医学部専門個別予備校

国公立医学部の特徴を比較!各大学の専門性・強みを徹底解説

全ての国公立大学医学部(計50校)の研究特色を網羅的に比較します。各大学が力を入れる専門分野や他大学との違いに着目し、再生医療、地域医療、感染症、遺伝子医療などのキーワードを交えながらまとめました。大学ごとに見出しを設けて特色を記載しています。高校生や保護者の方にも分かりやすいよう専門用語は極力避け、各医学部の「研究分野の強み」がひと目でわかるよう簡潔に紹介しています。

目次

北海道大学医学部|寒冷地医療とOne Health

北海道大学医学部は、広大な北海道のフィールドを活かし寒冷地医療感染症研究に強みがあります。農学・獣医学とも連携した「One Health(ワンヘルス)」の視点で人と環境の健康を統合的に探究しており、地球環境と食料生産まで含めた医療研究を展開しています。地域医療への貢献と先端研究を両立しており、広域分野で独自の取り組みを進めている点が特色です。(公式サイトリンク) 北海道大学

旭川医科大学|遠隔医療と高齢化対応

旭川医科大学医学部は、広大な北海道北部の地域特性に根ざした研究が特徴です。遠隔医療(telemedicine)の研究で先駆的な実績があり、離れた地域の患者を支える技術開発を進めています。また、高齢化に対応した脳機能と医工学の融合研究にも力を入れており、寒冷・過疎地ならではの医療課題に取り組んで地域医療を支えている点が強みです。(公式サイトリンク) 旭川医科大学

札幌医科大学|再生医療・脊髄損傷治療

札幌医科大学医学部は、再生医療分野で全国的に注目される研究を行っています。ニプロ社と共同で世界初の脊髄損傷治療用再生医療製品「ステミラック注」を開発するなど、幹細胞を用いた先端治療の実用化に貢献しました。また、整形外科領域の軟骨再生治療など臨床応用研究も進めており、北海道発の革新的医療技術創出に取り組んでいる点が特色です。(公式サイトリンク) 札幌医科大学

弘前大学医学部|地域コホートと予防医学

弘前大学医学部は、東北北部の地域住民を対象とした大規模健康コホート研究予防医学に力を入れています。異分野融合による「ウェルビーイング(幸福・健康)」向上を掲げ、地域高齢者の健康データを活用した研究で健康寿命延伸に貢献しています。地域密着型の研究姿勢とビッグデータ解析を活かした独創的な予防医療への取り組みが特徴です。(公式サイトリンク) 弘前大学

秋田大学医学部|生活習慣病と脳卒中予防

秋田大学医学部は、秋田県の医療ニーズに即した地域医療生活習慣病予防の研究が特徴です。塩分摂取量が多い地域特性を踏まえ脳卒中など循環器疾患の予防研究に注力しており、雪深い土地ならではの高齢者医療モデルの構築にも取り組んでいます。鉱山医学の伝統も持ち合わせ、産業保健や労働環境に関する研究の蓄積がある点もこの医学部の強みと言えます。(公式サイトリンク) 秋田大学

山形大学医学部|豪雪地帯の地域医療と産学官連携

山形大学医学部は、雪国山形の地域特性を活かした地域医療と産学官連携研究に特色があります。例えば病院と工学部の協働による医療機器開発や、地元企業と連携した健康食品・バイオ素材研究などを推進し、地域資源から医療イノベーション創出を目指しています。豪雪地帯での医療実践から得た知見を研究に繋げ、サステナブル社会への貢献を掲げる点が強みです。(公式サイトリンク) 山形大学

東北大学医学部|ゲノム医療と加齢医学

東北大学医学部は、日本有数の総合大学の医学部として幅広い先端研究を展開しています。特に遺伝子・ゲノム医療の分野では、震災後に設立された東北メディカル・メガバンク機構を通じ、大規模な地域住民のゲノムコホートを構築し次世代医療の基盤を築いています。さらに脳科学や加齢医学の研究にも実績があり、高齢社会における健康長寿の実現や災害医療の分野で国際的な貢献を果たしているのが特色です。(公式サイトリンク) 東北大学

