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共通テストで私立医学部合格を目指す!2025年度の利用方式と注意点まとめ

2025年度入試では、全国の私立大学医学部31校のうち約半数の17校が「大学入学共通テスト」を利用した選抜方式(共通テスト利用入試)を実施しています。

共通テスト利用入試では、大学入学共通テストの成績を学科試験の代わりに用いて合否判定を行い、大学ごとに小論文や面接などを組み合わせて総合評価する方式です。共通テストで課す科目の組み合わせは大学によって異なり、大きく以下のパターンに分類できます。

  • 5教科7科目型(英・数・理・国・社の5教科すべて:共通テストで課される科目が7科目)
  • 4教科6科目型(上記5教科のうち1教科を課さない:科目数6科目)
  • 3教科5科目型(5教科のうち2教科を課さない:科目数5科目)
  • 特殊な方式(上記に当てはまらない独自色の強い方式)

以下では、それぞれの方式ごとに大学名利用科目利用方法の詳細国語の扱い、および注意点(出願条件等)をまとめます。志望校の方式を正しく理解し、受験準備に役立ててください。

5教科7科目型 – 共通テストで5教科すべてを課す方式

対象: 英語(外国語)、数学2科目、理科2科目、国語、社会1科目の5教科7科目すべての成績を利用する方式です。国公立大学受験に近い広範囲な科目が課されます。共通テストの得点を一次試験(学科試験)そのものとして扱う大学が多く、学科の筆記試験は免除されます(面接や小論文は別途課される場合あり)。以下の大学が該当します。

国際医療福祉大学(千葉県)

共通テスト科目: 英語、数学②(数I・Aおよび数II・B)、理科②(2科目選択)、国語(※「近代以降の文章」を含み古文・漢文も評価)、社会① 。国語は現代文・古文・漢文すべてを含めた200点満点で評価します。大学独自試験: 共通テストの他に英語の学力試験(長文読解問題)と小論文・面接があります。利用目的・注意: 共通テストで5教科の学力を評価しつつ、英語力は大学独自の試験でも確認されます。募集定員は15名程度で 、共通テスト後(1月)でも出願が可能です。

順天堂大学(東京都)

共通テスト科目: 英語、数学②、理科②、国語(※近代以降の文章・古文・漢文すべてを評価)、社会① 。国語は現代文・古文・漢文を含む200点満点です。大学独自試験: 小論文および面接 。利用目的・注意: 共通テストの得点を一次試験に全面的に利用し、大学独自の学科試験は課しません。共通テストの得点率ボーダーは毎年高く、80%台後半が目安とも言われます。定員は前期10名・後期5名で 、共通テスト利用入試だけで計15名程度を募集しています。

東京医科大学(東京都)

共通テスト科目: 英語、数学②、理科②、国語(※現代文・古文・漢文すべて)、社会① 。国語は古文漢文を含む満点200点で扱います。大学独自試験: 小論文および面接。利用目的・注意: 共通テスト成績(5教科計900点満点)と小論文・面接で総合判定します。共通テストで要求される科目数が多く負担は大きいですが、その分一次試験筆記が免除されるメリットがあります。定員は若干名(年度によりますが5~10名程度)です。

関西医科大学(大阪府)

共通テスト科目: 英語、数学②、理科②、国語(※現代文のみ)、社会① 。国語は現代文(近代以降の文章)のみを評価し、古文漢文は含めません。大学独自試験: 面接のみ(小論文は課しません)。利用目的・注意: 共通テスト得点(5教科)+面接で合否判定します。社会は1科目選択ですが、もし共通テストで複数科目受験している場合は最高得点科目のみを採用。定員は前期12名・後期2名の計14名で 、共通テスト利用枠の割合が比較的大きいのも特徴です。

近畿大学(大阪府)

共通テスト科目: 英語、数学②、理科②、国語(※古文・漢文含む)、社会①。国語は古文漢文まで含めた満点200点で評価します。大学独自試験: 小論文および面接。利用目的・注意: 共通テストの得点を一次試験に充て、小論文・面接とあわせて判定します。募集は前期5名・中期3名・後期2名と複数日程で行われ 、共通テスト後でも中期・後期日程に出願可能。

産業医科大学(福岡県)

