大学入試センター試験(以下、センター試験)は1990年に始まり、2020年まで30年間続きました。2021年からは 大学入学共通テスト(以下、共通テスト)へと刷新され、試験の内容や出題形式が大きく変化しています。センター試験が知識量や技能を問う「100メートル走」だとすれば、共通テストは思考力・判断力・表現力といった総合力を試す「障害物競走」にたとえることができます。つまり、単に一直線に速く走る(暗記した知識を素早く出す)だけではなく、途中のハードルや網くぐりといった様々な障害(長文読解や資料分析、新しい形式の問題)を乗り越える力が求められる試験になっているのです。
ここでは、センター試験と共通テストの違いを科目ごとに解説します。特に各科目の問題形式や読解量、思考力を問う傾向の変化について、具体例を交えて説明します。必要に応じて、年度ごとの出題傾向の変遷もまとめます。共通テストがいかに「障害物競走」として設計されているかをよく理解し、今後の早めの対策と意識づけに利用してください。
目次
共通テスト導入の背景:なぜ「障害物競走」に?
まず、センター試験から共通テストへ変わった背景を押さえておきましょう。以前行われていたセンター試験は、高校卒業レベルの基礎学力を測る目的で実施され、知識や技能の習得度合いを重視していました。しかし、社会の変化に伴って大学入試にも変革が求められました。現代は変化のスピードが早く将来の予測が難しいため、単に知識を持っているだけでなく、知識を活用して問題解決できる人材が求められているという判断に基づいています。このため文部科学省と大学入試センターは、大学入試改革の一環として思考力・判断力・表現力を重視する新テストを検討し、プレテスト(試行調査)などを経て2021年から共通テストを実施したわけです。
センター試験が知識暗記とスピード勝負の「100m走」だったのに対し、共通テストは知識の活用力や複合的な問題解決力までを見る「障害物競走」に生まれ変わったようなものです。この方針は大学入試センターも明言しており、共通テストでは「知識・技能の理解の質」や「思考力・判断力・表現力等を発揮して解くこと」が求められる問題を重視するとされています。
各教科でどのような変化が起きているのか見ていきましょう。
国語:文章量と総合読解力の大幅アップ
共通テストの国語(現代文・古文・漢文)は、まさに障害物競走的な読解力勝負へと変化しました。センター試験の国語では、大問ごとに1つの文章を読み、その内容理解や設問に答える形式が基本でした。しかし共通テストの国語では、1つの大問に複数の文章が出題されるケースがあります。現代文では、ひとつの大問で異なるジャンルやテーマの文章を二つ提示し、それらを比較検討させる問題が登場しています。受験生は複数の文章から必要な情報を取捨選択し、関連づけて解答を導くことが求められます。このように複数資料の読み比べや情報の統合が必要な問題は、まさに「コース上の複数のハードル」を越えるようなものです。一つの文章を正確に読むだけでなく、複合的な読解力・判断力を要する点がセンター試験時代の出題との大きな違いです。
さらに、文章量自体も増加傾向にあります。現代文の設問では、本文そのものに加えて図表や注釈が含まれることもあり、情報処理量が多くなっています。試験時間は80分とセンター試験時代から変わりませんが(※後述のように2025年度から90分に延長)、限られた時間で大量の情報を読み解く訓練が欠かせません。例えば2024年度共通テスト国語では、近代以降の評論文と実用的文章を組み合わせた問題や、古文とその現代語訳を照合しながら解く問題などが出題されました(※評論文とエッセイの比較問題など)。これらは単なる知識暗記では太刀打ちできず、初見の文章を素早く読み、多面的に理解する力を要求します。国語の試験自体が、「長距離走+障害物越え」の様相を呈していると言えます。
このような共通テスト国語の傾向の変化に対応するには、日頃から異なるタイプの文章に触れ、要点を整理・比較する練習が不可欠です。単なる内容暗記ではなく、「なぜ筆者はこう主張しているのか」、「複数の文章で共通するテーマは何か」を考察する読解力を養いましょう。
