共通テストは問題文の長文化やデータ資料を用いた設問が増え、従来の試験以上に時間配分の戦略が重要になっています。2021年度からの共通テストでは文章量の増加や資料分析問題の比重拡大、そして一部に難度の高い問題が含まれる出題傾向の変化が見られます。このガイドでは、これらの傾向を踏まえ、受験生本人が各科目の小問ごとにどれくらい時間をかけるべきか、またどの順番で解くのが効率的かを詳しく解説します。時間不足で実力を発揮できない事態を避けるために、ぜひ参考にしてください。
目次
共通テストの傾向と時間配分のポイント
- 文章量の増加: 国語以外の科目でも問題文が長文化しています。たとえば数学I・Aでは問題文の総文字数がこの15年で約5倍に増加し、会話形式の設定など文章を高速かつ正確に読み解く力が求められます。読み取りに時間を取られる傾向が強まった分、計画的な時間配分が不可欠です。
- 資料分析問題の比重拡大: 地理歴史や理科では統計グラフ・表、地図、写真など資料を読み取る設問が大幅に増えています。実際、地理では全ての問題に資料が使われ、複数の資料を組み合わせて考察する設問も見られます。基本的な知識で解ける問題が多い一方、資料読解に時間を要するため確実な読解力と時間配分の工夫が求められました。
- 思考力を問う難問の出現: 共通テストには易しい問題だけでなく難関大レベルの難問も含まれます。英語ではリーディング第7問・第8問およびリスニング第5問が特に難しく 、数学でも2022年度に平均点が急落するなど高い思考力を要する設問が散見されます。このため、一部の難問に時間をかけすぎない戦略が必要です。
- 時間不足対策の重要性: 「時間があれば解けたのに…」というミスを防ぐには、各科目ごとに目安時間を決めて解く順序を工夫することが重要です。難問に時間を割きすぎて基本問題に手が回らないケースが多いため 、解ける問題から着実に得点し、難しい問題は後回しにするメリハリが合格点獲得の鍵となります。
以上を踏まえ、以下に科目別の時間配分と優先順位をまとめます。
国語(現代文・古文・漢文)
- 現代文(評論): 約25分を目安に配分します。近年の共通テスト国語では評論文の文章量が増え、設問数・配点ともに最多です。内容も抽象度が高く思考力を問うため、最も時間をかけて丁寧に読み解くべきパートです。
- 現代文(小説): 18~20分程度をかけます。一見読みやすい小説ですが、登場人物の心情や描写の意図を自分の思い込みで判断しないよう注意が必要です。本文中の根拠を丁寧に拾い、評論と同程度に時間を割いて確実に解答しましょう。
- 現代文(資料読み取り): 約10分で解きます。2025年度から第3問に新設された図表・グラフ等の資料読み取り問題は、1990年以来の大きな変化でした。図表の数値や傾向など必要な情報を素早く把握し、不要な部分は読み飛ばす意識で取り組みます。文章量自体は他の大問より少ないため、短時間で回答し後続の古典に時間を残します。
- 古文: 約15分で解答を終えるのが目標です。古文は文章が複数提示されることもありますが、基本的な単語・文法を習得していれば文章そのものの難易度は高くありません。素早く内容を把握し、現代文より配点が低い分、時間はできるだけ短縮します。
- 漢文: 約10~15分で解き切ります。漢文は句形・漢字の基礎を押さえていればセンター試験時代と大きく変わらないオーソドックスな問題が多く 、迅速に得点できる科目です。古文より短時間で解けるケースが多いため、古文と合わせて素早く処理します。
- 優先順位と解く順番: 試験開始直後は休憩後で頭が固いこともあるため、古文・漢文など解きやすい問題から先に取り組むのがおすすめです。まず得点しやすい古典で頭を国語モードに慣らし、時間のかかる評論文は後回しにして集中して取り組むとよいでしょう。ただし個人差もあるため、現代文から解いても構いません。要は「解けるものから解く」意識で、難しい大問に最初から取り組んで時間を浪費しないことがポイントです。
