2027年度、令和9年度の医学部医学科入試では、募集人員の変更、地域枠・推薦枠の再編、共通テスト「情報Ⅰ」の扱い、数学B「統計的な推測」の追加、私立医学部の日程変更など、受験戦略に直結する変更が相次いでいます。
ここでは、2026年4月25日時点で公表・確認できる国公立大学・私立大学医学部医学科の2027年度入試変更点をまとめます。なお、今後変更・追加される可能性があるため、最終的には各大学の募集要項を必ず確認してください。
目次
2027年度医学部入試変更の全体傾向
2027年度医学部入試で特に注目すべきポイントは、次の5つです。
1つ目は、国公立医学部で地域枠・推薦枠の再編が進んでいることです。山梨大学では学校推薦型選抜Ⅱに全国募集枠が新設され、徳島大学・愛媛大学・熊本大学などでも地域枠や推薦枠の条件・人数に変更があります。
2つ目は、共通テスト「情報Ⅰ」の扱いが本格化していることです。筑波大学、徳島大学、香川大学などで、情報の配点や換算方法に変更が見られます。
3つ目は、私立医学部で数学B「統計的な推測」を出題範囲に加える大学が出ていることです。順天堂大学や藤田医科大学では、数学の出題範囲に統計分野が加わります。
4つ目は、私立医学部の入試日程変更です。埼玉医科大学、愛知医科大学、関西医科大学などで一次試験・二次試験の日程変更があり、併願戦略に影響します。
5つ目は、地域医療に関わる選抜方式の拡大です。東北医科薬科大学では一般選抜に「東北地域定着枠(仮称)」が新設され、東京女子医科大学では一般選抜地域枠が導入されます。
国公立医学部医学科の2027年度入試変更点
旭川医科大学
旭川医科大学医学部医学科では、前期日程で大きな変更があります。前期の募集人員は40名から48名に増加し、大学入学共通テストの理科配点は200点から100点へ変更されます。一方で、個別学力検査では新たに理科2科目が追加され、英語・数学・面接に加えて、物理・化学・生物から2科目を受験する形になります。
これまで共通テスト重視で旭川医科大学を考えていた受験生にとっては、二次試験の理科対策が必須になる点が最大の変更です。理科の記述対策まで含めた学習計画の見直しが必要です。
弘前大学
弘前大学医学部医学科では、総合型選抜と前期日程に変更があります。総合型選抜では、これまで求められていた評定平均4.3以上という条件が不問になります。また、前期日程では面接が300点満点で点数化されていましたが、2027年度からは点数化されない扱いになります。
評定条件がなくなることで、総合型選抜の出願可能者は広がります。一方、前期日程では面接の点数差が合否に直接影響しにくくなるため、学科試験の重要度が相対的に高まると考えられます。
筑波大学
筑波大学医学群医学類では、前期日程における共通テスト「情報Ⅰ」の換算方法が変更されます。2026年度は情報の得点に一定の換算が加えられていましたが、2027年度は一律加点部分が小さくなり、実際の情報の得点がより反映される形になります。
筑波大学を志望する受験生は、「情報Ⅰ」を軽視できません。共通テスト情報の得点差が、これまで以上に合否へ影響する可能性があります。
東京大学
東京大学理科三類では、募集人員が97名から94名に変更されます。これは、東京大学が新たに設置を予定している「College of Design」関連の定員調整に伴うものとされています。
理科三類はもともと全国最難関の医学部入試ですが、募集人員が3名減少することで、さらに厳しい競争になる可能性があります。
新潟大学
新潟大学医学部医学科では、前期日程の募集人員が10名減少し、その分、地域枠推薦の募集人員が増加します。複数の予備校集計では、前期80名から70名、地域枠推薦が10名増という変更として整理されています。
一般前期で新潟大学を目指す受験生にとっては、募集人員減により難度上昇が予想されます。一方、地域枠の条件に合う受験生にとっては、推薦型選抜の活用が重要になります。
山梨大学
山梨大学医学部医学科では、学校推薦型選抜Ⅱに全国募集枠10名以内が新設されます。従来の県内募集枠に加えて、全国の高校卒業者・卒業見込み者が出願可能な枠が設けられる形です。なお、出願可能者には卒業後2年以内などの条件があります。
