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共通テスト浪人志願者数の推移(2016~2025年度)

センター試験(2016~2020年度)の志願者数と浪人生割合

2016~2020年度の大学入試センター試験では、志願者数はおおむね56~58万人台で推移しました。そのうち浪人生(既卒者)は毎年約9~10万人程度で、全志願者に占める割合は17~18%前後でした。

例えば2016年度(平成28年度)センター試験では志願者数563,765人のうち浪人生は96,454人で約17%を占め 、2019年度(平成31年度)センター試験では志願者576,829人中浪人生106,682人(約18.5%)に達しました。最終回となった2020年度(令和2年度)センター試験では志願者数557,699人、浪人生100,376人(約18.0%)となり、浪人生数・割合ともにセンター試験時代のピークからやや減少しました。

こうした推移から、センター試験時代には浪人生が全受験者の約5人に1人を占めていたことがわかります。当時は現在より浪人が一般的であり、1990年代には浪人生の割合が35%を超える年もありました。しかし後期になるにつれ現役志向が強まり、センター試験最後の数年間で浪人生割合は18%前後まで緩やかに低下していました。

共通テスト(2021~2025年度)の志願者数と浪人生割合

大学入学共通テストが始まった2021年度以降、志願者数は毎年減少傾向にあります。2021年度(令和3年度)共通テストの志願者数は535,245人で、前年のセンター試験より約2.2万人減少しました。浪人生の志願者数は81,007人となり、全体に占める割合は約15%に低下しました。センター試験最終年に約18%あった浪人生比率が大きく下がり、浪人生数・割合は共通テスト移行後に急減したことがわかります。

その後も浪人生の減少傾向は続き、2022年度共通テストでは浪人生76,785人・全志願者の14.5% 、2023年度には浪人生71,642人・13.9% となりました。2024年度(令和6年度)共通テストでは志願者数491,914人とついに50万人を割り 、浪人生は68,220人・全体の13.9%にまで低下しています。2025年度(令和7年度)共通テストでは志願者数が495,171人と微増に転じた一方、浪人生は64,974人(13.1%)と過去最少を更新しました。共通テスト開始以降、浪人生の数と割合は毎年減少を続け、2025年度には全志願者の約7人に1人程度にまで低下しています。

この背景には18歳人口の減少と現役進学志向の高まりがあります。実際、2021年度共通テストの浪人生志願者81,007人から2025年度には約6万5千人まで減少し、「受験生の現役志向が急速に進んでいる」ことが指摘されています。現役生の大学進学希望者はむしろ増加傾向にあり、2020年代に入り浪人を選ばず現役で進学する傾向が一段と強まったといえるでしょう。

2026年度共通テスト:2浪生の志願者増加というニュース

ところが、最新の2026年度(令和8年度)大学入学共通テストの志願状況では一部に異例の動きがみられました。高校卒業後2年目の受験生(いわゆる「2浪生」)の志願者数が前年の約1.4倍に急増したのです。大学入試センター公表の志願者内訳によれば、2026年度共通テスト志願者総数496,237人(前年度比+1,066人)のうち現役生は約42万人と5千人以上減少した一方、既卒者は71,310人と約6千人増加しました。特に前々年度卒業(2浪生)が12,516人と前年の8,633人から3,883人も増え、2浪生だけで約45%増という顕著な伸びを示しました。現役生減少分を2浪以上の既卒者が補う形で、全体の志願者数がわずかに増加した格好です。