- 見直しとマークミス防止: 国語はマーク式です。各大問が終わるごとに数十秒でマークずれや記入漏れがないか確認し、ミスを未然に防ぎます。理想は5分程度の見直し時間を最後に確保することですが 、それが難しい場合でも大問ごとにチェックを挟む習慣をつけましょう。また、迷った選択肢には印をつけ、確実に違う選択肢には×印をつけておくと、後で見直す際に効率的です。
数学I・A
- 大問1: 約20分を目安に配分します。共通テスト数学I・Aでは大問1に数学Iの基本的な内容(数と式、図形と計量など)が複数小問にわたって出題され、文章による設定や会話文を数式に落とし込む力が問われます。展開・因数分解など典型問題は短時間(約7分)で正確に解ききり、会話文を伴う問題も含め全体で20分以内に収めましょう。
- 大問2: 約20分で解きます。数学Iの「二次関数」や「データの分析」などが出題され、特にデータ分析の小問はグラフや文章の読み取り量が多く時間を要します。グラフや統計資料から条件を読み解くのに時間がかかるため約11分程度を割き、残りの一問(二次関数など)は約9分で解くイメージです。大問1と2で合わせて試験開始から40分前後消化し、残り時間を後半の大問に残す配分が理想です。
- 大問3: 約14分で解き終えます。数学A領域の「図形の性質」などがテーマで、与えられた図形条件から必要な定理や知識を引き出す力が問われます。円の性質や相似といった中学範囲の知識も活用する問題が多いため、事前に復習しておきましょう。後半の大問に15分程度残すため、ここも14分程度で処理することを目標にします。
- 大問4: 約14分を充てます。数学Aの「場合の数と確率」の分野では、途中の小問の結果が後続の設問に影響する誘導構成が多いです。計算過程を整理しながら進め、特に期待値の問題などでは全ケースを網羅できているか注意します。残り時間との勝負になるので15分弱で解答完了を目指してください。
- 解く順番と飛ばし判断: 数学I・Aでは全ての大問が必答です(選択問題はありません )。基本的には大問1から順に素直に解き進めることがおすすめです。ただし、明らかに苦手な分野がある場合はその大問に後回しの印を付けて飛ばし、他の問題から解いて構いません。共通テスト数学では融合問題も多く「どこが分からないか分からない」状況に陥ることもあります。その際は手が60秒以上止まったら一旦その問題から離れる勇気も必要です。一度別の問題に頭を切り替えてから戻ることで解法のヒントが見えてくることがあります。
- 計算ミス対策: 試験中は計算ミスの発見・訂正の時間も確保しましょう。緊張下では誰でもミスをしますが、発見して修正できれば得点に繋がります。各大問を終えたら答えを見直し、特に計算結果やマーク位置に誤りがないか確認します(時間に余裕があれば大問ごとに数十秒ずつ見直しを入れるのが理想です)。
数学II・B(および数学C)
- 大問1・大問2: 各約10分で解きます。数学IIの前半は「三角関数」「指数・対数関数」など基本的な計算・グラフ問題が中心です。これらは一問あたりの配点もそれぞれ15点程度と高いため 、最初の2題で20分前後と配分し、確実に得点しましょう。三角関数では誘導の会話文に注意し、グラフの変域や値の範囲を正確に読み取ります。指数・対数関数では日常設定の文章題が多いため、条件を整理して素早く10分以内で回答します。
- 大問3: 約15分かけます。数学IIの「微分・積分」は配点が22点と全体最大で、接線の傾きや面積計算など複雑な計算を伴います。変化の割合やグラフの読み取りなど、多段階の思考が必要なため焦らず15分程度使って丁寧に解きます。大問1~3で合計35分前後を目安に処理し、残り時間を選択問題に充てる計画とします。