福島県立医科大学|放射線医学と災害医療

福島県立医科大学医学部は、2011年の原発事故以降、放射線医学災害医療の研究で際立った役割を担っています。県民の長期的健康影響を追跡するため、大規模な高齢者健康データベースを構築し科学的分析に基づく健康長寿支援に努めており 、放射線被曝の健康影響解明や住民の健康管理に関する世界的にも貴重な研究を進めています。地域医療復興への取り組みと先端研究を両立させた特徴ある医学部です。(公式サイトリンク) 福島県立医科大学

筑波大学医学群|陽子線がん治療と睡眠医学

筑波大学医学群(医学部)は、筑波研究学園都市の利点を活かした学際的な先端研究が特徴です。例えば、陽子線治療センターでの最先端がん治療研究、世界トップレベルの睡眠医学研究拠点(IIIS)での睡眠と健康の解明、さらには人支援ロボットなど医工連携による医療技術開発を推進しています。アレルギーや自己免疫疾患、メタボリックシンドロームなどの基礎研究でも成果を上げており、幅広い領域で次世代医療の創出に寄与しています。(公式サイトリンク) 筑波大学

群馬大学医学部|重粒子線治療と放射線医学

群馬大学医学部は、がん治療の先端技術研究で国内外に知られています。世界初の小型普及型加速器による重粒子線治療センターを有し、2010年から前立腺がんへの治療を開始するなど革新的ながん放射線療法をリードしています。この最先端の治療環境を活かして放射線医学の研究が盛んなほか、地域医療にも密着し群馬県の医療水準向上に貢献している点が特色です。(公式サイトリンク) 群馬大学

千葉大学医学部|免疫・ワクチン研究

千葉大学医学部は、免疫学ワクチン学の研究で国内トップクラスの実績を持ちます。感染症ワクチンの開発やアレルギー疾患の新規治療法の研究で知られ、戦略的に免疫分野の研究強化を図っています。また、研究成果を医学教育にも積極的に還元し、最新の研究動向をカリキュラムに取り入れることで次世代の医師科学者育成にも力を注いでいます。(公式サイトリンク) 千葉大学

東京大学医学部|日本屈指の総合研究拠点

東京大学医学部は、日本最高峰の研究環境を誇り、基礎から臨床まであらゆる分野で先端研究が盛んです。特に神経科学、免疫学、がん研究、細胞生物学などの領域で多くの成果を上げており、病気のメカニズム解明や新規治療法開発に大きく貢献しています。医学部附属研究所ではワクチン開発やゲノム医学のプロジェクトも進行しており、幅広い領域で世界水準の医学研究をリードする存在です。(公式サイトリンク) 東京大学

東京医科歯科大学(現・東京科学大学)|医科×歯科の統合研究

東京医科歯科大学医学部は、日本で唯一医科と歯科を併せ持つ総合医療大学として独自の強みを発揮しています。難治疾患の病態解明や再生医療などの創生医学分野、そして口腔科学研究において高い評価を得ており 、医科と歯科の垣根を越えた統合的な研究を展開しています。また、質の高い臨床と研究を活かした産学連携や国際協力にも積極的で、医療イノベーション創出に寄与している点が特色です。(公式サイトリンク) 東京医科歯科大学(現・東京科学大学)

横浜市立大学医学部|ゲノム医療と都市型ヘルスデータ

横浜市立大学医学部は、免疫療法ゲノム医療など研究力の高い分野が多く、少人数精鋭ながら質の高い医学研究・教育で知られます。横浜市という政令市のデータを活かし、産官学で医療・健康データを循環させ市民の健康増進に役立てる「よこはまデータサイクル」プロジェクトを推進しており、地域の医療データ解析から新たな公衆衛生政策やヘルスケアサービス創出にも取り組んでいます。都市型モデルを見据えた持続可能な医療システム構築を目指す先進的な医学部です。(公式サイトリンク) 横浜市立大学