山梨大学は一般選抜後期日程で知られる医学部ですが、2027年度以降は推薦型選抜の全国枠も注目されます。評定、面接、小論文、地域医療への理解など、一般選抜とは異なる対策が必要です。
三重大学
三重大学医学部医学科では、総合型選抜が5名新設され、前期日程の募集人員は75名から70名に減少します。
一般前期の枠が減る一方で、総合型選抜という新しい入口が増えるため、三重大学を志望する受験生は、自分が一般選抜型なのか、総合型選抜型なのかを早めに見極める必要があります。
和歌山県立医科大学
和歌山県立医科大学医学部医学科では、前期日程の募集人員が64名から61名に変更されます。
募集人員の減少幅は3名ですが、医学部入試では数名の定員変更でも倍率や合格最低点に影響することがあります。和歌山県立医科大学を第一志望にする場合は、より確実に得点を積み上げる戦略が求められます。
広島大学
広島大学医学部医学科では、前期日程の第一段階選抜倍率が約5倍から約3倍に変更されます。また、面接は従来の段階評価から200点満点で点数化される形になります。
第一段階選抜が厳しくなることで、共通テストの得点がより重要になります。さらに、面接が点数化されるため、広島大学志望者は学力だけでなく、医師志望理由、地域医療への理解、倫理観、コミュニケーション力を具体的に準備する必要があります。
徳島大学
徳島大学医学部医学科では、複数の変更があります。前期日程の募集人員は55名から50名へ減少し、第一段階選抜の基準点が600点から630点へ引き上げられます。また、共通テスト「情報Ⅰ」が50点で点数化されます。さらに、総合型選抜では全国枠5名が新設され、一般枠には卒後の初期臨床研修に関する条件が追加されます。
徳島大学では、共通テスト全体の得点力と情報Ⅰ対策が重要になります。第一段階選抜の基準が上がるため、二次試験対策以前に、共通テストで確実に高得点を取る必要があります。
香川大学
香川大学医学部医学科では、推薦Ⅱに共通テスト「情報Ⅰ」が追加されます。また、前期日程でも情報Ⅰが20点で扱われます。
香川大学志望者は、情報Ⅰを「配点が低いから後回し」にするのではなく、確実に失点を抑える科目として対策する必要があります。
愛媛大学
愛媛大学医学部医学科では、地域枠推薦の募集人員が20名から5名に減少します。また、推薦ⅡAには卒後3年間の就労義務が追加されます。
地域枠推薦を考えている受験生は、単に合格可能性だけでなく、卒後の勤務条件や義務年限を十分に理解したうえで出願することが重要です。
熊本大学
熊本大学医学部医学科では、学校推薦型選抜Ⅱの募集枠が再編されます。従来の一般枠、地域枠、みらい医療枠の構成から、熊本医療枠、地域枠、みらい医療枠へと変更される形です。
熊本大学の推薦型選抜を考える場合は、各枠の出願条件、卒後の義務、対象地域、選抜方法を必ず確認する必要があります。
私立医学部医学科の2027年度入試変更点
東北医科薬科大学
東北医科薬科大学医学部では、一般選抜に東北地域定着枠(仮称)25名が新設されます。これは、宮城県以外の東北5県での診療を希望し、修学資金制度に応募する受験生を対象とする枠です。2027年度の一般選抜では、東北地域定着枠20名、修学資金枠A方式宮城県枠10名、東北地域定着枠(仮称)25名、一般枠40名、共通テスト利用一般枠5名という構成が示されています。
東北地方での地域医療に強い意志がある受験生にとっては、新たな選択肢になります。一方で、修学資金や卒後勤務条件を十分に理解したうえで出願する必要があります。
自治医科大学
自治医科大学については、私立医学部の変更点をまとめた予備校集計で、総合型選抜として栃木県地域枠2名の募集が掲載されています。
自治医科大学はもともと都道府県ごとの選抜や卒後義務と密接に関わる大学です。出願を検討する場合は、大学公式の募集要項と各都道府県の案内を必ず確認してください。
埼玉医科大学
埼玉医科大学では、2027年度入試日程が公表されています。一般選抜前期は、出願期間が2026年12月14日から2027年1月20日、一次試験が2027年2月4日、二次試験が2月14日、合格発表が2月18日です。