- 大問4~7(選択問題): 各約11分を目安に、4題中3題を解答します。数学B・Cの範囲から「数列」「統計的推測」「ベクトル」「複素数平面」が出題され、このうち自分の得意な3分野を選んで解きます。例えば統計的推測(新傾向の仮説検定を含む)に自信がなければ無理に選ばず、ベクトルや数列など学習が行き届いた分野を選択するのが得策です。選択する3題それぞれに約11分ずつ配分し、合計33分程度で解き終えるイメージです。迷う場合は「問題文を一読して解きやすそうなもの」を選ぶのも有効でしょう。各選択大問は配点16点で等しいため、苦手分野の大問1題を捨てても他で満点を狙う戦略で合計得点を最大化できます。
- 優先順位とスキップ判断: 試験開始後、まず大問4~7を素早く眺めてどの1題を捨てるか決めます。解答しない大問は最初から飛ばし、選んだ3題に時間を集中しましょう。 にあるように「得意分野3つを選ぶ」ことが基本ですが、もし得意不得意がはっきりしない場合は設問数が少ないものやグラフ・文章量が少ないものを選ぶと時間短縮に繋がります。解く順番は自分の解きやすい順で構いません。例えば数列⇒ベクトル⇒統計の順など、自信のある大問から取り掛かることでリズム良く進められます。難しい小問に直面したら深追いせず一旦他の小問に移り、最後にもう一度戻ることで効率よく点を拾います。
- 見直しと計算チェック: 数学II・Bでも計算ミス防止のため、時間が許すなら途中経過を検算したり 、回答欄のマークミスがないか確認したりします。特に選択しなかった大問の解答欄はマークミス(ずれ)が起きやすいので注意してください。
英語(リーディング)
- 第1問: 約5分で解きます。広告や掲示など日常的で短い英文が題材で、比較的易しい設問が多い傾向です。素早く読み取り、選択肢のイラスト問題では本文内容と合致する絵を消去法で選びます。時間をかけすぎず、5分程度で突破しましょう。
- 第2問: 約6分で解答します。記事や報告文といった少し本格的な英文が題材です。共通テスト特有のFactとOpinionの判別問題が出ることがあり、選択肢を読む際にはfact=客観的記述、opinion=筆者の主観と判断して絞り込みます。内容自体は平易なので、ここも6分以内で処理します。
- 第3問: 約5分で解きます。比較的短めの長文ですが設問数は少なく、難易度も標準的です。素早く読み、深追いしないことが肝心です。並べ替え問題(出来事の時系列把握など)が出る場合は、本文中の登場順に惑わされず前後関係から正しい順序を判断します。
- 第4問: 約6分で解答します。段落構成や論理展開を問う問題で、センター試験時代の試作問題形式が踏襲されています。文中の接続詞補充や文章整序など論理的な文章理解力を測る設問が中心です。前後の文脈から適切な文を選ぶ問題では、論理のつながりを意識して解きましょう。
- 第5問: 約12分を確保します。マルチパッセージ問題(複数の長文や資料を読み比べて答える形式)で、全ての文章に目を通す時間はありません。設問で問われているポイントに絞り、関連部分だけを読む戦略が必要です。例えば資料が2つ提示される場合、設問ごとに参照すべき資料を決めて読み、不要な部分は読み飛ばします。時間配分上ここに12分以上かけると後半が苦しくなるため、手早く解答して次に進みます。
- 第6問: 約16分かけます。長めの文章で設問数も多い難関箇所です。内容把握に時間がかかるので、段落ごとに主旨を押さえつつ読み進めます。図表や注釈が含まれる場合もあるため、必要に応じて戻り読みしながら確実に回答します。配点も高めと予想されるため、この問題に十分な時間を残せるよう前半を調整しましょう。
- 第7問: 約14分で解答します。第7問は最難関の長文読解と言われ、文章量・内容難易度とも高い傾向です。筆者の主張や文章全体の構造を問う問題が多いため、段落ごとの要旨と論理展開を素早く把握する読み方が求められます。時間が足りなくなりやすい箇所なので、設問を先に読み何を探すべきか意識して読むと効果的です。
