20代後半で医学部再受験に挑戦するあなたは、過去の選択への後悔(「もっと早く医学の道に進んでいれば…」)や将来への不安(「自分は合格できるのか」「若い学生についていけるのか」)など、いろいろな思いを抱えていることでしょう。
しかし、そうした過去への後悔や未来への不安に囚われすぎると、肝心の今この瞬間に集中することが難しくなってしまいます。再受験に臨むにあたって最も力を注ぐべきなのは、まさに「今、ここ」での行動なのです。
ここでは、再受験においてコントロールできることとできないことを区別し、「今できる勉強」に集中する大切さをお伝えします。時間は有限で、今この瞬間こそがあなたに与えられた行動のチャンスです。この文章が、忙しい日々を送りながら勉強に励むあなたの心の支えとなればと思ってこの文章を書いています。
目次
コントロールできることとできないことを見極める
再受験の勉強を進めるうえで、まず大事なのは「自分でコントロールできること」と「自分にはコントロールできないこと」を見極めることです。人はとかく、変えられない事柄に心を悩ませてエネルギーを消耗しがちです。しかし、現実問題として自分の力ではどうにもならないことに時間や労力を割いても、成果にはつながりません。
一方で、自分次第で変えられることに集中すれば、限られたリソースであっても最大限の成長や結果を引き出すことが可能です。つまり、限られた時間・労力だからこそ、自分の裁量でどうにかできることにフォーカスすることで、努力の効率を高められるのです。
では、再受験に関して具体的に「コントロールできないこと」と「できること」には何があるでしょうか。
ポイントは、コントロール不能なことに意識を向けすぎず、コントロール可能なことにエネルギーを注ぐということです。年齢や過去の経歴は変えられなくても、「今日これから何をするか」は変えられます。他の受験生がどれだけ勉強していようと、それ自体を変えることはできませんが、「自分が何時間勉強するか」は今日からでも調整できます。合格発表の日にどんな結果になるかは今の時点では分かりませんが、「その日をより良い結果にするために今何をすべきか」を考えて行動に移すことはできます。
- コントロールできないことの例: 年齢やこれまでの経歴など過去の事柄は変えられません。また、試験問題の難易度や他の受験生の状況など外部の要因もあなたには左右できません。さらに合否など将来の結果そのものも、今この場で決定することはできないのです。
- コントロールできることの例: 一方で、今日の時間の使い方や勉強への姿勢は自分で決められます。勉強に何時間取り組みどの科目に注力するかといった努力の方向もあなた次第です。また、生活リズムを整える、勉強環境を工夫するといったことも自分の手で改善できます。さらには、同じ状況でも何を考えどう感じるかは自分の心次第です。悲観よりも前向きな捉え方を選ぶこともあなたのコントロール下にあります。
過去への後悔と未来への不安に囚われない
再受験生にとって、過去への後悔と未来への不安は常に心の中に渦巻きやすいものです。特に20代後半ともなると、「もしあのとき現役で医学部に合格していれば、今頃は…」と過ぎ去った日々を悔やんでしまったり、「自分は他の合格者より出遅れているから、この先医師になっても不利なのではないか」と将来を悲観したりするかもしれません。
しかし、そうした思考に囚われていると、せっかくの現在の時間とエネルギーが削がれてしまいます。過去はもう変えることができず、未来はまだ誰にも分からない。 このシンプルですが揺るぎない事実を、まずは受け入れましょう。過去の出来事をいくら後悔しても、その出来事自体をなかったことにはできません。同様に、未来の心配をいくらしても、それが現実に起こるかどうかは誰にもわかりません。
もちろん、人間ですからときには落ち込んだり不安になったりするでしょう。重要なのは、そうした感情に気づいたら、そっと手放すことです。後悔や不安が頭をもたげてきたら、「今の自分にはどうしようもないことだ」と認識し、一度深呼吸してみてください。そして気持ちを新たに、「では今この瞬間に自分ができることは何だろう?」と自問してみるのです。過去に囚われず未来に怯えず、「今、ここ」に意識を戻す習慣は、再受験という長い挑戦の中であなたの心を支え、努力を継続する助けになります。
「あと1日あったら…」その1日は今日
勉強に励む日々の中で、試験直前になって「あと1日あればもっと勉強できたのに…」と感じた経験はないでしょうか。おそらく多くの受験生が、本番前日にそう思ったことがあるはずです。たった1日、されど1日。 追い込み期になると痛感する「もう1日あれば…」という気持ち。しかし、実はその「もう1日」はまさに今日なのです。
それは、「試験前にもう1日欲しい」とあなたが願うその1日は、まさに“今日”という日だということです。だとすれば、今日という日をどれだけ充実させられるかが、未来の結果を左右するとも言えます。明日の自分が「あのときもっとやっておけばよかった」と嘆くことのないように、今日という貴重な1日を最大限に活用しましょう。
一日の重要性は決して侮れません。1日で大きく状況が変わることもありますし、たとえ目に見える進捗がわずかだったとしても、その積み重ねが試験本番で大きな差を生むことがあります。「あと1日…」と後になって悔やむのではなく、「まだ1日もある。今日これだけできる」と前向きに捉えてください。受験勉強においては、「今日」という一日一日が未来を創るかけがえのないピースなのです。
「今日が人生で一番若い日」という前向きさ
再受験を考える上で、年齢の問題はどうしても気になるものです。特に医学部のように学ぶ年数が長い道では、「今更この歳から挑戦しても遅いのでは」と不安に感じるかもしれません。そんなとき、ぜひ覚えておいていただきたいのが、「今日が人生で一番若い日」というシンプルながら力強い言葉です。