共通テスト科目: 英語、数学①(数I・A)、理科①(1科目選択)、国語(※古文・漢文含む)、社会① 。国語は現代文・古文・漢文を含めて評価します。大学独自試験: 個別学力検査(大学独自の学科試験)と小論文、面接。利用目的・注意: 他大学と異なり共通テストは5教科ですが数学・理科は各1科目で可(例えば数学は数I・Aのみ、理科も1科目のみ受験で可)、その代わり大学独自の学力試験(おそらく数学・理科の総合問題等)を一次試験として課すC方式です。共通テストは一次選考の参考または加点として利用され、一次試考合格者に対して二次試考で小論文・面接を実施。定員は5名以内とされています。

4教科6科目型 – 共通テストで課さない教科が1つある方式

対象: 上記5教科のうち1教科を課さない方式です(合計6科目)。多くの場合、「社会」を課さず英語・数学・理科・国語の4教科を要求するパターン。国語または社会が課されない分、5教科型より負担はやや軽減しますが、それでも主要科目は概ねカバーする必要があります。以下の大学が該当します。

東北医科薬科大学(宮城県)

共通テスト科目: 英語、数学②、理科②、国語(※古文・漢文除く)。社会は不要です。国語現代文のみを評価し(古文・漢文は共通テストを受験していても得点に含めません)、そのため共通テスト利用科目の満点は合計710点と特殊です。大学独自試験: 面接のみで、独自の筆記試験は課されません。利用目的・注意: 一次試験として共通テストの得点(4教科)をそのまま利用し、面接との総合で判定します。募集人員は5名程度と少ないため、高得点が要求されます。

埼玉医科大学(埼玉県)

共通テスト科目: 英語、数学②、理科②、国語(※古文・漢文含む)。社会は不要です。国語は現代文・古文・漢文を含めた共通テスト「国語」の点数(200点満点)をそのまま利用します。大学独自試験: 小論文と面接。利用目的・注意: 共通テスト4教科の得点+小論文+面接で合否判定します。募集定員は10名。共通テストの国語を満点評価する点で、古典も含めた国語力が問われます。

聖マリアンナ医科大学(神奈川県)

共通テスト科目: 英語、数学②、理科①(1科目選択)、国語(※現代文のみ)。社会は不要です。国語現代文(近代以降の文章)のみで古文・漢文は評価しません。大学独自試験: 小論文と面接。利用目的・注意: 2025年度から新設された共通テスト利用入試で、定員5名で実施されています。理科は1科目受験でよく(科目は物理・化学・生物から選択)、負担が比較的軽い方式ですが、そのぶん共通テスト高得点者が集まりやすい点に注意が必要です。

愛知医科大学(愛知県)

共通テスト科目: 英語、数学②、理科②、国語(※現代文のみ)。社会は不要です。国語現代文のみを評価し、古典(古文・漢文)は含めません。大学独自試験: 面接のみ(小論文なし)。利用目的・注意: 共通テストの得点(4教科6科目)+面接で合否判定。英語・数学・理科に重点を置く私立医大に多いパターンで、国語は現代文読解力のみ見ます。定員は一般枠で10名、他に地域枠5名程度があります。共通テスト後でも出願可能な日程(地域枠B方式)もあります。

大阪医科薬科大学(大阪府)

共通テスト科目: 英語、数学②、理科②、国語(※現代文のみ)。社会は不要。国語現代文のみ評価(古文・漢文は除外)。大学独自試験: 小論文と面接。利用目的・注意: 共通テストの得点+小論文+面接で判定します。旧「大阪医科大学」が2021年に薬科大と統合して以降もこの方式を継続しており、定員は10名。共通テスト重視ではありますが、面接・小論文も含めた総合評価となるため、バランスの良い対策が必要です。

福岡大学(福岡県)

共通テスト科目: 英語、数学②、理科②、国語(※現代文のみ)。社会は不要。国語現代文のみ評価(古文・漢文は含めず)。大学独自試験: 面接のみ。利用目的・注意: 共通テスト得点(4教科)+面接で合否判定します。定員は10名で 、共通テスト利用入試としては比較的標準的な科目構成と言えます。国語が得意でなくとも英数理で挽回可能なため、理系科目重視型の受験生にも検討されます。

3教科5科目型 – 共通テストで課さない教科が2つある方式

対象: 5教科のうち2教科を課さない方式です。典型的には「国語」と「社会」を課さず、英語・数学・理科の3教科(5科目)に絞るパターンです。私立医学部では最も負担が軽い共通テスト利用形態ですが、科目を絞るぶん共通テスト得点率の要求水準は非常に高くなりがちです。また大学によっては英語か国語のどちらか一方で良いなどの独自ルールを設けている場合があります。以下の大学が該当します。

杏林大学(東京都)

