医学部専門個別予備校

大阪医科薬科大学医学部医学科 合格者インタビュー

伊藤さくら(仮名)さん合格インタビュー

  • 【正規合格】
  • 岩手医科大学
  • 兵庫医科大学
  • 福岡大学医学部
  • 大阪医科薬科大学医学部(後期、入学)
  • 【繰り上げ合格】
  • 金沢医科大学
  • 【一次試験合格】
  • 東北医科薬科大学医学部(二次放棄)
  • 近畿大学医学部
  • 大阪医科薬科大学(前期)

 伊藤さくらさん(仮名)は現役時代に一次合格が一校のみ。それが一浪後の結果は5つの大学の合格を勝ち取り、受験の最終で第一希望で前期不合格だった大阪医科薬科大学の後期合格をつかみ取った。最終回での鮮やかな逆転劇である。通信制高校出身で、「高校の授業で物理なんか勉強もしたことがない」という彼女が、いかに学力を爆上げしていったのか。秘訣を教えてもらった。

「現役のときは高校2年生の秋ぐらいまで、ほんまに勉強していませんでした。医学部受験は中学生のときに決断したんですけれど、勉強が手につかない。予備校にも通ったんですが、他の同い年くらいの子の勉強ぶりを見て、落ち込むだけでした」

 伊藤さんはそう振り返る。そのころの伊藤さんの学力は英語が得意、化学が普通、数学と物理が苦手、という状況だった。通信制高校では物理の授業がなく、参考書で自習しつつ予備校の授業で補ったが、よくわからないままだった。

「現役のときは物理の問題も解かず、公式を覚えた程度で試験に臨む有り様でした」

 勉強への焦りばかりが空回りし、理解できないと落ち込んで机から遠のく。そんな悪循環の繰り返しだった。

 そこで伊藤さんは浪人生活の始まりに、自分のスローガンを立てた。

《淡々と勉強する》

 どういうことか。

「結果に一喜一憂せず、気持ちをフラットにすることです。問題ができなくても『うん、勉強やり直しやな』と考えるだけ。模試で志望校にE判定ついても『あかんかったな』と、引きずらない。感情の起伏を抑えて、自分を勉強ロボットにすることにしたんです」

 勉強ロボット化のためにまず、勉強時間の絶対量を増やした。机に向かう時間は一日平均10時間、それ以外の隙間時間にも勉強を突っ込んだ。たとえば食事時間も、常に参考書を読んでいた。そしてここでひとつ、彼女の工夫がある。

「読むのは分厚い英語の文法書と決めていました。私は中学のときに学校から配られた600ページ以上ある本を、最初のページから一語一句、全て読んでいきました。普通はこのような本は辞書的に使われると思うんですよ。でも最初から丁寧に読むことで文法が整理されるし、見落としていたこと、忘れていたことの発見にもつながりました」

 お風呂から上がってドライヤーで髪を乾かしているときは、YouTubeの「聞き流しズボラ英語教室」という番組を流しっぱなしにした。これは画面に次々と英単語と和訳が表示され、機械音声でその発音が流れるというシンプルなものだ。

「これで和訳ひとつしか覚えていなかった単語の二つ目、三つ目を覚えることができました。あまりにも見過ぎて、試験中に単語をみると頭の中に機械音声が流れるくらいになりました」

 まさに勉強ロボットである。

 苦手だった物理は、グリットメディカルの講師の授業を受けていくことで理解が深まった。

「グリットメディカルの先生は生徒と距離感が近くて、授業でわからないことをすぐ質問できる雰囲気が良かったです。私のように通信制の高校に通っている人は、大手予備校のような一斉授業でなく、グリットメディカルのような個別指導が絶対向いていると思います」

 小論文の授業では、提出した宿題の内容について講師から質問を受けると、普通に受け答えするので無く、意識して改まった口調ですることを心がけた。実際の面接試験を想定したもので、ひとつの授業で「小論文+面接」の練習をしたのである。兵庫医科大学の受験ではこの方法が役立ち、面接で「医療とAI」について深く訊ねられたが、どれも落ち着いて正確に答えられて合格した。

 勉強ロボットが板に付き、全ての教科の勉強が1周できた夏の終わりから秋口にかけて、成績が順調に伸びた。

「科目ごとの得意・不得意の差が激しかったんですが、まんべんなくできるようになりました」

多くの合格を勝ち取った伊藤さんにとって、ヤマ場が第一志望の大阪医科薬科大学だった。直前の模試ではE判定をくらったが、「淡々とする」スローガンで「ふーん」とやり過ごした。

前期の一次試験、自己採点の手応えは良かった。しかし二次試験の面接で緊張してしまい、不合格になった。

しかし伊藤さんはここで諦めずに、後期試験にも出願した。一次試験の自己採点は最悪で、前期より出来が悪かった。

「絶対無理やんと思い、さすがに淡々としてられなくて毎日号泣していました」

 絶望していたが、一次合格の報が舞い込んだ。二次試験まで二日しかない。大阪医科薬科の後期試験は二次に小論文がある(前期は一次)。

「一次合格といってもどうせ教科の点が低いから無理だろうとは思ったんですが、とにかく今やれることを全力でやろうと思いました。毎日時事ニュースをがんがん見て、小論文の先生が作った40回近いレジメと作例を最初から読み直しました」

 そしてなんと、二次の小論文では講師が「大医の予想問題」として作成したものと類似の問題が出されたのである。

「小論文ができたので気持ちに余裕ができて、面接でも緊張せずに受け答えすることができました」

 そして届いた正規合格。号泣からの華麗な逆転劇である。改めて医大受験は不合格通知が出るまで諦めるな、という想いを抱かざるを得ない。

 伊藤さんは将来、どんな医師になりたいのだろうか。

「医師というより、今まで支えられた家族や先生たちに恩返しできるような人間になりたいですね。そのためには助けを求めている人の役に立ちたいです」

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