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大阪公立大学 英語二次試験:大阪市立大学時代との比較

大阪市立大学と大阪府立大学が統合して大阪公立大学が誕生したのは2022年4月です。統合後初の入試(2022年度)から、英語の個別学力試験(二次試験)の出題形式や傾向にも変化が見られました。ここでは大阪市立大学時代の最後の3年間(2019~2021年度)の英語二次試験と、大阪公立大学発足後の入試(2022年度以降)の違いを解説します。比較のポイントは以下の4つです。

  • 問題形式の違い(記述式/選択式、大問数、長文読解の分量など)
  • 出題傾向の違い(長文テーマやジャンルの変化)
  • 難易度の違い(語彙レベルや設問の深さ)
  • 文法問題や英作文(和文英訳)の有無と扱い

各項目について、大阪市立大学時代と大阪公立大学で何がどう変わったのかを見ていきましょう。

問題形式の変化

大阪市立大学(2019~2021年度)の英語二次試験は、大問が4題構成でした。内訳は「長文読解問題が2題、英作文(和文英訳)問題が1題、そして長文の空所補充問題が1題」というもので、これら4つの大問を試験時間100分で解答しました。設問の回答形式はすべて記述式(記述解答)で、マークシート方式の選択肢問題は基本的に含まれていませんでした。例えば長文読解では内容説明や和訳・要約など自分で文章を書いて答える形式が中心であり、空所補充も適切な語句を自分で記述する形式でした。

大阪公立大学(2022年度~)の英語二次試験では、大問は3題構成に減りました。具体的には「長文読解問題が2題、和文英訳問題が1題」という構成です。試験時間は引き続き100分であるものの、大問数が1つ減ったことで1問あたりに使える時間配分は若干ゆとりが生まれました(後述するように問題自体の易化も見られます)。また、設問形式に変化があり、大阪公立大の長文読解では記述式の設問だけでなく選択肢による設問(マーク式)も含まれるようになりました。例えば長文中の語句空所補充で適切な選択肢を選ぶ問題や、内容一致(正誤判定)の問題など、回答を選択肢でマークする形式が増えています。記述量の負担が減った分、解答しやすい反面ケアレスミスには注意が必要です。総じて大阪公立大学の英語は「記述中心」から「記述+選択肢併用」の形式に変わり、大問数も4問から3問へと整理されました。この変更は、市大と府大それぞれの教授陣による出題委員会で見直しが行われ設問数や形式に違いが生じたものと思われます。

出題傾向(長文テーマや設問)の違い

長文読解の題材(テーマ)について、大阪市立大学では「科学技術や医療系分野の英文」が頻繁に出題されてきた傾向があります。例えば先端科学のトピックや医学に関する文章など、日常的な内容より学術的・専門的な内容の英文が登場しやすいのが市大の特徴でした。設問も内容説明や要旨把握、下線部和訳といった内容理解を問う記述問題が多く、さらに内容一致(文章の正誤判断)や同意表現の選択、英文の並べ替えなど多彩な設問形式が含まれていました。長文が計3題あったこともあり、幅広い形式の問題に対応する総合力が求められました。

大阪公立大学でも、長文のテーマ傾向は基本的に大阪市立大学時代の路線を継承しています。科学・医療系のテーマは引き続き選ばれており、統合によって題材が大きく変わったという声は今のところあまりありません。ただし、新大学では大阪府立大学の出題傾向も取り入れられています。府大の英語二次では和文英訳が重視され、設問形式も空欄補充や言い換え表現の選択肢問題(語法・熟語問題)が多い傾向がありました。そのため大阪公立大学の英語でも、長文内の空所補充問題で熟語の知識を問うなど、語法・イディオムに関する設問が見られます。要するに、大阪公立大学の英語は市大由来の科学的テーマの長文読解に府大由来の語法・熟語問題を織り交ぜたような出題傾向になっていると言えます。もっとも長文テーマ自体は従来と連続性があるため、過去問演習を通じて科学・社会系の英文に親しんでおくことが重要です。

難易度の違い(語彙レベル・設問の深さ)