英語:知識問題から実用英語へ、長文・リスニングの壁
英語もセンター試験時代から大きく様変わりし、読む・聞くという実践的技能が重視されるように変化しました。センター試験時代の英語では、発音・アクセント問題や文法・語句整序など知識問題が出題され、長文読解は後半の一部でした。配点も筆記(リーディング中心)200点、リスニング50点と、文法や読解力偏重の配分でした。一方、共通テストになってからの英語では 読解問題のみ(長文中心)とリスニングという構成に改められ、配点もリーディング100点・リスニング100点(各大学の扱いによって異なる場合あり)とリスニングの比重が大幅に増加しています。発音・アクセントや文法の単独問題は廃止され、設問は全て英文の内容理解や、英文を読んで情報を処理する形式に変化しています。これは、ただ単語や文法を暗記するだけでは得点できず、英文を読んで内容を把握する力や、英語音声を聞き取って理解し、問題を解く力が直接問われる試験に変わったことを意味します。
2024年度共通テスト英語(リーディング)の総語数は約6,292語に及び、センター試験時代(約4,000語)の約1.5倍もの英文を読む必要がありました。平均的な高校生の読解速度(75語/分)では全て読み終えるのに約83分かかり、制限時間80分を超えてしまいます。実際の試験では読むだけではなく問題を解かなくてはならないので、その約2倍の150語/分程度で読み進める力が要求される計算であり、非常に高い速読力・情報処理力が必要とされることがわかります。
読解量の増加は年々顕著で、共通テスト英語リーディングの総語数は2021年以降増え続け、近年は毎年6,000語超えが当たり前になっています。2024年度実施分でも前年度より約150語増加し、更に幅広い内容の英文が出題されました。文章のジャンルも多彩で、学校行事の案内文から科学的なレポート、アンケート結果の分析やブログ記事、さらには英文小説の一節まで登場します。設問では図表やイラスト付きの情報を読み取らせたり、複数の資料(文章や図)の内容を突き合わせて答えるものもありました。選択肢の英文は本文中の言い回しを言い換えてあるなど、細かな読解力・語彙力も試されます。まさに次々と現れる障害物(多様な英文と情報)を、素早く乗り越えて最後まで走り抜く力が要求されるのが共通テスト英語なのです。
リスニングも難度が上がっています。センター試験では全問2回読みだったのに対し、共通テストでは一部の設問が1回読みになりました。さらに、会話に英語非母語話者(ノンネイティブ)の話す英語が混ざる問題や、会話の内容と対応するグラフを照合して答える問題なども出題されています。聞き取りの負荷が増したので一度聞いただけで、正確に要点を掴む訓練が必要です。これも「聞き慣れないアクセントの人の声」という不規則なハードルや、「音声と視覚情報を同時に処理する」という高低差のある障害が加わったようなものです。
共通テスト英語で高得点を狙うには、速く正確に読むトレーニングと、音声を聞きながら情報を把握する練習が不可欠です。過去問演習を通じて、時間内に大量の英文を処理し要旨をつかむ練習を積みましょう。また英文を読みながら図表から情報を得る訓練や、聞こえてくる内容をメモするスキルなども有効です。
数学:公式丸暗記から対話的問題へ
数学もまた、センター試験時代から出題形式が大きく変化した代表的な科目です。センター試験の数学では、基本的に教科書で習う公式や解法パターンを知っていれば解ける計算問題・正誤問題が中心で、与えられた数式の意味を深く考察する場面は多くありませんでした。一方、共通テストの数学では文章や会話文を読ませて考えさせる問題が数多く登場しています。例えば、生徒と教師の対話形式で数学的な概念を探究する設問や、日常生活のある場面を題材にして数理的な分析を行わせる問題などです。単に計算力だけでなく、まず問題文を読んで状況を理解する読解力が求められます。この点は「問題文という名の障害物を乗り越えてからでないと解答にたどり着けない」イメージで、従来にはなかったハードルです。