山梨大学医学部|環境と健康、公衆衛生

山梨大学医学部は、自然環境と健康の接点に着目した研究教育が特徴です。世界トップレベルのグリーン水素研究構想の一翼を担い、環境と医療の融合を図っています。また、山梨特有の山間地域医療にも力を入れており、山間部での救急医療体制や在宅医療支援など地域の健康を支える役割も果たしています。大気汚染が健康に与える影響評価など環境公衆衛生にも取り組み、持続可能社会での地域医療モデル構築に寄与しています。(公式サイトリンク) 山梨大学

新潟大学医学部|脳科学と「食と健康」

新潟大学医学部は、「脳といのち」「食と健康」をキーワードに未来社会に向けたイノベーション創出拠点形成を目指す研究が特色です。脳神経科学や難治疾患研究に強く、特に脳研究の分野で全国有数の実績があります。さらに農学分野とも協力し、機能性食品や栄養による疾病予防など「食と健康」に関する研究にも注力しています。脳科学と栄養学の両面から地域住民の健康増進と新産業創出に取り組むユニークな医学部です。(公式サイトリンク) 新潟大学

富山大学医学部|和漢医薬学と伝統×先端医療

富山大学医学部は、古くから「薬都」と称される富山の伝統を背景に和漢医薬学(伝統薬物)の科学的研究で知られています。大学附置の和漢医薬学総合研究所は国内唯一の伝統医薬学の研究所であり、最先端技術を駆使して和漢薬など天然薬物由来の新しい医薬品開発を進めるなど、東洋と西洋医学の融合を目指した研究を展開しています。また生活習慣病など地域の健康課題にも取り組み、伝統と先端が調和した独自の研究基盤を持つ点が特色です。(公式サイトリンク) 富山大学

金沢大学医学部|がん研究と再生医療

金沢大学医学部は、北陸地方の中核的存在としてがん研究再生医療分野に強みを持ちます。他学部(理工学や人文社会など)との連携による学際融合研究を推進し、革新的ながん診断技術なども創出しています。伝統あるがん研究所を核に地域医療機関とのネットワークを構築し、最先端の医療技術を地域に展開している点も特徴です。また再生医療では工学系との協働で新しい治療法開発に取り組むなど、広い視野で社会変革を目指す医学部です。(公式サイトリンク) 金沢大学

福井大学医学部|脳・神経科学と精神医療

福井大学医学部は、脳・神経科学精神科医療の分野で先進的な研究を行っています。最先端のMRI等を備えたバイオイメージング拠点があり、脳機能イメージングによる精神疾患の解明や発達障害の研究に注力しています。地域のニーズに応じて産業医学や原子力医学にも歴史があり、技術立県福井の強みを活かし医療と工学を結ぶ研究も推進するなど、精密な画像診断技術と地域貢献が両立した医学部です。(公式サイトリンク) 福井大学

信州大学医学部|水・山岳環境と健康

信州大学医学部は、「」に関する先鋭研究を核に据え、環境と健康の関係や山岳地域医療の研究に強みを持ちます。清らかな水資源を活かした感染症予防研究や、山間地の高齢者医療モデル構築といった課題に取り組み、標高の高い地域特有の低酸素環境下での健康課題にも焦点を当てています。美しい自然環境を背景に、地域医療への貢献と国際的な山岳医療研究発信を両立している点が特色です。(公式サイトリンク) 信州大学