- 第8問: 約16分で取り組みます。第8問も新傾向の長大な長文読解で、設問数が多く時間配分上の山場です。内容一致や要約問題などが出されるため、最後の問題にも最低15分以上残すことを意識して全体を通します。第7問・第8問に合計30分程度充てるため、第1~6問を50分前後で終えるのが理想です。
- 優先順位と解き方: 前半の設問は素早く処理し、後半の難問に時間を残すことがリーディング攻略の鍵です。具体的には、第1~4問は合計約22分、第5問に12分、第6問に16分で計80分となる配分を想定し、難易度の高い第7・8問にしっかり30分弱を割り当てます。文章量に圧倒されそうなときはスキャニング(キーワード先読み)を使い、設問の該当箇所を探しながら読むと効率的です。また、選択肢は紛らわしい表現が多いため、本文の言い換え表現かどうかに着目し、明らかに本文趣旨と異なる選択肢は途中であっても切り捨て先に進む決断も大切です。
- 見直し: 時間が許せば最後にマークシートの見直しを行います。特に長文問題では設問の読み違いが起きやすいので、設問文に対する自分の答えがズレていないか確認しましょう。余裕がなければ第5問以降のマークミスだけでもチェックすると安心です。
英語(リスニング)
- 音声前の先読み: リスニング試験では音声が流れる前のわずかな時間を最大限に活用します。 にあるように、指示や問題番号のアナウンスが流れている間に設問文と選択肢に目を通し、何が問われるかを把握しておくことが重要です。この「先取り読み」によって、音声中に注目すべきポイントに予めアンテナを張ることができます。
- 第1問・第2問(易しめの短問): これらは音声が2回読み上げられる形式です。1回目の放送で素早く答えを確定し、2回目の放送中は次の問題の先読み時間に充てるのが効果的です。特に第1問・第2問は内容も簡単なため、メモを取る必要がない場合は聞きながら頭の中で解答を決め、すぐマークしてしまいましょう。こうすることで後半の難問に向けて貴重な時間を稼げます。
- 第3問以降(長文会話・説明文): 音声が1回のみの問題では先読みで設問の狙いを把握しておくことが必須です。例えば会話文問題なら、男女の対話のどの部分に注目すべきか(約束の日時なのか理由説明なのか等)を設問から予測しながら聞きます。長めの説明文では、設問の選択肢も先に読み、「具体的な数値が答えになりそうか」「話者の意見を問うものか」などをチェックしておくと、音声中で重要情報を聞き逃しにくくなります。
- 難問への備え: 共通テスト英語リスニングの第5問は難問とされています。この問題では音声が一度しか流れず内容も込み入っているため、放送が始まる前の15秒程度の先読み時間が勝負を分けます。設問文から問われるポイントを予測し、自分なりにキーワードを頭に置いて聞くと良いでしょう。例えば地図問題なら目的地や経路に関する単語をチェックしておき、講話問題なら話者の主張や結論部分に注意を集中します。
- メモの使い方: リスニングでは必要に応じてメモを取りますが、メモはあくまで補助であり取りすぎは禁物です。音声に集中しつつ、数字や固有名詞など記憶しにくい情報だけ簡単にメモし、あとは設問に沿って記憶を辿る方がスムーズです(放送後にメモを清書する時間はありません)。特に1回読みの問題では、聞き取りに集中することを優先してください。
- 解答と見直し: 放送が終了した問題から順次マークしていきます。次の問題の音声が始まる前にマークを済ませるのが原則です。全放送終了後に見直し時間はほとんど無いため、その場その場で確実にマークし、余裕があれば最後の数十秒で全体のマークずれがないかチェックしましょう。リスニングでは各問題ごとの時間配分を自分で調整する余地はありませんが 、先読みと集中によって実質的な時間節約が可能になります。
理科(二科目受験の場合)
