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【2025年最新版】私立医科大学の名称変更一覧|変更の背景・影響・今後の動きも徹底解説!

東北医科薬科大学(旧:東北薬科大学)

名称変更前後・時期

東北薬科大学は2016年4月1日に医学部医学科を新設し、それに伴い校名を「東北医科薬科大学」へ変更しました 。これは日本で37年ぶりの医学部新設であり、東北薬科大学附属病院も「東北医科薬科大学病院」に改称されています 。

名称変更の理由

東日本大震災後の東北地方における医師不足の解消と地域医療への貢献が大きな目的でした。東北地方の地域医療を支える幅広い診療能力を持った医師の育成という使命のもと、新医学部を設置し、それに見合う大学名に改めたものです 。大学側も「東北地方の医療に貢献することを使命」と掲げ、新たなスタートを切る決意を示しています 。

名称変更による影響

入試倍率・志願者数

医学部新設初年度には募集定員100名に対し志願者数約2,458名(受験者数約2,000名超)を集めました 。その後も志願者は安定しており、例えば2023年度は志願者1,733名(前年1,791名)でやや減少傾向ながら依然高い関心を維持しています 。地域枠入試も導入されていますが、学費を国公立並みに抑えた特別枠の存在もあり応募者層の裾野は広く保たれています 。

偏差値の動向

首都圏の難関私立医学部と比べると偏差値はやや抑えめですが、地域枠(将来の勤務地を制限する代わりに学費減免などがある枠)以外の一般枠では一定の水準を維持しています 。学費負担の軽減策により、一般に勤務地拘束を嫌う受験生にも受け入れられ、偏差値の極端な低下は避けられているケースと言えます 。

評判・ブランドイメージ

東北の復興支援策として誕生した医学部であり、地域医療に貢献する大学との評価が定着しています。東北6県や宮城県からの支援・期待も大きく、大学名に「医科」が入ったことで地域の人々にも医学教育機関であることが直截に伝わりやすくなりました。東北医科薬科大学の設立自体が被災地の医療復興の象徴と捉えられ、東北地方でのブランドイメージ向上につながっています 。

医師国家試験合格率

第1期生は2022年に卒業し、第116回医師国家試験で新卒合格率96.8%(93名中90名合格)を記録、第2期生では受験者95名中94名合格と98%以上の高水準でした 。これは全国平均を上回る成績であり、創設間もない医学部として教育体制の充実ぶりを示しています。


藤田医科大学(旧:藤田保健衛生大学)

名称変更前後・時期

藤田保健衛生大学は開学50周年となる2018年(平成30年)に校名を「藤田医科大学」へ変更しました 。正式な変更日は2018年10月10日で、日本語名称のみ改め、英語名は従来通り Fujita Health University を継続使用しています 。

名称変更の理由

大学側の発表によれば、「高度な医学・医療の拠点であるとの認識を得やすい名称」を掲げることでブランド力向上を図るためとされています 。18歳人口の減少や大学間競争の激化に備え、医学部主体の大学であることを明確に打ち出すことで社会からの認知度を高め、次の半世紀に向けた医学・医療イノベーションへの意欲を示す狙いがありました 。

名称変更による影響

入試倍率・志願者数

校名変更後、藤田医科大学医学部は入試問題の難易度を引き上げる戦略を取り、難関化しました 。その結果、高度な学力を持つ受験生の志望が増え、近年では志願者数も微増傾向です(2024年度は前年よりわずかに志願者増) 。入試日程を他大学と重ならない日に移すなど工夫も凝らし、国公立大志望者層の取り込みにも成功しつつあります 。

偏差値の動向

入試難易度の上昇に伴い偏差値も上昇傾向を示しました 。藤田医科大学の偏差値は現在私立医学部で上位グループに入る64.5程度となっており、近畿大学や兵庫医科大学と並ぶ中部・西日本の上位校として位置づけられます 。これは校名変更前(偏差値低~中位)からの押し上げであり、大学の努力が難易度ランキングにも反映されています。

