医学部専門個別予備校

私立医学部「旧設」10校を徹底解説!御三家との違いや圧倒的な学閥・影響力とは?

私立医学部の受験において、偏差値や立地以上に語られるのが「伝統」と「格付け」です。その中でも「旧設(きゅうせつ)」と呼ばれる大学群は、日本の近代医学を支えてきた文字通りのエリート校。

今回は、私立医学部の序列において頂点に君臨する「旧設13校」にスポットを当て、その歴史、背景、そして現在の医療界における圧倒的な影響力を解説します。

私立医学部「旧設」とは?その定義と顔ぶれ

医学部の世界では、設立時期によって大学がグループ分けされます。1970年代の「一県一医大構想」以前から存在していた歴史ある大学が「旧設」です。

旧設はさらに、最上位の「御三家」と、それに次ぐ「旧設10校」に分けられます。

【私立医大御三家】

【旧設10校】

これら13校は、戦前の「旧制医学専門学校」や「旧制大学」をルーツに持ち、100年近い(あるいはそれ以上の)歴史を誇ります。

設立の経緯:日本の近代化と「志」の記録

旧設各校のルーツを紐解くと、そこには「日本の医学を近代化させる」という強い志が見えてきます。

官立(国公立)への対抗心と独自性

明治〜大正期、日本の医学は東大を中心とした官立主導で進められました。しかし、官僚的な医学教育に対し、「真の臨床医を育てたい」「福澤諭吉の精神を医学に(慶應)」「病気を診ずして病人を診よ(慈恵)」といった独自の哲学を掲げて誕生したのが私立の旧設校です。

  • 順天堂大学 江戸時代後半の蘭学塾まで遡る、日本最古の西洋医学塾がルーツ。
  • 日本医科大学 「済生救民」を掲げ、長谷川泰によって設立された日本最古の私立医学校。
  • 東京女子医科大学 吉岡彌生が「女性の地位向上」と「女医の育成」を掲げて創設。当時としては画期的な挑戦でした。

これらの大学は、戦争や震災といった幾多の困難を乗り越え、日本の医療インフラが整っていない時代から地域医療を支え続けてきました。

現在の医療界における圧倒的な「影響力」

「なぜ旧設が評価されるのか?」その答えは、単なる偏差値ではなく、卒業生が築き上げてきた「学閥(がくばつ)」「関連病院の数」にあります。

① 巨大な関連病院ネットワーク

旧設校は、数十から数百の「関連病院(医局員を派遣している病院)」を抱えています。

例えば、慶應は関東の主要病院のポストを独占しており、日本医科大学慈恵も都心の主要な救急・高度医療機関に強い影響力を持ちます。これは、学生が卒業した後の「専門医研修」や「キャリア形成」において、圧倒的な選択肢と有利なポストを提供することを意味します。

② 日本医師会・学会へのパイプ

日本医師会の歴代会長や、各医学会の理事長・重鎮の多くは旧設校の出身者です。医療行政やガイドラインの策定に関わるポジションに卒業生が多数いることは、大学としての「格」を揺るぎないものにしています。

③ 盤石な「同窓会」の結束力

私立医学部の特徴として、同窓会の結束力が極めて強いことが挙げられます。

  • 親が医師、子が医学部生というケースが非常に多く、代々続く信頼関係が寄付金や大学経営の安定に寄与しています。
  • 開業する際や、キャリアの節目で先輩医師からの手厚いバックアップが期待できるのも、歴史ある旧設校ならではのメリットです。

各大学の特色と現在の立ち位置(サマリー)

カテゴリ大学名特色・現在の影響力
御三家慶應私立の頂点。研究・臨床ともに東大に匹敵。政財界との繋がりも最強。
慈恵「臨床の慈恵」と呼ばれ、丁寧な診察と学風で知られる。都心のブランド力抜群。
日医日本最古の伝統。救急医療のパイプが強く、質実剛健な医師を多数輩出。
旧設10順天堂近年、偏差値・研究力ともに急上昇。「スポーツ医学」や「国際化」でもリード。
昭和医・歯・薬・保健医療の4学部連携が強み。全寮制の教育など結束力が強い。
日大卒業生数が日本一。全国の病院長に日大出身者が多く、人脈の広さは随一。
東医新宿という立地を活かし、症例数が豊富。救急や高度外科に強み。
大阪医薬関西私立医学部の雄。京大・阪大との交流も深く、関西圏での影響力大。
久留米九州の私立医学部の伝統校。地域医療のリーダーであり、研究実績も豊富。

まとめ:歴史は「安心」と「チャンス」に変わる

私立医学部の「旧設」を選ぶということは、単に医学を学ぶ場所を選ぶだけでなく、「100年かけて築かれた巨大な医療ネットワークのチケットを手に入れる」ということと同義です。

新設校が最新の設備やカリキュラムで追随していますが、教授職の輩出数や関連病院のポスト、そして医療界の「暗黙の了解」としての序列において、旧設13校の壁は依然として厚いのが現状です。これから医学部を目指す方にとって、旧設校は高いハードルですが、その先にあるキャリアの広がりは、努力に見合うだけの価値があると言えるでしょう。

関連記事

TOP