具体例としては、2021年度共通テスト数学Ⅰ・Aでは三角関数と指数関数の類似性について対話文形式で考えさせる問題や、図形の性質について会話のヒントを基に証明の穴埋めをする問題が見られました。会話文中の発言がそのままヒントになっており、文章を正確に読み取れば解法の糸口がつかめる仕組みです。このように、数学でありながら国語の読解問題のような要素が入っているのが新傾向です。センター試験では考えられなかった「文章を読んで理解する力」が得点を左右するため、普段から問題文を丁寧に読み解き、自分で状況を図解したり整理したりする練習が重要になっています。
試験時間と問題数にも変更があります。センター試験では数学Ⅰ・Aの試験時間は60分でしたが、共通テストでは70分に延長され問題数も増加しました。これはさきほど述べたように文章量が増えたことや、思考に時間を要する問題が増えたことへの対応と言えます。実際、共通テストでは問題を一気に解くというより、一つ一つの設問を段階的に攻略していく形式(例えば、大問が小問に細分化され、誘導に従って答えに迫る流れ)が多く、解答にも時間がかかります。言い換えれば、100メートル走のように一直線に答えに飛びつくのでなく、コース上の連続する障害物を順にクリアしていくイメージです。
2022年度以降もこの傾向は強まっています。数学Ⅱ・Bでも会話文や文章主体の問題が定着し、思考力を要する新傾向問題が毎年のように見られました。さらに、2025年度(令和7年度)以降は新学習指導要領の内容を反映し、数学Ⅱ・B・Cの試験時間も60分から70分へ延長されました。これらの変更は、共通テスト数学が今後も「障害物競走型」の問題を重視し続けることを示唆しています。
共通テスト数学で得点するには、教科書レベルの基礎知識を押さえるだけでなく、与えられた文章や会話から状況を読み取る練習が必要です。日常的な題材で出題されることも多いため、問題文を読んで「何を問われているのか?」を素早くつかむ訓練を積みましょう。過去問や類題演習を通じて、文章量に慣れ、思考のステップを踏む練習を重ねることが大切です。
理科:選択問題の廃止と実験考察問題の増加
理科(物理・化学・生物・地学)では、センター試験と共通テストで出題形式がやや異なります。センター試験の理科では、各科目とも基本的な知識を問う問題が中心で、受験生は自分の選択した科目(例えば物理と化学など)について解答しました。科目によっては、大問の一部でいくつかの選択肢から回答する問題も存在していました。しかし、共通テストの理科では選択解答制が廃止され、提示された全ての大問に回答する形式に変わりました。例えば物理・化学・生物・地学の各分野で、大問ごとに設問が構成されていますが、センター時代に見られた「いくつかの大問から任意の◯題を選んで解答」といった形式はなく、原則として全て必答となっています。その分、出題範囲が広がり、まんべんなく理解していることが前提となっています。
さらに、実験や探究を題材にした考察問題が増加傾向にあります。センター試験では知識をそのまま問う(用語の定義や公式の適用など)問題が多かったのに対し、共通テストでは与えられた実験データやグラフ、図表を読み解いて考察する設問が増えています。例えば、化学ではある化合物の反応実験の結果データを示し、その傾向から導ける結論を選ばせる問題、生物では生態系の調査結果のグラフを読み取り考察させる問題、物理では実験装置の図示と測定結果から物理法則を検証する問題などが見られます。初見の実験設定や複数の資料が提示される点で、知識暗記型の受験生には大きなハードルです。言い換えると、走っていて突然未知の障害が出現するようなもので、落ち着いて持てる知識を応用する力が求められます。
共通テスト理科では、思考力・判断力が試される問題として次のような特徴があります。
- 複合的な設問: 複数の知識領域にまたがる問題や、文章中の条件設定が複雑な問題が増えています。単一の公式を当てはめるだけでなく、条件を正確に読み取り組み合わせて考える必要があります。