評判・ブランドイメージ

「藤田医科大学」への改称により、“医科系総合大学”としてのブランド力が向上したとの評価があります。実際、藤田は世界大学ランキング(THE世界大学ランキング)で私立大学中日本最高位にランクされるなど対外評価も高まりつつあり 、名称変更は知名度アップに寄与しました。また、難関国公立医学部志望者にも選択肢に入る大学となりつつあり、受験生や教育関係者からの評価も上昇しています 。

医師国家試験合格率

従来より藤田は国家試験対策に定評があり、名称変更後もその水準は高位安定しています。直近の第119回医師国家試験(2025年)では新卒107名中104名合格(新卒合格率98.1%)と非常に高い成績を収めており 、例年おおむね95~98%前後の合格率を維持しています。合格率の高さから見ても、名称変更による教育内容の強化・ブランド向上が良い成果をもたらしていると言えるでしょう。


大阪医科薬科大学(旧:大阪医科大学+大阪薬科大学)

名称変更前後・時期

大阪医科大学は2021年4月1日付で大阪薬科大学との統合を行い、新校名「大阪医科薬科大学」となりました 。両大学を運営していた学校法人は統合に先立ち2016年に合併しており、文部科学省への申請を経て令和3年度に正式に統合・改称しています 。

名称変更(統合)の理由

少子化による18歳人口減少を見据え、医療系人材養成の質を高めつつ経営基盤を強化するための統合でした。医学・薬学・看護学の連携による先進的医療人育成(チーム医療教育の強化)や、国内有数の医系総合大学の創生を掲げています 。要するに、単科医大と単科薬大が合わさることで「医薬連携」を深化させつつ組織の独自性を高め、競争力あるブランドを構築する狙いがあったと報じられています 。

名称変更による影響

入試倍率・志願者数

統合後も医学部入試の人気と難易度は非常に高く維持されています。大阪医科薬科大学医学部は関西圏私立医学部の最上位グループの一つであり、偏差値帯68.0~68.5の難関校です 。2024年度入試では関西医科大学との日程重複の影響で合格者の学力水準が例年よりやや下がった可能性が指摘されていますが 、それでも依然として全国的に見ても上位層の受験生が集まる状況です。志願者数も改称前から安定して多く、毎年数千人規模の受験生を集めています(※具体的数字は年度によるが引き続き高倍率)。

偏差値の動向

前述の通り偏差値は統合前から高水準で、統合後もそれを維持しています。大阪医科薬科大医学部は私立医学部偏差値ランキングで概ね5位~9位前後に位置し 、旧大阪医大時代と比べてもブランド力低下は見られません。むしろ、薬学部・看護学部を擁する総合医療大学となったことで、「医薬看護の連携教育」が魅力となり、更なる志願者層の拡大も期待されています。

評判・ブランドイメージ

統合により「医学部+薬学部+看護学部」を有する医療系総合大学が誕生したことで、大学全体のプレゼンスが向上しました。名称にも医科・薬科の両方が含まれ、医療系総合大学としての独自性が明確化されています 。関西有数の伝統ある私立医大だった大阪医科大学に、大阪薬科大学の歴史と実績が加わったことで研究・教育面でのシナジー効果も期待され、医学部単独だった頃以上に「総合力のある医療人養成校」として評価されつつあります。

医師国家試験合格率

医学部の国家試験合格率は従前から全国平均を上回る水準で安定しており、統合後も変わりません。直近では新卒合格率97.0%(第119回試験)を記録しており 、統合前年の大阪医科大学時代(新卒合格率97~98%程度)とほぼ同様の高い合格率です。看護学部・薬学部との連携により基礎教育の充実や刺激がさらに期待できるため、今後も高水準の合格率を維持すると見込まれます。


兵庫医科大学(兵庫医療大学との統合)