- 時間配分の基本: 共通テスト理科を2科目受験する場合、2科目分の問題冊子が一斉に配布され、解答時間120分(試験時間130分:最初の10分は指示確認等)となります。最初にどちらの科目から解くか方針を決め、おおよそ各科目60分ずつに配分する計画を立てます。ただし問題の難易度や分量によって柔軟に調整します。例えば得意な科目を先に解いて50分で終わらせ、残り70分をもう一方に充てる、といった配分も可能です。自分が高得点を狙いやすい科目から先に着手することでリズムに乗り、精神的な余裕も生まれます。
- 科目間の優先順位: 理科2科目の場合、一般的には得意科目⇒苦手科目の順で解くのがおすすめです。 で国語の例として述べたように、まず解きやすい科目でスムーズに得点することで頭が温まり、落ち着いて次の科目に移行できます。例えば物理が得意で化学が苦手な場合、物理から先に60分弱で解き終え、残り時間を安心して化学に投入するといった戦略です。逆に、難易度の関係で苦手科目に非常に時間がかかると予想される場合には、敢えて苦手科目に多めの時間を確保する配分にすることも考えられます。その際も得意科目で確実に点を取っておくことが前提です。
- 各科目内の時間配分: 科目ごとに大問数は異なりますが、多くの理科科目は大問が4~5題構成で、それぞれに5~6問程度の小問があります。各科目ごとに大問ごとの目標時間を設定しましょう。例えば物理は大問5題なら1題あたり約12分、化学は大問4題なら1題15分など、大問の配点に比例した持ち時間を配分します。 のアドバイスにならえば、「知識だけで解ける問題や単純な図表読み取りは1問あたり1分程度」で素早く処理し、逆に思考・計算を要する問題に時間を確保するイメージです。各設問の配点も意識し、配点の高い計算問題にはしっかり時間を割き、配点の低い正誤問題などは短時間で片付けます。
- 資料読み取りと計算問題: 共通テスト理科では実験考察問題やグラフ読解問題が増える傾向にあります。グラフや表を読み取る小問では、与えられたデータの傾向を掴むのに時間がかかるため、他の問題より後回しにする判断も有効です。まずは典型的な知識問題を一巡して得点し、その上で残り時間をグラフ解析や長い計算問題に集中投入します。例えば化学で煩雑な計算が必要な分析化学の設問は後回しにし、先に有機分野の基本問題を解く、といった戦略です。
- 飛ばしの判断と見直し: 理科では一つの設問に固執してしまうと時間を大きく消費します。迷った問題は一旦飛ばして他の問題に移る勇気を持ちましょう。マーク式ですので、最後に適当にでも埋めるために空欄を残さないことも大切です。飛ばした問題には解答欄に印を付けておき、全体を一通り解いた後で時間が余れば戻って再考します。見直し時間が取れそうなら、各科目ごとに数分ずつ確保し、計算ミスやマークミスを点検してください。特に科目間の切り替え時にはマーク位置のズレに注意し、科目1が終わった段階でマーク欄を確認してから次の科目に移ると安全です。
- 科目間の時間調整: 2科目同時の場合、自分で科目ごとの時間配分を管理しなければなりません。片方の科目に没頭しすぎると、もう一方が手付かずになる恐れがあります。そこで、科目1に○時○分まで、科目2は残り時間といったように事前にタイムスケジュールを決めておきます。試験中は時計を見て適宜進捗を確認し、必要なら計画を微調整します。例えば「科目1が予定より早く終わったから科目2に+5分配分しよう」「科目1に時間をかけ過ぎてしまったので残りを科目2の重要問題に集中しよう」など臨機応変に対応します。どちらの科目も満遍なく解答することが大事ですが、配点は各100点ずつで同じなので基本は60分:60分を目安にし、大きく偏らないよう注意しましょう。
社会(二科目受験の場合)
- 時間配分の基本: 社会2科目(例:日本史Bと倫理政治・経済など)受験の場合も、2科目分の問題が同時に配られ、合計120分間で両方を解答します。まずどちらから解くか決め、各科目60分程度で割り振る計画を立てます。一般には自信のある科目から先に解き始めると良いでしょう。得意科目でスムーズに点を稼ぎ、その勢いで苦手科目に取り組む方が精神的な安定感があります。
