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設立の背景と歴史
ドナルド・マクドナルドハウス(Ronald McDonald House)は、重い病気の子どもとその家族が安心して滞在できる場所を提供するために誕生した「家族のための宿泊施設」です。1974年、アメリカ・フィラデルフィアの小児病院近くに第1号ハウスが誕生しました。
きっかけは、プロアメリカンフットボール選手だった父親が、白血病の娘に付き添う中で「病院に近い家族のための滞在場所が必要だ」と実感したことから始まりました。その思いに賛同した新聞社やマクドナルドの協力により、ハウスは実現。世界中に広がるきっかけとなりました。
日本には2001年に初上陸。国立成育医療研究センターの医師の要請を受け、日本マクドナルドが支援に乗り出し、東京・世田谷区に第1号ハウスが誕生しました。
世界と日本における展開
ドナルド・マクドナルドハウスは、現在世界49の国と地域に約380か所が設置されています。どのハウスも「病院から離れた家庭(Home away from home)」をコンセプトに、病気の子どもと家族が心穏やかに過ごせる環境づくりを行っています。
日本では2024年時点で12か所が稼働中。北海道から九州まで、小児医療の拠点病院の近くに設置されています。世田谷、名古屋、大阪、神戸、福岡など、全国に広がりつつあり、どのハウスも徒歩圏内に病院があるため、急変時にもすぐ駆け付けられる安心感があります。
日本のドナルド・マクドナルド・ハウス一覧
ドナルド・マクドナルド・ハウスは、日本全国に以下の12ヵ所があります。
- さっぽろハウス(北海道札幌市)北海道立子ども総合医療・療育センターに隣接
- せんだいハウス(宮城県仙台市)宮城県立こども病院に隣接
- とちぎハウス(栃木県下野市) 自治医科大学附属病院に隣接
- さいたまハウス(埼玉県さいたま市) 埼玉県立小児医療センターに隣接
- せたがやハウス(東京都世田谷区) 国立成育医療研究センターに隣接
- ふちゅうハウス(東京都府中市) 榊原記念病院に隣接
- 東大ハウス(東京都文京区)東京大学医学部附属病院に隣接
- なごやハウス(愛知県名古屋市)名古屋大学医学部附属病院に隣接
- にいがたハウス(新潟県新潟市)新潟大学医歯学総合病院に隣接
- おおさか健都ハウス(大阪府吹田市)国立循環器病研究センターに隣接
- 神戸ハウス(兵庫県神戸市)兵庫県立こども病院に隣接
- ふくおかハウス(福岡県福岡市)福岡市立こども病院に隣接
運営方法と支援のしくみ
ハウスは、公益財団法人ドナルド・マクドナルド・ハウス・チャリティーズ・ジャパンによって運営されています。特徴的なのは、運営資金のすべてを「寄付と募金」でまかなっている点です。マクドナルド店舗に設置された募金箱や、チャリティイベント「青いマックの日(マックハッピーデー)」などを通じて広く支援を募っています。
また、全国に約2,000人ものボランティアが登録されており、清掃・受付・食事準備・交流会の企画など、さまざまな形で施設運営を支えています。彼らの力があるからこそ、ハウスは日々安定した運営が可能となっています。
利用できる人・条件・費用
ドナルド・マクドナルドハウスを利用できるのは、20歳未満の患者と、その家族です。入院または通院している提携病院の主治医を通して予約を行い、空室があれば利用可能となります。
1家族につき1部屋が割り当てられ、最大で家族数名が滞在できます。宿泊費は1人1泊1,000円(税込)。患者本人の宿泊費は無料です。キッチン、ランドリー、共有リビングなどの設備が整っており、自宅のようにリラックスして過ごすことができます。
滞在中は、家族同士の交流も大きな支えになります。同じ境遇の家族と話すことができる環境は、精神的な安心感につながります。
寄付・ボランティアでの支援方法
ドナルド・マクドナルドハウスを支えるには、一般の人々の協力が欠かせません。主な方法は以下の2つです。
1. 寄付をする
- ウェブサイトや各ハウス窓口で寄付受付
- マクドナルド店舗の募金箱へ募金
- ハッピーセット購入による間接支援
- クラウドファンディングによるオンライン支援
寄付金は税控除の対象となる場合があり、感謝状や活動報告書が届くこともあります。
2. ボランティアとして参加
- 高校生以上なら誰でも参加可能
- 清掃、調理補助、受付、イベントサポートなど多彩な活動内容
- 自分の特技を活かした参加も歓迎(語学・絵本読み聞かせ・料理など)
まずは最寄りのハウスや公式ホームページから申し込みましょう。
京都に誕生予定のドナルド・マクドナルドハウス
京都には、2026年秋に国内14か所目となる「京都ハウス」が誕生予定です。全国で初めて、2つの大学病院(京都府立医科大学附属病院と京都大学医学部附属病院)を支援対象とするハウスです。
建設地は上京区、賀茂川沿いの元・了徳寺跡地。地元の真宗大谷派が公益目的で無償提供した敷地に、3階建て・18部屋を備えたハウスが建設される計画です。両病院のちょうど中間に位置し、自然豊かな落ち着いた環境も魅力です。
建設費用は約8億円で、半額をチャリティーズ本部、残りを地域の寄付で賄う予定。現在、京都府知事や病院長、企業経営者らが中心となって募金委員会を立ち上げ、地元を挙げて支援が広がっています。クラウドファンディングも行われており、京都から全国に支援の輪が広がっています。
ドナルド・マクドナルドハウスは、病気の子どもとその家族を「宿泊」という形で支えています。それは、ただの施設ではなく、「もう一つの我が家」として、安心と安らぎを届ける存在です。京都に誕生する新しいハウスも、また多くの命を支える希望の拠点となるでしょう。あなたもぜひ、できる形で支援の輪に加わってみてください。