岐阜大学医学部|医工連携とがん・画像診断

岐阜大学医学部は、基礎から臨床まで学際的な医工連携による高度医療研究を推進しています。寄附講座として地域腫瘍学、地域運動器医学、関節再建外科先端医療、先端画像開発、低侵襲・がん集学的治療など多彩なプログラムを設け、統合的ながん治療や高度診断技術の開発に取り組んでいます。また東海国立大学機構の一部として名古屋大学との連携も深く、幅広い分野の専門知識を融合した新たな医療技術創出を目指す点が特徴です。(公式サイトリンク) 岐阜大学

浜松医科大学|光医学(フォトニクス医療)の世界拠点

浜松医科大学は、光医学(フォトニクス医療)分野で世界に発信する研究拠点です。光を用いた最先端医療の研究や地域企業との医療機器開発に力を入れており、2016年には光尖端医学教育研究センターを発展させて光医学総合研究所を開設しました。レーザーやイメージング技術を駆使した革新的診断・治療法の開発を推進し、産学官連携による地域発の医療イノベーションで日本の医療をリードしています。(公式サイトリンク) 浜松医科大学

名古屋大学医学部|神経疾患・腫瘍医学と研究者育成

名古屋大学医学部は、中部地方のトップ校として神経疾患腫瘍医学の分野で世界をリードする研究を推進しています。基礎医学領域ではがんの疫学や先端診断法の研究に力を入れ、臨床医学では難治性疾患への新規治療開発に取り組んできました。学生が3年次に半年間の研究室配属を経験するユニークなカリキュラムも持ち、医学研究マインドを育みながら人類の健康増進に寄与する先端医学の創成を目指している点が特色です。(公式サイトリンク) 名古屋大学

名古屋市立大学医学部|都市型医療と予防医学

名古屋市立大学医学部は、最新の医学研究を推進しつつ大都市名古屋の地域医療にも貢献しています。近年では食品成分によるがん予防研究やアルツハイマー病の早期診断技術開発で成果を上げており 、予防医学から先端診断まで幅広い領域をカバーしています。都市型の医学部でありながら地域密着の姿勢を持ち、社会性・創造性を兼ね備えた医師・医学研究者の育成にも注力しています。(公式サイトリンク) 名古屋市立大学

三重大学医学部|環境医学と呼吸器疾患


三重大学医学部は、公害問題「四日市ぜんそく」の教訓を背景に環境医学呼吸器疾患の研究に関心が高いです。大気汚染が健康へ与える影響評価や喘息・肺疾患の予防医療に取り組む一方、分子医学の先端研究にも注力し、疾患メカニズムの解明から個別化医療への応用を目指しています。三重県の産業と自然環境に根ざした研究姿勢を持ち、地域住民の健康増進と高度医療技術の開発を両立させている点が特色です。(公式サイトリンク) 三重大学

滋賀医科大学|認知症・慢性疾患と医療イノベーション

滋賀医科大学は、小規模ながら慢性疾患神経科学分野で独創的な研究を展開しています。自ら開発した化合物「Shiga-Y5」がアルツハイマー病モデル動物で有効性を示すなど、認知症克服に向けた創薬研究で成果を上げました。また糖尿病・癌・自己免疫疾患など難治性慢性疾患の新薬開発にも取り組んでおり、データサイエンスやAIを活用した医療イノベーション創出、人材育成を図る医療イノベーション研究拠点も備えています。(公式サイトリンク) 滋賀医科大学

京都大学医学部|iPS細胞とがん免疫の世界的拠点

京都大学医学部は、日本を代表する研究型医学部で、数多くの世界的研究成果を生み出してきました。再生医療では山中伸弥教授のiPS細胞研究所(CiRA)を中心に創薬・新治療法開発や病態解明を進め 、免疫学では本庶佑特別教授のPD-1研究によりがん免疫療法のブレイクスルーを達成するなど、ノーベル賞受賞者を輩出する卓越した実績があります。基礎から臨床まで国際的に質の高い研究を展開し、「自由の学風」のもとで次代を担う医学を切り拓いている点が特色です。(公式サイトリンク) 京都大学