- 資料読解: 統計データの表や実験グラフ、模式図などが提示され、それを読み取って推論する問題が目立ちます。与えられた図表から何を読み解けるかがポイントになります。
- 仮説検証型: 「もし○○したら結果はどうなるか?」といった仮説を検討させる設問や、実験手順の違いによる結果の比較を問うなど、単純な知識再現ではなく考えるプロセスを要する問題が見られるようになりました。
例えば2023年度共通テスト物理では、ある現象について複数の仮説モデルを提示し、それぞれのモデルが予測する結果の違いを比較して正しいモデルを選ぶ、という高度な思考を要する問題が出題されています。
理科で高得点を狙うには、教科書の知識を丸暗記するだけでなく、「知識を使って初めて見る状況を考察する」練習が重要です。過去問研究や類似の実験問題に触れ、データの読み取り方や考察の進め方に慣れておきましょう。また、全範囲から満遍なく出題される可能性があるため、苦手分野を残さず基礎知識を固めることも引き続き大切です。
社会(地理・歴史・公民):暗記中心から資料分析中心へ
社会科(地理歴史・公民)も、共通テストで大きな転換を遂げた教科です。センター試験の社会は、一問一答的な知識問題や年代配列問題など、教科書の内容をしっかり覚えていれば対応できる設問が中心でした。例えば歴史であれば年号や出来事の組み合わせ正誤判定、地理であれば各国の統計データや地形図の読み取り(比較的基本的なもの)、公民(政治・経済や倫理など)であれば用語の定義や制度の仕組みを問う問題が多かったのです。いわば知識という一直線のコースを正確に素早く走るタイプの出題が中心でした。
しかし、共通テストの社会では資料や文章を読み解く問題が大幅に増えています。まさに与えられた情報を分析する情報処理の障害物が随所に設置された形です。具体的な傾向を教科ごとに見てみましょう。
- 地理: 地理A・Bでは、統計グラフや地形図、写真、衛星画像など多様な資料を用いた問題が増加しました。単に地名や地形を知っているだけでは解けず、与えられた統計表や写真から地域の特徴を読み取り、そこから考察して答える問題が典型的です。例えば世界のある地域の降水量・気温グラフと農作物生産高のデータを組み合わせ、「この地域の農業形態として適切なものはどれか?」と問うような問題です。受験生はグラフの示す気候特徴をつかみ、それに適した農業(稲作か畑作か牧畜か等)を知識と照らし合わせて判断する必要があります。このように複数の資料を多角的に読み解く力が必須です。センター試験では資料集の隅々まで暗記するといった対策もありえましたが、共通テストではその場で資料を読みとって考察する力が重視されていますので単純暗記だけでは太刀打ちできません。
- 歴史: 日本史B・世界史Bなどでは、史料(歴史的文書や記録)、図版、会話文形式の問題が出題されるようになっています。年号暗記よりも、与えられた史料からその時代の状況や筆者の意図を読み解く問題が多い点が特徴です。例えば江戸時代のある商人の日記の抜粋を読ませて当時の経済状況を推察させたり、複数の出来事の関連性を問うために年表と出来事の記述文を突き合わせたりする問題が見られます。メモや会話文の読み取りも必要で、生徒の対話形式で歴史上の出来事を議論し、その内容を理解して答える設問などもあります。したがって、単なる丸暗記型の勉強ではなく、史料に親しみ読み解く練習、出来事の背景や因果関係を考察する力が求められます。