名称変更前後・時期

兵庫医科大学は2022年4月、同じ学校法人傘下の兵庫医療大学と統合しました 。統合後の大学名称は従来通り「兵庫医科大学」を継続使用しています が、兵庫医療大学が有していた薬学部・看護学部・リハビリテーション学部の3学部(大学院3研究科含む)を兵庫医科大学に吸収し、医学部・薬学部・看護学部・リハビリテーション学部からなる医療総合大学へ発展しています 。

名称変更(統合)の理由

創立50周年を迎える節目に行われた統合で、目的は「質の高い医師・医療職者の養成のため教育研究体制の充実」「法人運営・組織体制の強化」「『医療総合大学』としての認知度・評価の向上」などと説明されています 。医学・薬学・看護・リハの各分野を一体化し、学際的かつ実践的な医療人教育(チーム医療教育)をより緊密に行う必要性から統合に踏み切ったとされています 。少子化時代を見据えた経営基盤強化とブランド向上の意図もあり、名称はそのままながら実質的に大学規模・機能を拡大する決断でした。

名称変更による影響

入試倍率・志願者数

兵庫医科大学医学部の入試難易度・倍率は統合前後で大きな変化はありません。もともと同大学医学部は関西圏の私立医学部では中堅上位に位置し、高倍率を維持していました。偏差値帯は64.5程度で、藤田医科大や近畿大医学部と並ぶ地方上位校として安定しています 。統合により薬・看護・リハ志望者層との相乗効果で知名度が上がった可能性はありますが、医学部志願者数は従前から一定数確保できており、大幅な増減は報じられていません(志願者は毎年およそ1,000~1,500名規模と推察されます)。

偏差値の動向

偏差値についても統合による急激な変動は見られません。医学部単独時代からの教育水準を維持しており、統合後も偏差値ランキングにおける兵庫医科大学医学部のポジション(私立医学部中15~20位前後)は概ね不変です。ただし、学部再編に伴い将来的に他学部との連携プログラムなど新たな魅力が打ち出されれば、受験難易度に影響を与える可能性もあります。

評判・ブランドイメージ

統合により兵庫医科大学は「関西有数の医療総合大学」となり 、地域での認知度が向上しました。元来、兵庫医科大学は西宮市に本部・附属病院を置き地域医療に貢献してきましたが、神戸ポートアイランドの兵庫医療大学キャンパス等を取り込んだことで、キャンパスは西宮・神戸・篠山の3拠点体制となりました 。これにより県内外から幅広い医療系人材を育成する大学としてブランドイメージが強化されています。「医科大学」の名称に薬・看護・リハの分野が内包された形ではありますが、逆に「医科大学」の看板のもとで他の医療職種も学べる点は特色となり、医療界からの評価も高まりつつあります。

医師国家試験合格率

医学部の国家試験合格率は全国でも最高水準です。第119回医師国家試験(2025年)では新卒109名中108名合格で**99.1%**というほぼ満点に近い合格率を達成しており 、統合前後で見ても毎年95~100%前後(しばしば全国トップクラス)の結果を残しています。これは統合による教育環境拡充があっても医学部教育の質が全く揺らいでいないことを示し、むしろ他学部との協働により今後も安定した高合格率が期待されます。


昭和医科大学(現:昭和大学)【名称変更予定】

名称変更前後・時期

医学部・歯学部・薬学部・保健医療学部を擁する昭和大学は、2025年(令和7年)4月1日付で校名を「昭和医科大学」に変更することを決定・公表しています 。昭和大学は1928年に昭和医学専門学校として創立後、戦後一時「昭和医科大学」と称し、1964年に薬学部設置を機に「昭和大学」に改称した経緯があります。約60年ぶりに再び「医科大学」の名を冠することになり、2028年の創立100周年を見据えたブランド戦略の一環です 。