大阪市立大学(~2021)の英語二次は、難易度が高めの大学として知られていました。特に長文読解の設問難度は近畿圏でも上位に位置し、文章量も3題分あるため速読力と精読力の両方が要求されました。2019年度の大問1の長文は内容が非常に難解で合格者の中にも、「文章の内容が掴めなかった」という人がいたほどです。記述設問も多彩でひねりの利いたものが多く、思考力を問われました。一方、語彙レベル自体は極端に高いわけではない点も市大英語の特徴でした。難しい単語には試験中に注釈(語注)が付く場合も多く、高度な英単語そのものを大量に暗記しないと読めないというよりは、高校標準~やや発展レベルの単語力と文章の論旨を掴む読解力があれば対応可能な難易度。ただし油断は禁物で、文章の構造把握や要旨を押さえる力、そして記述で論理的に答える力がないと高得点は難しい試験でした。

大阪公立大学(2022~)の英語二次試験の難易度は、統合前と比べて若干易しくなっています。他の国公立大と比べても「やや易しい」と感じる受験生が多く、奇問・難問に悩まされるケースは減りました。設問もすべて日本語で指示されており、回答しづらい意地悪な問題は少ない印象です。さらに、前述のように選択肢問題が増えたため、記述で答案を書き損ねるリスクも減りました。長文の文章量も特別に多いわけではなく、内容も比較的読みやすい平易なものが中心です。難易度の目安としては共通テストより少し難しい、一般的な国公立入試の長文が主軸です。極端に高度な内容ではありません。とはいえ油断は禁物です。大阪公立大の英語では長文の配点が大部分を占めます。読解問題が易しめとはいえ長文が苦手な人にとって合格点確保は難しい試験であることに変わりありません。また要求される単語力のレベルは依然高めです。難単語には注釈が付くことも多いですが、注釈が英英辞典の定義の形で示されているのが大阪公立大の特徴で、注釈に頼らず読める語彙力があるに越したことはありません。加えて大阪府立大由来の熟語問題もあるため、語彙+イディオム力はしっかり鍛えておく必要があります。総合すると、大阪公立大学の英語は「以前よりやや易しくなった標準的な難度」ですが、基礎力が確立していないと対応できない点では変わりありません。基礎単語・文法を固めたうえで、長文読解と英作文の演習に力を入れて実戦力を養いましょう。

文法問題・英作文(和文英訳)の有無と変化

大阪市立大学の英語二次では、毎年文法・語法問題と英作文(和文英訳)が出題されていました。文法・語法については、前述の大問4の「長文穴埋め問題」が該当します。約700語程度の英文中に複数の空欄が設けられ、前後の文脈と文法知識から適切な語句を補充する問題でした。空欄部分だけを部分的に読んでも対応できる内容で、いわゆる文法・ボキャブラリー問題と言えます。この形式は大阪市立大特有で、市大志望者は過去問を通じて自分なりの解法パターンを確立して対策する必要がありました。一方、英作文は主に和文英訳問題として出題されていました。与えられた日本語文(ないし段落)の下線部を英語に直す問題で、直訳では難しい表現をいかに平易な英語に言い換えるかがポイントでした。年度によって難易度に波があり、2019年度は和文英訳がやや難しいレベルでした。この和文英訳や自由英作文(出題形式は年によって異なる)は、多くの受験生にとって得点差が生まれやすい分野でした。現役生だと対策が手薄になりがちなため、演習量の差がそのまま得点差につながったのです。

大阪公立大学でも、文法・語法と英作文(和文英訳)は依然として重要な位置を占めます。ただしその出題のされ方に若干の変化があります。まず文法・語法については、大問1・2の長文読解の中に空所補充(文法穴埋め)や整序問題(語句並べ替え)として組み込まれる形になりました。大阪府立大学の傾向を受け継ぎ、熟語の言い換えや語句の選択肢問題が含まれる点も新しい特徴です。したがって文法知識のみならず語法・イディオムの知識が問われる場面が増えています。以前の大阪市立大のような独立した文法大問はなくなりましたが、設問中に組み込まれた形で文法力を試すという形で残っていると言えるでしょう。