京都府立医科大学|世界水準の医学を地域へ

京都府立医科大学医学部は、「世界トップレベルの医学を地域へ」を理念に掲げ、伝統と先端が融合する研究を行います。地域医療・社会医学から発達・成長医科学先端医療・ゲノム医学まで幅広い領域で特色ある研究を展開し 、京都の地で培われた豊かな文化と最新医療が調和した環境で医学の真髄を追求しています。臓器移植や心臓外科などで日本初の実績を持つなど臨床面でも先駆的で、地域医療への貢献と国際水準の研究力を兼ね備えた医学部です。(公式サイトリンク) 京都府立医科大学

大阪大学医学部|免疫・感染症・循環器の巨大研究拠点

大阪大学医学部は、日本有数の研究施設・設備を誇り、基礎から臨床まで多彩な研究で世界をリードしています。特に附属の微生物病研究所は免疫学・微生物学で世界的に有名で、免疫システムの発見やワクチン開発など数々の功績があります。また隣接する国立循環器病研究センターと協力し先進的な心臓病治療にも取り組むほか、新たなゲノム編集ツールの開発など遺伝子医療の分野でも成果を上げています。卓越した研究者を多数輩出し、世界水準の医学イノベーション拠点となっています。(公式サイトリンク) 大阪大学

大阪公立大学(旧大阪市立大学)医学部|メタボ研究とスマートシティ医療

大阪公立大学医学部は、大都市・大阪の医療課題に焦点を当てた研究が特徴です。都市住民に多いメタボリックシンドローム研究で世界的に知られ、肥満関連物質アディポネクチンの発見などを通じて市民の健康改善に寄与してきました。現在も工学部や産業界と連携し、ビッグデータ解析による地域医療計画策定やスマートシティでのヘルスケアサービス開発など未来志向の医療イノベーションに取り組んでいます。都市ならではの成熟社会の医療ニーズに応える先進的な医学部です。(公式サイトリンク) 大阪公立大学

神戸大学医学部|ポートアイランド発の再生医療・バイオものづくり

神戸大学医学部は、生命科学や再生医療の分野で特に強みを発揮しています。神戸市ポートアイランドの先端医療センターや理化学研究所と協働し、iPS細胞を用いた再生医療や創薬研究が活発に行われています。産学官連携拠点を活かして基礎研究の成果を医薬品・医療機器として社会実装する取り組みにも注力しており、バイオものづくり分野で世界をリードする継続的イノベーション創出を目指す計画が評価されています。(公式サイトリンク) 神戸大学

奈良県立医科大学|人工血液と地域コホート研究

奈良県立医科大学医学部は、公立大学では珍しく研究医養成コースを設置するなど研究志向の教育が充実しています。世界に先駆ける人工血液の研究で知られ、実現が難しいとされてきた代替血液の開発に取り組む先端的な研究グループを擁しています。また奈良県民を対象とした大規模コホート研究による地域の健康長寿プロジェクトも進めており、伝統ある医学教育と独創的研究で地域医療と医学の発展に貢献する医学部です。(公式サイトリンク) 奈良県立医科大学

和歌山県立医科大学|遺伝子制御とスポーツ医科学

和歌山県立医科大学医学部は、地域医療と先端研究の両立を目指し独自の取り組みを展開しています。附属の先端医学研究所では生体調節機構遺伝子制御学の研究に注力し 、免疫疾患や代謝異常の新規治療シーズ探索などに成果を挙げています。また障がい者スポーツ医科学や予防医学にも力を入れており、国内有数の3次元動作解析装置や人工気候室を備えた施設でリハビリテーション医学の最先端研究を行っています。地域の福祉・医療向上と先端医療技術開発に貢献する特色ある医学部です。(公式サイトリンク) 和歌山県立医科大学

