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医学部定員は今後減少へ|競争激化前に“早く医師になる”という選択のすすめ

日本の医学部入試は現在、大きな転換期を迎えています。

政府は将来的な「医師過剰時代」を見据えて医学部の入学定員数を縮小する方針を打ち出しており、それに伴って入試競争の厳しさも増すと予想されています。

ここでは、医学部定員減少の背景と最新動向、それが医学部入試の難易度に与える影響、そして医学部入試2025以降でなぜ「早めの合格」が重要視されるのかを解説します。また、個別指導・個別カリキュラムによる戦略的な受験準備が、激化する競争を勝ち抜く鍵であることも考察します。

医師過剰時代と医学部定員削減の背景

政府が医学部定員の削減に踏み切る背景には、人口構造の変化による将来的な医師需要の減少予測があります。2025年にはいわゆる「2025年問題」として高齢者人口がピークを迎え、今後10年間は医療需要が非常に高まるとされています。

しかしその後は少子化による人口減少に転じ、2027年度に入学する学生が医師になる2030年代頃には医師数が供給過多になると国は見込んでいるのです。

厚生労働省の推計によれば、現在は「18歳の約116人に1人」が医学部に進学していますが、このまま定員を減らさない場合、2050年には「約85人に1人」が医学部に進学する計算になり、将来的に医師が余る可能性が高いと指摘されています。こうした予測を踏まえ、国は医学部の入学定員を段階的に削減する方針を固めました。

もっとも、日本の医師数を国際的に見ると人口1000人あたり2.4人(2019年時点)とOECD加盟国平均の3.5人を大きく下回り、加盟36か国中ワースト5位というデータもあります。地域偏在や診療科偏在の問題も依然残っており、「本当に医師が過剰と言えるのか」という議論はあります。

しかし政府としては、医師養成には1人あたり約1億円の巨額の費用がかかることや、医師が増えすぎると医療費の増大や医師の将来の雇用不安にもつながりかねないことから、医師数の適正化に舵を切った形です。そのため、医学部定員については「必要以上に増やさず、将来的には抑制する」政策が取られ始めています。

医学部入学定員の推移と最新動向

1980年代前半に約8,280人(昭和56~59年度)でピークだった入学定員は、2000年代半ばに約7,625人(平成15~19年度)まで削減されました。

その後2008年度以降の臨時定員増で再び増加に転じ、2020年代前半には過去最大規模の9,400人前後で推移している。政府方針により令和7年度(2025年度)以降、定員数は減少傾向に転じる見通しです。

戦後から2000年代まで、医学部定員数は国の需給計画によって増減を繰り返してきました。

1970年代には「無医大県解消」の名のもとに医学部新設が相次ぎ、1981年までに全国で入学定員は約8,280人に達してピークを迎えました。しかし「医師過剰」を懸念する声から1982年に定員抑制へ転じ、2003~2007年度には定員約7,625人まで削減されています。

その後、地域医療の担い手不足や産科・小児科医不足が社会問題化し、2008年度以降は臨時定員増(地域枠の新設等)によって再び定員増加に舵が切られました。2010年代には毎年のように定員が拡大し、2017年度以降はおおむね9,300~9,400人台という過去最大規模で推移しています。実際、2022年度の医学部総定員は9,374人、2023年度は9,384人と高止まりしていました。

しかし、前述の将来予測を受けて国は増員を止め、いよいよ縮小へ動き始めました。

2025年度の医学部総定員は9,393人と、前年度より10人減少しています。この削減幅自体はわずかですが、今後の方針として「2024年度の定員(約9,403人)を上限にそれ以上増やさない」ことが確認されており、2026年度以降は本格的に段階的な定員漸減(適正化)が進められる予定です。

実際、厚労省の有識者検討会では「2027年度から地域枠など臨時定員を縮小し始める」との方向性が示されました。2025年度時点でも、臨時定員(地域枠等)の総数は975人と前年から10人削減されており、特に東京・大阪など医師過剰地域の大学では臨時定員を2割削減する一方、群馬や新潟など医師不足地域では臨時定員を若干増やす再配分が行われています。

この結果、2025年度は医師多数県の臨時定員が計30名減少し、医師少数県では計8名増加する配分となりました。今後も地域の医師偏在に配慮しながら、全国合計としては定員数を徐々に減らしていく方針です。

定員縮小が医学部入試に与える影響

定員数が減少すれば、言うまでもなく医学部入試の競争率(倍率)は一層高くなります。実際ここ数年、医学部入試の難易度はすでに非常に高い水準にあります。医学部の実質合格倍率は国公立大学でおおむね3~5倍、私立大学では10~20倍で推移しています。

全国の18歳人口は減少傾向にあるものの、大学入学共通テストの志願者数は約49.5万人(2023年度)と、今から30年以上前の1992年(約47.2万人)よりむしろ多い状況です 。