英作文については、和文英訳問題が引き続き出題されています。大阪公立大では全学部共通で大問3が和文英訳となっており、日本語文中の下線部を英語に訳す問題です。内容は評論的・文章的な一節からの出題が多く、日本語特有の表現をいかに平易な英語に直すかが問われます。難易度については、「問題そのものが特別難しいわけではないが英作文に不慣れな受験生にはやや難しく感じられる」レベルです。実際、英文を書く訓練が不足していると時間内に適切な英訳を仕上げるのは難しいため、早めに対策を始めて英語で表現する力に慣れておくことが重要。総じて、大阪公立大学でも文法穴埋めと和文英訳は健在ですが、その出題形式が「長文の中に組み込む」方向に変わった点に注意しましょう。記述量が減った分サービス問題化した部分もありますが、記述対策を怠ると得点源を落とすことになります。

以下に、以上の比較ポイントを表にまとめます。

比較項目      大阪市立大学(2019~21年度)大阪公立大学(2022年度~)
問題形式大問4題(長文読解×2、和文英訳(英作文)×1、長文穴埋め×1)。全設問が記述式で、自分で英文和訳や内容説明を書く形式が中心。試験時間100分。大問3題(長文読解×2、和文英訳×1)。長文読解内に内容一致・空所補充など選択肢解答の設問が含まれる。記述式とマーク式の併用形式に移行。試験時間100分。
出題傾向長文は科学・医療系テーマが頻出。設問形式は内容説明、正誤判定、空所補充、同意表現選択など多岐にわたる。英語本文の分量は3題合計で多め。長文テーマは市大時代と大きな変化なし(科学・社会系が中心)。語法・熟語を問う設問が追加(府大の傾向を継承)。設問数は減少(大問3題)し、問題量はやや整理された印象。
難易度やや難しい(近畿圏でも上位レベル)。読解量が多く速読力・記述力が要求される。語彙は標準的だが内容把握は難度高め。年度によっては難化(例:2019年度)。標準的~やや易しい。長文は共通テストより少し難しい程度で分量も適度。記述より選択肢中心で解きやすいが、高い読解力と語彙・熟語力は依然必要。
文法・英作文法・語法は長文穴埋め(クローズテスト)で出題。英文中の空欄に適語を記述する形式。英作文は和文英訳が出題され、難度は高め。日本語を平易な英語に置き換える翻訳力が鍵。文法・語法は長文中の空所補充・整序問題として出題。選択肢形式で熟語の言い換えを問うこともあり、語法知識が重要。英作文は全学部で和文英訳を出題。記述量は減少したが、英作文に不慣れだと難しく感じるため要対策。

まとめ

大阪市立大学から大阪公立大学への移行に伴い、英語二次試験の大問数や設問形式にいくつかの変更が見られました。大問数が4→3に減少し、記述式一辺倒から記述+選択肢併用形式に変わったことで、試験の印象はやや解きやすく平易になっています。しかし、出題テーマの傾向(科学・社会系の長文)や和文英訳を含む英作文の出題など、根幹部分は従来を踏襲しています。難易度も他大学と比べれば比較的取り組みやすくなったとはいえ、長文読解力と語彙・文法力をしっかり身につけていないと対応は難しい点に変わりはありません。

受験生へのアドバイス: 大阪公立大学の英語では、長文読解と和文英訳で確実に点を取れる実力を養うことが合格への鍵です。市大時代の過去問も参考になりますが、大阪公立大独自の傾向(例えば選択肢問題や熟語問題の出題)にも対応できるよう、演習を積んでおきましょう。語彙は共通テストレベルを超えるレベルまでカバーしておく必要があります。文法は基礎を完璧にし、長文中で出てくる構文や表現に注意して学習してください。和文英訳対策としては、難しい日本語を平易な表現に言い換えて英訳する練習を重ねることが有効です。これらの対策を通じて記述力・表現力を養えば、大阪公立大学の英語二次試験でもきっと合格点に手が届くでしょう。最後まで頑張って対策してください。

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