2026年度と比べて一般前期の日程が変更されるため、他の私立医学部との試験日重複に注意が必要です。特に首都圏私立医学部を複数受験する場合は、一次試験・二次試験の移動日程まで含めて併願校を組む必要があります。
昭和医科大学
昭和医科大学では、2027年4月に鷺沼キャンパスが開設され、医学部・歯学部・薬学部・保健医療学部の2・3年次と4年次の一部が対象となる予定です。
これは入試科目そのものの変更ではありませんが、入学後のキャンパスや学修環境に関わる重要な変更です。昭和医科大学を志望する受験生は、どの学年でどのキャンパスに通うのかも確認しておきましょう。
東京医科大学
東京医科大学では、全国ブロック別学校推薦型選抜の募集枠が、従来の各ブロック1名以内から各ブロック2名以内へ拡大されます。また、一般選抜と共通テスト利用選抜の二次試験は、2027年2月13日または14日のいずれかに実施され、内容はMMI形式の面接とされています。地域枠については別途申請予定とされています。
推薦型選抜のチャンスが広がる一方で、MMI面接への対応が重要になります。通常の個人面接だけでなく、状況判断、倫理的判断、コミュニケーション力を問う対策が必要です。
順天堂大学
順天堂大学医学部では、2027年度入試から数学の出題範囲に数学B「統計的な推測」が追加されます。変更後の出題範囲は、数学Ⅰ・数学Ⅱ・数学Ⅲ・数学A・数学B・数学Cで、数学Bには「数列」と「統計的な推測」が含まれます。
順天堂大学は数学の得点力が合否に大きく関わる大学です。これまで統計分野を後回しにしていた受験生も、2027年度入試では標準問題を確実に解けるレベルまで仕上げる必要があります。
東京女子医科大学
東京女子医科大学では、2027年度入試から総合型選抜が導入されます。試験時期は10月で、選抜内容は思考力試験、小論文、個人面接とされています。また、一般選抜では地域枠も導入されます。
東京女子医科大学を志望する受験生にとって、一般選抜以外の受験機会が広がる変更です。特に総合型選抜を検討する場合は、早い段階から小論文と面接の準備を始める必要があります。
東邦大学
東邦大学医学部では、同窓生子女入試と推薦入試の出願要件が変更されます。現行では高等学校卒業者または卒業見込み者が対象でしたが、2027年度からは2022年3月以降の卒業者および2027年3月卒業見込み者が対象になります。また、総合入試・同窓生子女入試では、出願書類40点、基礎学力60点、適性30点、面接50点の合計180点となり、基礎学力試験の時間は60分から70分へ変更されます。
既卒生にも出願機会が広がる一方、基礎学力試験の時間や配点が明確化されるため、試験形式に合わせた対策が必要です。
愛知医科大学
愛知医科大学では、一般選抜の小論文実施日が変更されます。2026年度は二次試験日に実施されていましたが、2027年度は一次試験日に実施されます。ただし、小論文の評価は二次試験で利用されます。
また、一般選抜の一次試験は2027年2月9日、二次試験は2月18日・19日・20日に実施される予定です。共通テスト利用選抜の二次試験も一般選抜と同一日程になります。
一次試験日に小論文まで受ける必要があるため、受験当日の負担は増えます。英語・数学・理科だけでなく、小論文の時間配分や集中力維持も重要になります。
藤田医科大学
藤田医科大学では、2027年度入試から数学の出題範囲が変更されます。ふじた未来入試では、数学Ⅲと数学B「統計的な推測」が追加されます。一般入試でも数学Bに「統計的な推測」が追加されます。
藤田医科大学は、数学の問題量や処理力が重要な大学です。統計分野が追加されることで、平均・分散・標準偏差・正規分布・仮説検定などの基本事項を、計算問題としても理解しておく必要があります。
大阪医科薬科大学
大阪医科薬科大学医学部では、学校推薦型選抜の出願資格に英語資格・検定試験のスコア要件が追加されます。対象となるのは指定校制推薦入試と公募制推薦入試で、TOEFL iBT、IELTS、英検、TEAP、GTEC CBT、ケンブリッジ英語検定などの基準スコアが示されています。