名称変更の理由

4学部を有する医系総合大学であることを校名からも明確に発信し、社会に貢献できる優れた医療人を育成する大学としてさらなる発展を目指すためと公式発表されています 。要するに、「昭和大学」という一般名称では伝わりにくかった医系大学としての性格を、「昭和医科大学」という名称で直接アピールする狙いです 。これにより市場でのブランド価値向上と知名度アップを図ると同時に、日本一の医系総合大学への飛躍を目指すとされています 。

名称変更による影響(見込み)

入試倍率・偏差値

昭和大学医学部は従来から東京の私立医学部で上位の難易度を誇り、東京医科大学・東邦大学と並ぶグループに位置しています (偏差値はおよそ67前後)。名称変更によって入試難易度そのものが変化することはなく、教育課程にも変更は生じないと案内されています 。したがって、入試倍率や偏差値については今後も現在の水準(志願者数毎年2000名規模、倍率約20倍前後)を維持すると見込まれます。むしろ「医科大学」となることで医療志望の受験生にアピールしやすくなり、将来的にはさらなる志願者増加につながる可能性もあります。

志願者数の動向

昭和大学医学部の志願者数はここ数年概ね安定して高水準です。2024年度は志願者数1,961名、倍率約20倍でしたが、名称変更後の知名度向上で若干の志願者増加も期待されます(正式改称は2025年度入試以降に影響)。もっとも、首都圏の医学部人気や定員動向の影響もあるため、他大学との相対的な魅力次第で志願者数が増減する可能性はあります。ただ、校名から「医科」が明示されることで受験生や保護者に医療系総合大学との印象を強く与えられるため、広報効果はプラスに働くでしょう。

評判・ブランドイメージ

学内外の評判としては、「昭和医科大学」への改称は大学OBや医療業界から概ね歓迎されているようです。元来、昭和大学は伝統ある医科系大学でしたが、名称上それが伝わりにくい面もありました。改称により医科大学」ブランドが復活することで、「医の昭和」の知名度が一段と高まると期待されます。大学側も「日本一の医系総合大学として発展していく」決意を表明しており 、100周年に向けて川崎市に新キャンパスを開設する計画(2027年4月予定)など教育・研究環境の強化策も進行中です 。こうした動きも含め、ブランドイメージの向上と次世代への発展が図られるでしょう。

医師国家試験合格率

昭和大学医学部の国家試験合格率は例年90~95%台で推移し、高い水準です。直近では第118回試験(2024年)で新卒95.3% を記録しています(ただし119回では90.3%とやや低下 しましたが、全体的な傾向として高めです)。名称変更自体が合格率に直接影響を与えることはありませんが、大学側は引き続き国家試験対策に万全を期すとしています。むしろ改称による士気の向上や優秀な学生の増加が間接的に合格率を押し上げる可能性もあります。いずれにせよ、昭和医科大学となった後も高い国家試験合格実績を維持していくことが予想されます 。


各大学とも、公式発表や報道に見るように統合による組織強化ブランド戦略上の改称が行われており、その結果として入試難易度や志願者動向にも変化が現れています。また、名称変更後も医師国家試験の合格率など教育成果は概ね良好に推移しており 、改称が大学の求心力・発信力を高める一助となったことがうかがえます。今後も昭和大学(昭和医科大学への改称予定)をはじめ、必要に応じて名称を見直す動きが続く可能性がありますが、その背景には学部新設への対応大学統合競争環境下でのブランド刷新といった共通のテーマが存在しています 。以上のように、この10年間で名称変更を遂げた私立医科大学は、それぞれの目的を達成しつつあり、その動向は受験生や教育関係者にとっても大きな関心事となっています。


参考資料

  • 東北医科薬科大学公式サイト「大学紹介(沿革)」
  • 藤田医科大学公式発表「大学名称の変更について」
  • 大学ジャーナルオンライン「昭和大学が昭和医科大学に校名変更」
  • 文部科学省「大学名等の変更届出一覧」
  • 医学部予備校メルリックス学院ブログ記事
  • 医師国家試験合格状況データ(厚生労働省ウェブサイト)

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