- 科目間の優先順位: 自分の文系科目の得意・不得意に応じて解く順番を決めます。例えば地理が得意で世界史が苦手なら、地理から先に解いてリードを確保します。一方で、設問数や資料量などから見て明らかに時間のかかりそうな科目がある場合は、敢えてその科目に多めの時間を残す計画も必要です。いずれにせよ片方の科目に偏りすぎず、もう一方に最低限○分は残すという下限を決めておき、タイムマネジメントを徹底しましょう。
- 各科目内の時間配分: 社会科目も科目ごとに大問構成が決まっています。例として、地理総合・探究では大問6題・小問30問程度で構成され、世界史Bや日本史Bも大問4~5題が設定されています。各大問の配点や小問数に応じて時間を按分します。たとえば世界史Bで配点が均等な大問が5つあるなら1題あたり12分程度、倫理政経で大問4つなら1題15分程度という具合です。資料読み取りを含む大問にはやや多めに時間を配分し、知識暗記中心の大問は短めに設定するなど調整します。過去問研究から、自分なりの目標時間を科目別に作っておくと安心です。
- 資料問題への対応: 共通テスト社会科では資料や図表を使った問題が非常に多いです。例えば地理では全問題に統計グラフ・地形図・写真などが登場し 、政治経済でも資料やデータを読み比べる設問が頻出です。資料問題はどうしても時間を消費するため、配点と相談しつつ解答順序を工夫します。基本知識だけで解ける小問(年号や用語の正誤問題など)は各1分以内で解き 、浮いた時間を資料分析に充てるイメージです。例えば地理なら、統計グラフを読み取るのに時間がかかりそうな設問は後回しにし、まずはグラフを見なくても答えられる知識問題を解答してしまいます。資料問題に取り組む際も、与えられた資料のどこが問われているか設問文からつかみ、必要な情報だけ探す読み方をすると時間短縮になります。
- 飛ばしの判断と見直し: 社会でも難問や迷う問題に出会ったら一旦飛ばして他の問題を解くのが鉄則です。時間配分上、一つの設問に3分以上悩むようなら一度保留し、最後に余った時間で戻るようにします。特に文章を読ませる考察問題などはキリがない場合があるので注意しましょう。全てのマークを埋め終わったら、最後に通し番号とマーク位置のズレがないか確認します。2科目続けてマークする場合、科目1の最後の問題番号と科目2の最初の番号が連番になっていないこともあるため、見直し時に要チェックです。時間に余裕があれば各科目終了時に1分ずつマークミスを点検すると安全です。
- 得点戦略: 社会2科目では科目間で得点調整を考えることも重要です。多くの大学では2科目合計得点で評価されるため、得意科目で高得点を狙い、不得意科目は平均点並みを確保すれば合計点で有利になります。そのためにも時間配分を工夫し、不得意科目で難問に固執して時間を浪費するより、得意科目で取りこぼしを無くす方が合算点では得策と言えます。配点は各科目100点ずつなので両方大切ですが、自分の志望校の配点比重(例えば地歴2科目で200点換算など)がある場合はそれに合わせて時間配分にも若干メリハリを付けてもよいでしょう。
各科目とも、共通テストでは配点割合=時間配分の目安と考えて計画を立てるのが基本です。事前に過去問や予想問題で目標時間内に解く練習を重ね、自分なりのペース配分を体に染み込ませておきましょう。本番では焦りからペースを乱しやすいため、「◯分経過時には大問Xまで終わっている」というチェックポイントを決めておくと安心です。時間配分はあくまで得点最大化の手段なので、各人の得意不得意に合わせて微調整し、自分だけの戦略を確立してください。限られた時間の中でベストを尽くせるよう、日頃から時間を意識した演習と振り返りを行い、本番に臨みましょう。自分に合ったペース配分で解ききれば、きっと「時間との戦い」に打ち勝つことができるはずです。