- 公民(現代社会・倫理・政治経済): 現代社会では、現代の社会問題や人間の生き方について多面的に考察するプロセスを問う問題が重視されます。設問文自体が長文で、複雑な前提条件が付いている場合も多く、与えられた情報や図表から必要なデータを読み取る力が必要です。例えば環境問題に関する国際会議の資料と各国の統計データが提示され、それを読み比べて設問に答える…といったケースです。倫理では哲学者や思想家の主張を扱った文章を読み、その内容理解や比較を問う問題が中心ですが、こちらもやはり単なる人物名・キーワードの暗記では太刀打ちできません。原典の一節や会話形式のリード文を読んで、思想の違いを把握する力が必要です。政治・経済では、基本的な制度や仕組みの知識を問う問題に加え、資料や統計グラフを読み取る問題が顕著に増えました。財政状況のグラフや選挙結果の統計、国際比較データなどを解析し、それに基づいて判断する設問が出題されています。知識問題と資料問題が半々程度という印象で、資料読解力が得点を大きく左右します。
以上のように、社会科全体として「暗記科目」から「読解・考察科目」へシフトしているのが共通テストの特徴です。センター試験では用語や出来事を知っているかどうかが問われる問題が多かったため、知識量がものを言いました。一方、共通テストでは知識を土台に思考力や判断力を発揮して解答を導くことが求められます。これは障害物競走に例えれば、コース上に配置された「資料」という名の障害物を乗り越えるイメージです。単に暗記した知識(走力)で一直線に素早く進むだけでは得点できず、その場その場に登場する状況を判断し障害を乗り越えて対応する柔軟性が必要なのです。
社会科の対策としては、教科書の基本用語・事項の理解に加えて、資料集や統計データに日頃から親しんでおくことが重要です。例えば、地理であれば地図やグラフを読む練習、歴史であれば史料問題に取り組んでみる、公民であれば時事的なデータやニュースに触れて自分なりに考察する習慣をつけるなどです。暗記に頼らず、「なぜそうなるのか」、「資料から何が読み取れるか」を意識して学習することで、共通テストの障害物も乗り越えやすくなります。
年度ごとの傾向と今後の見通し
2021年に初めて実施された共通テストは、受験生から「センター試験より難しく感じた」、「時間が足りない」といった声が多く聞かれました。実際には問題そのものの難易度(扱っている知識レベル)は高くなっていないものの 、設問の問われ方が大きく変わったために難化したように感じられたのです。つまり、知っていることをそのまま答えるのでなく知識の使い方を問う問題が増えたことで、対応が難しくなったということです。
その後、2022~2025年度もおおむねこの路線が踏襲され、各科目とも思考力・判断力重視の傾向が定着しました。例えば英語では前述のように長文の総語数が年々増加し 、リーディングで新聞記事やブログ、アンケート結果分析など実社会に即した題材が当たり前に出題されています。数学や理科でも、新傾向だった対話形式・実験考察形式の問題が繰り返し登場し、受験生もそれを意識した勉強をするようになってきました。年度ごとの難易度変動はあるものの、大局的には「障害物競走型」の試験スタイルが定着しつつあると言えます。
下の表は、センター試験と共通テストの主な違いを科目別にまとめたものです。(※共通テストの傾向は2021~2025年度までの典型的特徴を記載)
| 教科 | センター試験(~2020年) | 共通テスト(2021年~) |
| 英語 | 発音・アクセント、文法問題、短めの読解、リスニング(50点)※リーディング重視の構成 | 長文読解のみ、図表資料を含む読解、多様なジャンル、リスニング(100点)※語数約1.5倍、聞き取り重視 |
| 国語 | 大問ごとに文章1つ(現代文2題、古文1題、漢文1題が基本) | 大問内に複数文章の出題もあり。異なる分野の文章比較、長文化傾向 |
| 数学 | 典型問題中心(公式適用・計算練習で対応可)、試験時間60分 | 会話文や文章題の増加、日常的なテーマで思考させる、新傾向問題。試験時間70分 |
| 理科 | 教科書知識の直接的な出題が中心。科目によっては一部選択解答制。 | 全大問必答(選択問題廃止)。実験結果や図表資料を読み取る考察問題が増加。 |
| 社会 | 用語や年代など知識暗記中心。資料読み取りは限定的。 | 資料・統計グラフの読解、多角的な考察が中心。知識を活用し思考させる設問が多数 |
*一般的な傾向を示したもので、年度によって難易度・細部は変動します。