推薦入試を検討している受験生は、学力試験対策だけでなく、英語資格の取得時期にも注意が必要です。原則として2026年11月1日時点で基準を満たす必要があるため、高3秋になってからでは間に合わない可能性があります。
関西医科大学
関西医科大学医学部では、2027年度から一般選抜前期日程などのスケジュールが変更されます。一般選抜前期と共通テスト・一般併用選抜の一次試験は2027年2月2日、一般選抜前期・共通テスト利用前期・共通テスト一般併用選抜の二次試験は2月20日または21日に実施予定です。
関西医科大学は関西圏の私立医学部志望者にとって重要な併願校です。大阪医科薬科大学、近畿大学、兵庫医科大学、愛知医科大学、藤田医科大学などとの日程重複を確認しながら出願戦略を立てる必要があります。
久留米大学
久留米大学医学部医学科では、2027年度から共通テスト利用選抜A日程・B日程が導入されます。募集人員はA日程が約5名、B日程が約3名とされています。
久留米大学は九州圏の私立医学部志望者にとって重要な大学です。共通テスト利用選抜が導入されることで、共通テストで高得点を取れる受験生には新たな出願機会が生まれます。
2027年度医学部入試で受験生が注意すべきポイント
「情報Ⅰ」を捨て科目にしない
2027年度入試では、国公立医学部で共通テスト「情報Ⅰ」の扱いがより明確になっています。筑波大学、徳島大学、香川大学などでは、情報Ⅰの配点や換算方法が合否に影響します。
医学部受験生は英語・数学・理科に時間を割きがちですが、共通テスト情報で大きく失点すると、第一段階選抜や総合点で不利になる可能性があります。
数学B「統計的な推測」への対応が必要
私立医学部では、順天堂大学や藤田医科大学で数学B「統計的な推測」が出題範囲に追加されます。
統計は、従来の医学部数学で頻出だった微積分、ベクトル、数列、確率とは異なる分野です。基本用語を暗記するだけではなく、データの読み取り、期待値、分散、標準化、正規分布などを問題演習で確認しておきましょう。
地域枠・推薦枠は「合格しやすい枠」ではなく「条件付きの枠」
2027年度は、山梨大学、徳島大学、愛媛大学、熊本大学、東北医科薬科大学、東京女子医科大学などで、地域枠や推薦枠に関する変更が目立ちます。
地域枠は、合格の可能性を広げる選択肢である一方、卒後の勤務義務、修学資金、対象地域、診療科の制限などが関わる場合があります。出願前に、本人だけでなく保護者も含めて条件を確認することが重要です。
私立医学部は日程変更で併願戦略が変わる
埼玉医科大学、愛知医科大学、関西医科大学などでは、2027年度に試験日程の変更があります。
私立医学部入試では、一次試験の日程だけでなく、二次試験の日程も非常に重要です。一次試験に合格しても、二次試験が他大学と重なると受験できない場合があります。2027年度受験生は、例年以上に早い段階で併願カレンダーを作成する必要があります。
まとめ|2027年度医学部入試は「情報・統計・地域枠・日程変更」に要注意
2027年度の医学部医学科入試では、国公立・私立ともに重要な変更が多数あります。特に注意すべきなのは、次の4点です。
国公立医学部では、地域枠・推薦枠の再編と共通テスト情報Ⅰの扱いに注意が必要です。
山梨大学、徳島大学、愛媛大学、熊本大学などでは、募集枠や出願条件が変わります。
私立医学部では、数学B「統計的な推測」の追加が重要です。
順天堂大学や藤田医科大学を受験する場合、統計分野の対策を後回しにしてはいけません。
私立医学部の日程変更により、併願戦略の見直しが必要です。
埼玉医科大学、愛知医科大学、関西医科大学などを受験する場合は、一次試験・二次試験の日程重複を必ず確認しましょう。
地域枠・推薦型選抜は、出願条件と卒後義務の確認が不可欠です。
合格可能性だけで判断せず、将来の勤務条件まで理解したうえで出願することが大切です。
2027年度医学部入試は、単に「偏差値」や「過去問」だけで判断できる入試ではありません。変更点を正確に把握し、自分に合った受験方式と併願戦略を早めに組み立てることが、合格への第一歩になります。