人は日々確実に年を取っていくものです。だからこそ、「今日」という日は残りの人生の中で一番若い日なのです。この考え方は、再受験生の心に前向きな光を灯してくれるでしょう。たしかに現役合格者と比べれば、あなたは何年か遅れているかもしれません。けれど、あなたにとって今がこれからの人生で最も若いのです。もし「もっと若ければ挑戦できたのに…」と感じるなら、それは明日の自分にも同じことが言えてしまいます。どうせ始めるなら一日でも早い方が良い——そう考えれば、今日という日は「遅すぎる日」どころか「これ以上ないほど早いタイミング」だと言えるでしょう。
実際、社会人経験を経て30代で医学部に入学し、その後の努力で立派な医師として活躍している人もいます。ですから、自分の年齢を理由に夢をあきらめる必要はありません。今日という日は、残りの人生の出発点としてこれ以上ない好機です。胸を張って前に進んでください。
忙しさの中でも「今できること」に集中する
20代後半で再受験に挑む人の多くは、仕事や家事、育児、介護など様々な用事と両立しなければならず、思うように勉強時間を確保できないことがあるでしょう。それでも、限られた時間しかないからこそ、今できることに集中する意義が一層際立ちます。
たしかに一日中勉強漬けというわけにはいかず、他の受験生より勉強時間が少ないと感じるかもしれません。しかし、たとえ1日2時間しか取れなくても、その2時間を集中して質の高い勉強にすれば決して無駄にはなりません。大切なのは、「できない時間」を嘆くのではなく「今使える時間」に目を向けることです。
例えば、夜寝る前の1時間しか勉強できないなら、その1時間に全神経を集中しましょう。勉強時間が短い日は、通勤中に用語を暗記する、家事の合間に音声講義を聞くなどの工夫もできます。一方で、仕事や家事に取り組んでいる間は「勉強できない自分」に苛立たず、目の前の作業に集中して効率よく片付けてしまいましょう。日常の用事をてきぱき終わらせれば、その分勉強に使える時間を増やせますし、何より心が乱れずに済みます。
忙しい日々で勉強との両立は大変ですが、メリハリをつけて「今この瞬間」に全集中する姿勢が役立ちます。勉強時間には雑念を脇に置いて勉強だけに没頭し、勉強以外の時間にはその用事にしっかり向き合いましょう。一つひとつ目の前のことに集中し、それを着実にこなしていけば、時間がなくても少しずつ前進できるのです。
マインドフルネスの教えに学ぶ「今ここ」の大切さ
「今この瞬間」に集中することの大切さは、東洋の伝統的な智慧である禅や、現代のマインドフルネスの教えにも通じます。禅の教えでは、過去や未来に心をさまよわせず、目の前の現実と今ここにいる自分に集中することが大切だと説かれます。
禅の修行である坐禅では、姿勢を正し呼吸を整えながら今の自分と向き合います。雑念が浮かんでも追いかけず、呼吸に意識を戻す訓練です。このように心を現在に集中させることは勉強にも応用できます。勉強中に雑念が浮かんできたら、一度深呼吸して再び目の前のテキストに意識を向け直しましょう。今している勉強に心を込めることが、雑念を払い成果を高めるコツです。
また、禅が教える無常観(すべてのものは移ろいゆくという教え)は、今の悩みや苦労も永遠には続かないことを気づかせてくれます。現状は必ず変わり得るからこそ、今の努力が未来を形作るのです。逆に、過ぎ去った時間は二度と戻りません。だから「今」をおろそかにしないことが肝要だと説くのです。
現代のマインドフルネスも禅にルーツを持つ実践法で、今この瞬間の経験に意識を向けるトレーニングです。忙しい再受験生活の中で心が乱れそうになったら、ほんの数分間でも目を閉じて呼吸に意識を集中してみてください。心が現在に戻り、落ち着きを取り戻せるでしょう。その上で改めて「今、自分は何をすべきか」に意識を向け直すのです。こうした心のリセット法を知っておくと、プレッシャーに押しつぶされそうなときやモチベーションが下がったときにも、自分で自分の心を立て直す助けになります。
医学部再受験という道は決して平坦ではないかもしれません。20代後半という節目に差し掛かり、周囲の同年代がそれぞれ違う人生を歩む中で、自分だけが学生に戻る挑戦をすることに不安や孤独を感じることもあるでしょう。しかし、あなたは自分の意思で新たな道に挑もうとしています。それ自体が素晴らしく勇気ある決断です。その決断を実りあるものにするためにも、どうか「今この瞬間」に集中することを忘れないでください。
心が揺れそうになったときは、次のように考えてみてください。
- コントロールできないことに心が乱れたら、「自分には時間の使い方しかコントロールできない」と思い出しましょう。
- 過去を悔やんでしまったら、「今この瞬間に過去は影響を及ぼせない」とそっと手放しましょう。
- 未来が不安になったら、「今日の努力が未来をつくる」と信じて、足元の一歩に目を向けましょう。
そして何より、今日という日を大切にしてください。今日やれることを精一杯やったという積み重ねが、あなたの望む明日をきっと形作ります。
「今日が人生で一番若い日」という言葉の通り、今この瞬間から新しいスタートを切ることができますし、遅すぎることは決してありません。残りの毎日を、自分の夢のために有意義に過ごしましょう。頑張るあなたの努力が、来春大きな花を咲かせることを心から願っています。今日という日を、悔いのないように過ごしてください。どんなことでも、些細なことでもご相談ください。あなたが医学部合格を諦めない限り、私たちはあなたをサポートします。
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