この「2浪生の増加」について、専門家や報道各社も注目し、いくつかの背景要因が指摘されています。

  • 新旧課程入試の狭間による安全志向: 2025年度入試から高校新課程に対応した共通テストが始まりましたが、現2浪生が現役だった2024年度入試は旧課程最後の年でした。翌2025年度は旧課程出身者に経過措置があったとはいえ、自分たちの学んでいない新課程内容での試験になる不安から、「浪人せず現役で大学に入った方がいい」という安全志向が特に強まった世代と考えられます。実際、彼らが浪人を選ばなかった結果、2025年度の浪人生志願者は大きく減少していました。しかしその反動で、現役で進学したものの「やはり第一志望に行きたい」と考え直し再チャレンジする動きが今年、一気に表面化した可能性があります。大学全入時代に敢えて再々チャレンジ(2浪以上)する受験生は「超難関国立大学」を目指す層だとされ、現役時に安全策で進学した学生が東大・京大や医学部などの難関校への再挑戦を決意したケースが多いと推測されます。
  • 「仮面浪人」がしやすい環境: 2026年度入試から共通テストの出願時に高校の卒業証明書提出が不要となり、既卒者は出身高校に連絡せずに出願できるようになりました。この制度変更が「現在大学に在籍しながら内緒で再受験(仮面浪人)する人」にとって朗報となり、2浪生の出願増加の一因ではないかと分析できます。高校の推薦入試で進学した場合など、在籍大学と高校に浪人が知られることを避けたい学生でも共通テストを受けられる環境が整ったため、在学中に再受験に踏み切る人が増えた可能性があります。
  • 医学部志望者など再受験動向: 難関の医学部はじめ人気学部では、近年も複数年浪人で合格を目指す受験生が存在します。2021年度には浪人生志願者が8万人を超えていましたが、その後急減した浪人生が再び2026年度に増加へ転じた要因として、「進学後に志望変更して医学部再受験を目指す動き」も考えられます。医学部志望者数自体もここ数年で増加傾向であり、難関医学部への再挑戦組が2浪生増加を押し上げた側面もあるかもしれません。今回2浪生として出願した人々の多くは一度別の大学・学部に進んだ後、「在籍大学を休学せず在学のまま共通テストを受け直す」選択(いわゆる仮面浪人)をしている可能性があります。新課程入試が思ったほど不利ではなかったことも後押しとなり、「もう一度本当に行きたい道(難関大学や医学部)に挑戦しよう」という受験生心理が働いたようです。

以上のように、2026年度共通テストでの2浪生急増は、高校カリキュラム移行期の特殊事情や出願制度の変更、難関分野への再挑戦志向などが複合的に影響した現象と思われます。

統計が示す傾向と留意点

近年の統計からは、「できれば浪人を避けて現役で進学したい」という受験生・保護者の志向が一段と強まっていることが読み取れます。実際、共通テスト志願者に占める現役生の割合は年々上昇し、2025年度には約86~87%と過去最高水準に達しました。大学入試の枠自体も拡大し、現役で合格できる機会が増えたことが背景にあります。

現役生にとっては、これらの数字は「多くの同級生が浪人せず進学している」現状を示しています。現役志願率(高校卒業予定者のうち共通テスト出願者の割合)は全国平均で45%前後まで上昇し過去最高を更新中です。進路指導上も「現役合格」を目標に掲げる学校が増えており、東大、浪人は以前よりは特殊な選択肢になりつつあります。

一方、浪人生や保護者の方へは、近年の浪人減少傾向を踏まえつつも、浪人そのものの価値を否定的に捉える必要はありません。統計上は浪人生全体が減少していますが、その内訳を見ると最難関大学や医学部を目指して敢えて浪人する層が存在します。今回明らかになった2浪生増加の事例が示すように、「本当に行きたい大学・学部への再チャレンジ」を選ぶ学生もいます。浪人を経て目標を達成する道も確実にあり、その際には出願制度の変化や学習環境の活用など有利な点も出てきています。重要なのは、浪人の是非を周囲の数字だけで判断せず、本人の目標や適性、モチベーションを十分考慮することです。

近年のデータを客観的に見ると、浪人生は減り現役生が増える傾向は続いています。ただし、その背景には大学入試制度の変化や社会情勢も影響しています。受験生・保護者の皆さんには、この傾向を踏まえて自分たちの進路戦略を考えつつ、仮に浪人を選ぶ場合でも最新の情報(出願要件の変更や各大学の動向など)を把握して計画を立てることをおすすめします。統計はあくまで全体傾向を示すものですが、最終的な進路選択は個々の状況次第です。現役・浪人を問わず、自分にとって納得のいく道を選び、全力で受験に臨んでください。

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