心掛けるとよいでしょう。

自分を追い込まないメンタル管理

欠席日数が多いことを気にするあまり、「どうせ自分なんて」と卑屈になってしまっては医学部受験を目指して努力している意味がありません。確かにハンデはあります。しかし、それを逆手に取って人一倍頑張る原動力にしてください。過去は変えられなくても未来の努力は無限にできます。学力でぶん殴ればいいんです。医学部合格を志して、医学部に入りたいという強い意志で努力しているなら、決して諦めてはいけません。欠席が多かった先輩たちの中でも、そ投げ出さずに努力を続けた人だけが合格をつかんでいます。面接でも堂々としていることが大切です。むしろ引け目を感じすぎてはいけまんせん。「自分には人に言えない苦労があったが、それを乗り越えてここまで来た」という自信と落ち着きを持って面接に挑んでください。その姿勢はきっと面接官にも伝わるはずです。

欠席日数が多い受験生にとって、医学部受験は不安も大きいかと思います。しかし、ここで述べてきたように、大学側も頭ごなしに門前払いをするわけではないのです。理由を聞いた上で総合的に判断してくれます。大切なのは、大学が懸念するポイントを理解し、それに対してこちらが納得のいく説明や対策を示すことです。日々学力を上げる努力を続けることで、不安な気持ちは少しずつ自信に変えていけます。実力養成と面接対策の両輪で準備を進めれば、必ず道は開けます。高校時代に事情があって欠席が多くなってしまった、医学部志望のみなさんも、どうか自分を過小評価せず前を向いてください。「今は違う」、「医学部で学びたい」という強い思いと行動を示せれば、きっと夢に近づけるはずです。医学部入試が簡単にはわけではありません。しかし、周囲の先生方の協力も仰ぎつつ、自分にできるベストを尽くして頑張ってください。グリットメディカルは努力するみなさんとともにあります。どんなことでもご相談ください。前向きに頑張れるようにお話をさせていただきます。下のLINE登録からぜひお友だち登録いただいて、どんなことでもご相談ください。代表の掛谷拓也がどんな親身にお話させていただきます。


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