特に近年は女子を中心に医学部志望者が増えており、志願者数自体は当面大きく減らないと予想されています。受験生の母数が現状維持もしくは微減に留まる中で定員だけが縮小すれば、医学部合格の門はますます狭きものになるのは明らかです。

入学定員減の影響は大学の所在地や入試方式によっても異なります。

政府の削減方針はあくまで「全国合計」での減員ですが、具体的には都市部の医学部で定員が絞られ、地方の医学部では定員維持または微増という形で調整が行われています。

例えば2025年度には、東京・大阪・福岡など医師数に余裕のある16都府県の医学部で臨時定員が削減されましたが、一方で新潟県や群馬県など一部の地方大学では地域枠の増員が認められました。

このため、都市部の人気医学部ではさらに競争が激化し、地方医学部では若干入りやすくなる傾向も考えられます。ただし地方であっても医師の高齢化が進む地域(例:徳島県や熊本県)は「削減すれば将来かえって医師不足に陥る」と判断され、定員維持の可能性が高いとの指摘もあります。

いずれにせよ受験生側から見ると、自分の志望する大学が属する地域区分(医師多数県か少数県か)によって、入試難易度の変化に差が出る可能性がある点には注意が必要です。

また、「地域枠」など特定条件付きの定員枠が拡大している点も見逃せません。地域枠とは卒業後に一定期間その地域で医療に従事することを条件に設けられる枠ですが、昨今は国公立大学で一般枠より地域枠の募集人員の方が多い大学も多く、一般入試の前期日程に地域枠を含むところも増えてきました。

例えば札幌医科大学では一般枠20名に対し、地域医療従事を条件とする「卒後研修枠」が55名と大半を占めています。

その結果、一般枠志望の合格者数は募集人員より少ない年もあると公表されているほどです。このように地域医療志向の受験生を優先して確保しようという動きが各地で強まっており、定員減少後も地域枠を通じた合格機会を維持しようとする大学が増える可能性があります。言い換えれば、地域枠に該当しない受験生にとっては相対的に一般枠で戦う割合が高まり、競争環境が厳しくなるとも言えるでしょう。

偏差値の面から見ても、医学部入試の難化傾向は歴然としています。大学入試難易度(偏差値)は各予備校が算出していますが、この数十年で医学部全体の偏差値水準は大きく底上げされました。例えば私立の金沢医科大学では、1982年頃の偏差値が43だったのに対し2024年には71にまで上昇しています。

他にも岩手医科大学が58から72、日本医科大学が68から73といったように、多くの大学で偏差値が軒並み上がっています。

これは長年にわたり医学部人気が衰えず受験生のレベルが上がり続けたことを示すもので、定員削減が本格化すれば偏差値水準がさらに高騰する可能性も十分に考えられます。「医学部入試はどんどん難化している」という現状はデータ上も明らかであり、志望者にとっては一層の対策強化が求められるでしょう。

早めの医学部合格が重要な理由

以上のように、定員減少により競争が激化する医学部入試では、「合格時期を遅らせない」ことが戦略上きわめて重要になります。

従来から「医学部は浪人しなければ入れない」とも言われるほど再挑戦者が多い世界ですが、近年では現役合格率は約30%に過ぎず、残り約70%は浪人生というデータもあります。

実際、多くの受験生が複数年かけて医学部合格を目指しているのが現状です。

しかし、これから定員が毎年のように削られていけば、浪人を重ねるごとにさらに厳しい競争環境に飛び込むことになりかねません。特に2025年度入試以降は定員減の影響が本格化すると予想されるため、できる限り早い段階で合格を勝ち取ることのメリットが増しています。

早期合格が重要とされる理由の一つは、年度を追うごとに合格難易度が上昇するリスクです。もし今年届かなかった場合、翌年以降は募集枠自体が目減りしている可能性が高く、合格率は今より低下するかもしれません。定員減少のペースによっては、1浪・2浪で踏みとどまれず「医学部進学自体をあきらめざるを得ない」受験生も出てくる可能性があります。

実際に「日本の医学部への進学を断念して海外の医科大学に活路を見出すケース」が出始めているとの指摘もあります。そうした極端な状況に追い込まれないためにも、できれば浪人せず現役で、あるいは浪人を最小限に留めて合格するに越したことはありません。

また、早期に医学部に合格し卒業までの道筋を確保できれば、医師過剰時代においても若いうちに研鑽を積み、専門性を身につける時間的余裕が生まれます。将来的に医師が余ると予想される中では、医師としてのキャリア形成にもこれまで以上に戦略が必要になるでしょう。