鳥取大学医学部|ドライアイとへき地医療

鳥取大学医学部は、日本一人口の少ない鳥取県という地域特性に応じた地域密着研究が特色です。例えば、砂丘地帯という環境にちなみドライアイ(乾燥性角結膜炎)の研究で知られるなど、環境要因と疾患に関する研究を進めてきました。また鳥取県の医師不足解消のため地域医療学講座を設置し、地域医療支援に関する実践研究も盛んです。小規模ながらニッチな分野で全国的な成果を上げ、地域医療を支える役割を果たしています。(公式サイトリンク) 鳥取大学

島根大学医学部|過疎地医療と高齢化対策

島根大学医学部は、過疎地域医療高齢化対策の研究に力を入れている点が特徴です。離島や山間地を抱える島根県において、遠隔医療や地域包括ケアのモデル構築など実践的研究を展開しています。また、生活習慣病や認知症など地域で深刻な疾患への対策研究にも注力しており、地域住民の健康寿命延伸に貢献しています。地域固有の課題に真正面から取り組むことで、地方発の医療モデルを提示する医学部です。(公式サイトリンク) 島根大学

岡山大学医学部|難治疾患とゲノム医療

岡山大学医学部は、中国・四国地方の医療拠点として難治疾患の先端研究と地域医療への貢献の両面に力を入れています。遺伝性疾患やがんの最新治療法開発など難病克服に向けた研究で実績があり、産学官連携によるゲノム医療やオーダーメイド医療の推進にも取り組んでいます。加えて、水島コンビナートの公害など瀬戸内地域特有の公衆衛生課題への対応や、過疎地医療支援にも注力している点が特徴です。長期ビジョンに基づき持続可能な医療システム構築を目指す戦略性も備えています。(公式サイトリンク) 岡山大学

広島大学医学部|放射線影響・画像診断と学際研究

広島大学医学部は、先端放射線科学画像診断技術の分野で重要な役割を担っています。大学が所在する東広島キャンパスには大型放射光施設が整備されており、その高輝度X線を医学生命科学研究に応用して新薬開発や細胞レベルでの病態解明につなげる研究を進めています。また原爆医療の歴史から培った放射線影響研究の伝統があり、その知見を活かして放射線医学や災害医療教育にも力を入れている点が特色です。半導体・物質科学との融合によるイノベーション創出など学際研究も活発な医学部です。(公式サイトリンク) 広島大学

山口大学医学部|臓器再生とがん免疫療法

山口大学医学部は、中国地方西部に位置し臓器再生がん免疫療法の研究に取り組んでいます。特に肝臓再生や免疫チェックポイントに関する研究で成果を出しており、瀬戸内の産業地域における公害医学の伝統も活かして環境と健康の関連研究にも対応しています。附属病院では周産期医療や小児医療にも力を入れ、地域ニーズに即した研究と高度先進医療技術の開発を両立させている点が特徴です。地域と連携しつつ全国規模の研究プロジェクトにも参加し、幅広い視点から医療課題の解決を目指しています。(公式サイトリンク) 山口大学

徳島大学医学部|光工学×栄養学×情報科学

徳島大学医学部は、「光工学×医学・栄養学×情報科学」の融合研究により超高齢社会の課題解決に挑む取り組みを進めています。全国的にも評価の高い栄養学・食医学研究の伝統があり、糖尿病や生活習慣病の分野で著名な実績があります。現在は光エンジニアリングを医療に取り入れ、光でがんを検出・治療する技術や高齢者の栄養状態をモニタリングするIoT機器の開発にも挑戦中です。異分野融合によるイノベーションで地域の健康寿命延伸とQOL向上に貢献することが期待されています。(公式サイトリンク) 徳島大学

香川大学医学部|食習慣と生活習慣病・島嶼医療

香川大学医学部は、四国の地域医療を支える中で生活習慣病予防医学の研究に注力しています。うどん県として知られる香川の食習慣に着目し、食塩摂取過多による高血圧や腎疾患の予防対策研究を進めるなど地域特性に根ざした研究が特徴です。また、小豆島など島嶼医療のノウハウを蓄積しており、遠隔医療や地域包括ケアの実践研究も行っています。規模は大きくありませんが、地域住民の健康増進に密接に関わる研究姿勢で特色を発揮する医学部です。(公式サイトリンク) 香川大学