共通テストはあらゆる教科で「知識をどう使うか」を問う方向にシフトしています。センター試験時代と比較して「内容が難しくなったわけではない」が「解きにくく感じる」と言われるのはこのためです。共通テストは単なる暗記力ではなく総合的な学力を測る試験として設計されているのです。
共通テスト=障害物競走にどう挑むか
最後に、共通テストという「障害物競走」に挑むうえで大切なポイントを整理します。受験生はこれまで見てきた傾向を踏まえ、勉強方法もアップデートしていく必要があります。
- 基礎知識の理解を深める: どんなに形式が変わっても土台となるのは教科書の基礎知識です。センター試験と同様、まずは各科目の基本事項をしっかり理解しましょう。ただし暗記に頼りすぎないことが重要です。なぜその事象が起こるのか、背景には何があるのかを意識し、「理解した知識」を増やすよう心がけてください。丸暗記では新しい場面に対応できないため、「これはこういう理由だからこうなる」と自分なりに説明できるレベルを目指しましょう。
- 読解力・情報処理力を鍛える: 全教科において長文読解や資料分析の障害が待ち受けています。日頃から文章を読む習慣をつけ、速く正確に要点をつかむ訓練をしましょう。例えば新聞記事や科学レポート、英語の長文に日常的に触れてみるのも効果的です。図表の読み取り練習も地歴公民や理科対策に有効です。過去問や共通テスト形式の問題集を使い、時間内に読み解く練習を積み重ねてください。障害物競走で言えば、「速く走り抜ける脚力」と「障害を越える技術」を磨く段階にあたります。
- 思考力・判断力を養う問題演習: 共通テストでは、一筋縄ではいかない応用問題が増えています。公式に当てはめるだけでなく、自分で考え筋道を立てないと解けない問題に慣れておきましょう。例えば数学では誘導付きの長い問題をステップごとに解く練習をする、国語や英語では複数資料を扱った問題を解いてみる、理科では実験考察問題に挑戦する、などです。解いた後は「どう考えれば解けたのか」、「どの情報が鍵だったのか」を振り返り、自分の思考プロセスを改善していくことが大切です。
- 試験時間配分のシミュレーション: 障害物が多い分、時間との戦いもシビアです。各科目でどの程度のペース配分が必要か把握し、模試や過去問でシミュレーションしておきましょう。英語では1分間に読むべき語数の目安を意識する(150wpm程度が理想)、国語では大問ごとの時間を決めて区切って解く練習をする、数学では解ける問題と難問の取捨選択を判断する練習をする、など実戦的な対策が有効です。
共通テストは今後も進化を続けます。2025年度からは試験時間延長や新科目「情報I」の追加(6教科7科目化)など更なる変更も行われました。常に最新の情報をチェックしつつ、柔軟に対応してください。センター試験という100m走で培った基礎体力(基本知識)はもちろん重要ですが、共通テストという障害物競走ではそれに加えて瞬時の判断力・対応力が問われます。正しい方向で努力を重ねれば、障害物もきっと乗り越えられるはずです。
センター試験から共通テストへの移行は、大学入試が単なる知識の量ではなく「知識の使い方」を見る方向へシフトしたことを意味します。保護者の方も、この違いを理解することでお子さんの勉強法の変化に納得できるでしょう。受験生の皆さんは、「障害物競走」を戦い抜くつもりで総合力を鍛えてください。知識という土台の上に、読解力・思考力・判断力という応用力を積み重ねていけば、共通テストも決して怖れることはありません。
特に医学部を含む難関大学合格を目指している受験生のかたは共通テストで高得点を叩き出すことが必須です。将来、医学部合格を目指しておられるお子さまをお持ちの保護者のみなさん、医学部だけでなくても難関大学を目指しておられる中学生、高校生のみなさんに本記事をお読みいただき、今後の学習の手助けになることを願っています。
グリットメディカルでは、医学部だけでなく難関大学の合格のための対策のための指導を行なっています。進学相談、学習相談などなんでもお気軽にお問い合わせください。