比較的若いうちに医師免許を取得し、専門医取得や留学など次のステップへ進めることは、同世代との差をつけるチャンスにもなります。

逆に入学が遅れると、卒業時にはさらに競争が激化して希望の研修先を確保しにくくなる、といった懸念も考えられます。そうした点からも、「合格は早ければ早いほど有利」と言えます。

さらに現在の入試制度の観点でも、早めの挑戦・合格には利点があります。多くの国公立医学部で導入が進む地域枠推薦や総合型選抜(AO入試)は、高校在学中~卒業直後のタイミングでしか受験資格がないものがほとんどです。

現役でこうした推薦枠を活用できれば一般入試より高い合格率で医学部に入れるチャンスがあり、浪人して一般選抜一本で挑むより有利な場合があります。

また、共通テストなど試験制度の変更期には浪人生が不利になるケースもありえます。実際、2025年度入試から新課程対応の共通テストが始まることもあって、2024年度入試では「新課程にまたがらないよう今年現役で合格したい」という安全志向が受験生の間で高まったとも報じられています。制度改革や定員動向が読みにくい状況では、先延ばしせず合格してしまう方がリスクは低いのです。

以上より、「医学部に行くと決めたら、できるだけ早く合格を掴む」ことがこれまで以上に重要になっています。では、そのためにどのような受験戦略を取るべきでしょうか。

最後に、競争を勝ち抜くための具体的な学習アプローチとして、個別指導・個別カリキュラムの活用について見てみます。

個別指導・個別カリキュラムで合格をつかむ戦略

医学部入試の難易度が高まる中で合格を勝ち取るには、自分に最適化された効率的な学習戦略が欠かせません。その点で、大手予備校の画一的な集団授業よりも個別指導や個別カリキュラムによるきめ細かな指導が持つメリットは非常に大きいと言えます。

実際、医学部専門予備校の多くが個別指導コースを設けていますが、それは医学部受験が受験生一人ひとりで弱点科目や目標校が異なり、オーダーメイドの対策が合格への近道となるからです。

個別指導の最大の利点は、自分専用にカリキュラムを組んでもらえることです。講師がマンツーマンで生徒それぞれの苦手分野・得意分野を正確に把握し、学習計画を立ててくれるため、理解済みの部分はほどほどに、不得意な部分は重点的に教わることができます。

その結果、無駄のない効率的な勉強が可能となり、短期間で成績を伸ばすことも期待できます。また、個別指導では志望校の傾向に沿った対策も立てやすく、「〇〇大学医学部向け」の特殊な問題傾向にもピンポイントで対応できます。

講師との距離が近い分、すぐに質問や相談ができる環境が整っていることも大きなメリットでしょう。勉強上の疑問をその場で解消できるだけでなく、受験生活に関する不安や悩みも気軽に相談できるため、精神的な支えにもなります。

さらに個別カリキュラムであれば、年間のスケジュール管理から日々の課題設定まで、すべて自分専用にカスタマイズされます。集団授業では進度や教材が全員一律ですが、個別プログラムなら自分のペースで着実に学力を積み上げることが可能です。

例えば夏までに基礎力を固め、秋以降は志望校対策問題に特化する、といったプランも個々の状況に合わせて柔軟に組まれます。過去問演習の取り組み方や、共通テストと二次試験のバランス調整などもマンツーマン指導ならではの細やかさで指導を受けられます。こうしたオーダーメイドの学習計画によって、受験生は自分に必要な勉強に集中でき、合格ラインに効率よく到達しやすくなります。

実際、「自分では勉強法が分からない」、「何から手を付ければ良いか迷っている」というタイプの受験生ほど、個別指導で大きく成績を伸ばして医学部合格を掴んでいるケースが多々あります。

マンツーマン指導のきめ細かさを享受しながら、孤独になりがちな受験生活でモチベーションを維持することができます。費用面についても、合格までの遠回りを減らせる分、結果的にコストパフォーマンスが高くなると考えています。実際、浪人を繰り返せばその分学費や生活費の負担が増えることを考えれば、最短経路で合格するための投資と捉えることもできるでしょう。

定員減少で厳しさを増す医学部入試だからこそ、「戦略的な受験勉強」が必要です。画一的な勉強法ではなく、自分の弱点に的を絞り、強みを伸ばし、限られた時間を最大限に活かす学習こそ合格への近道です。

個別指導で一人ひとりに最適なカリキュラムを組み、効率の良い学習を積み重ねていけば、医学部合格への強力なサポートとなります。

来るべき2026年度医学部入試やそれ以降の入試に向けて、ぜひ自分に合った学習環境と指導を選び、早期合格を勝ち取る体制を整えてください。私たちも個別指導・個別カリキュラムの強みを活かし、志望校合格まで全力でサポートしていきます。激動の時代でも確かな戦略と努力があれば道は開けます。皆さんの夢の実現を心から応援しています。


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