愛媛大学医学部|がん・感染症と肝疾患

愛媛大学医学部は、がん感染症の研究に力を入れています。難治な疾患であるがんの発生機序を理解・解析し新たな治療に結びつける研究や 、マラリアなど熱帯病に対する遺伝学・ゲノミクスを駆使した研究(フィールド調査と研究室解析の組み合わせ)にも取り組んでおり 、国際的視野で感染症と闘う姿勢が特徴的です。さらに瀬戸内海地域の特性に即した肝疾患研究(ウイルス性肝炎など)にも実績があり、地域医療と世界水準の研究を両立させています。(公式サイトリンク) 愛媛大学

高知大学医学部|環境医学とへき地・海洋医療

高知大学医学部は、温暖な南国地域の特性を活かし環境医学地域医療に特色ある研究を展開しています。高温多湿な気候に関連して熱中症対策や紫外線の健康影響に関する研究を行う一方、太平洋に面した地の利を活かして海洋由来資源から新薬シーズを探索する創薬研究なども進めています。へき地医療教育にも注力しており、山間離島部での医療提供モデルの研究・実践を通じて地域医療に貢献しています。自然豊かなフィールドを背景に、地域発のユニークな医療研究に取り組む医学部です。(公式サイトリンク) 高知大学

九州大学医学部|がん・肝疾患と世界レベルの総合力

九州大学医学部は、長い歴史と伝統に裏打ちされた質の高い教育・研究環境を誇り、日本を代表する医学部の一つです。がん研究肝疾患研究の分野で国内トップクラスの成果を挙げており、肝炎ウイルスの研究や肝がん治療開発では世界に誇る実績があります。また、多くの優秀な研究者・医師を輩出してきたことで知られ、基礎から臨床まで多彩な領域で世界水準の研究が展開されています。国際的視野を持つ医学者の養成にも力を注ぎ、グローバルに活躍できる人材と医学知を生み出す拠点となっています。(公式サイトリンク) 九州大学

佐賀大学医学部|再生医療と地域医療モデル

佐賀大学医学部は、地方都市ならではの地域医療密着型の研究と、先進医療技術の研究をバランス良く行っています。例えば、糖尿病に対する膵島移植など再生医療的アプローチの研究にも取り組んでおり、世界初の膵島細胞移植に携わった研究者が講演を行うなど専門性の高い領域での関与があります。一方で佐賀県内の地域医療を支える実践研究(へき地医療システムや高齢者ケアモデルの研究)も盛んで、規模は小さいながら独自の先端医療研究と地域貢献を両立させている点が特色です。(公式サイトリンク) 佐賀大学

長崎大学医学部|熱帯医学・感染症とプラネタリーヘルス

長崎大学医学部は、伝統的に熱帯医学感染症研究で世界的に著名です。プラネタリーヘルス(人類と地球環境の健康を統合的に考える概念)の実現を掲げ、新興感染症対策や国際医療協力に力を入れています。国立感染症研究所や国立国際医療研究センターと連携し、グローバルヘルス分野で独自の教育研究を展開しているほか、JAMSTEC(海洋機構)とも協働して環境変動が人類の健康に与える影響を研究するなど幅広い視点で取り組んでいます。原爆後の公衆衛生研究の歴史も背景に持ち、国際的な公衆衛生人材の育成にも乗り出しています。(公式サイトリンク) 長崎大学