共通テスト科目: 数学②、理科②、英語・国語のいずれか1科目(※2科目両方受験した場合は高得点科目を採用)。社会は不要、さらに英語は必須ではなく国語との選択です。国語を選ぶ場合、近代以降の文章(現代文)のみを評価対象としています。大学独自試験: 小論文と面接 。利用目的・注意: 共通テストでは語学1科目(英語 or 国語)+数学+理科の3教科5科目で学力を判定します。他大学と比べユニークな方式で、英語が苦手でも国語で補える点が魅力で、その場合古文漢文は除かれるため現代文読解力が問われます。定員は15名です。

東海大学(東京都(医学部は神奈川県))

共通テスト科目: 英語、数学②、理科② 。国語・社会は課しません。大学独自試験: 小論文と面接。利用目的・注意: 英数理の3教科(5科目)に特化した共通テスト利用入試です。共通テスト得点(3教科)+小論文+面接で合否判定されます。定員は10名で 、共通テスト利用入試としては標準的な定員です。国語や社会が不要な分、数学2科目・理科2科目の得点勝負となるため、理系科目が非常に得意な受験生向きの方式と言えます。

特殊な方式をとる大学 – 上記に当てはまらない独自色の強い方式

対象: 上記のいずれにも当てはまらない独自ルールで共通テストを利用する大学です。複数パターンの共通テスト利用を用意していたり、共通テストでは一部科目しか課さず英語資格試験や独自試験の併用を課すケースなどがあります。受験科目や評価方法が特殊なぶん、出願条件や得点計算方法も注意が必要です。

帝京大学(東京都)

共通テスト科目: 方式が2通りあり、(1) 3科目方式(英語+他2科目)と、(2) 5科目方式(英語+国語+他3科目)を選択できます 。3科目方式では英語(必須)+数学・理科・国語から高得点の2科目、5科目方式では英語+国語(必須)+数学・理科から高得点の3科目を合計します 。国語は「近代以降の文章」(現代文)と「古典(古文・漢文)」を分けて2通りに得点計算し、高得点の方を採用する独自調整を行います。英語もリーディング100点・リスニング100点を各50点満点に圧縮して合算する独自配点です。大学独自試験: 一次選考として共通テストの得点で合否判定を行い(3科目方式・5科目方式それぞれ判定) 、二次選考大学独自の英語試験(長文読解要約)と課題作文, 面接を課します。利用目的・注意: 共通テストでの一次選考合格者のみ二次の独自試験を受けられる方式です。他大学と比べ科目選択・得点調整が複雑なため注意が必要です。3科目方式への出願が必須で、希望者は追加で5科目方式にも出願可能という特殊ルールがあります (5科目方式だけの出願は不可)。募集人数は前期計8名で、共通テスト利用入試としては標準的です。

日本医科大学〈グローバル特別選抜〉(東京都)

共通テスト科目: 国語のみ(※現代文+古文・漢文を含む)を利用。数学・理科・英語の共通テストは課しません。その代わり出願要件として「英検準1級以上」など所定の英語外部試験の成績提出が必要。大学独自試験: 小論文と面接 。利用目的・注意: 2025年度新設のグローバル人材向け特別入試です。共通テストの国語力と英語資格、さらに小論文・面接で総合評価されます。共通テストで理系科目を課さない点が非常に特殊であり、海外の課程出身者や帰国生等も念頭に置いた方式です。募集定員は10名。理科・数学の知識も含めて総合判断されますが、筆記は国語のみのため高得点の現代文力が求められます。

藤田医科大学(愛知県)

共通テスト科目: 英語、数学②、理科②、国語(※古文・漢文除く)、情報Ⅰ。社会は不要ですが、新課程で必修となった「情報」を課す点が特徴です。国語は古文漢文を除いた現代文のみを評価します。大学独自試験: 面接のみ(小論文なし)。利用目的・注意: 全国で唯一、「情報」科目の得点を利用する医学部です。共通テスト5教科相当(社会の代わりに情報)の合計点+面接で合否判定します。情報Ⅰは50点程度の配点で、総点は他大学よりやや変則の750点満点となります 。理系科目に加え情報分野の基礎も求められる点に注意してください。定員は10名。

以上、共通テスト利用方式を設けている私立医学部について、その科目パターン別に概要を説明しました。共通テスト利用入試は、国公立医学部志望者が私立医学部を併願する場合にも有効な手段です。共通テスト後に出願できる日程も多く、直前期の出願計画を立てやすい利点があります。一方で募集人員は5~15名程度と少なく、高得点勝負で非常に競争率が高い点には十分留意してください。




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