熊本大学医学部|免疫・再生医学と医工連携

熊本大学医学部は、ライフサイエンスと工学の連携研究を進め、免疫学再生医学の研究拠点を有します。例えば、幹細胞医療や難病研究では国内トップクラスの成果を上げており、大学院生命科学研究部に附置された国際先端医学研究拠点(IRCMS)を中心に世界水準の研究が展開されています。また熊本は半導体産業が盛んな土地柄であり、その技術を医療機器の高度化やバイオセンシング開発に応用する新領域研究にも挑戦しています。地域発の医工連携イノベーション創出に寄与しつつ、免疫・再生分野で国内外に存在感を示す医学部です。(公式サイトリンク) 熊本大学

大分大学医学部|ピロリ菌研究と温泉療法

大分大学医学部は、地域医療研究の双方にバランスよく力を入れている点が魅力です。地域医療教育に熱心である一方、ピロリ菌に関する研究では世界的に高い評価を受けています。ピロリ菌感染がもたらす胃疾患の解明や除菌療法の研究に成果を上げ、国際的なガイドライン策定にも貢献しました。また、温泉地を多く抱える大分県の特性から、温泉療法など地域独自の医療文化を科学的に検証する研究なども行い、地域密着型の視点とグローバルな研究水準を併せ持つ医学部となっています。(公式サイトリンク) 大分大学

宮崎大学医学部|医・獣融合と新興感染症

宮崎大学医学部は、全国で初めて医学と獣医学を融合した医学獣医学総合研究科を有し、新興・再興感染症など学際的で先端的な研究に特色があります。特に宮崎県に多いHTLV-1ウイルス(成人T細胞白血病ウイルス)やATL(成人T細胞白血病)、寄生虫疾患の診断法開発など、地域の疾病特性に即した研究で実績を残しています。人獣共通感染症の分野ではフィールド調査とゲノム解析を組み合わせた国際的研究も展開しており、地域医療に根ざしつつ世界規模の課題解決に挑む医学部です。(公式サイトリンク) 宮崎大学

鹿児島大学医学部|HTLV-1関連疾患と火山・離島医療

鹿児島大学医学部は、南九州に多いHTLV-1ウイルス関連疾患の研究で世界的に知られます。大学病院内にヒトレトロウイルス学共同研究センターを設置し、難治性の成人T細胞白血病(ATL)やHTLV-1関連脊髄症(HAM)の病態解明と新規治療法開発に取り組んでおり、複数のウイルスに対する治療法開発も進めています。また桜島の火山灰など環境要因が健康に与える影響についての研究や、離島医療に関する取り組みも特徴です。地域の風土病から先端医療まで幅広く網羅し、南九州発の医療知を発信する医学部です。(公式サイトリンク) 鹿児島大学

琉球大学医学部|亜熱帯医療・長寿医学・遺伝性疾患

琉球大学医学部は、我が国で最も新しい国立大学医学部として設立され、南国・離島地域の医療に根ざした特色ある研究を展開しています。唯一の亜熱帯気候下に位置する島嶼県沖縄の特性から、熱帯・亜熱帯環境下での感染症研究、かつて長寿県だった沖縄の健康長寿復興を目指す長寿医学、急速な欧米化に伴う代謝疾患や生活習慣病の予防、狭い島内婚姻圏に由来する遺伝性疾患、琉球列島の成り立ちに関連した人類遺伝学、さらには東南アジアでの国際保健など、多彩な領域で活発な研究が行われています。2015年には県の再生医療中核拠点として再生医療研究センターも新設し、再生・発生分野の研究にも取り組むなど、地域性と国際性を兼ね備えた医学部です。(公式サイトリンク) 琉球大学

各大学の特色ある研究分野を知ることで、医学部ごとの個性や強みが浮き彫りになります。国公立医学部の比較として、受験生は将来取り組みたい分野のヒントに、保護者や指導教員は各校の教育・研究風土を把握する材料にしていただければ幸いです。日本全国の医学部がそれぞれの地域と得意分野を活かして発展し、医学の未来を切り拓いています。本記事が「国公立医学部の特徴」を理解する一助になればと思います。

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