医学部専門個別予備校

奈良県立医科大学 新キャンパス移転の詳細調査

新キャンパスの所在地

奈良県立医科大学の新キャンパスは「畝傍山キャンパス」と命名され、奈良県橿原市四条町88番地に位置します。現行の四条キャンパス(旧キャンパス)から南西へ約1km離れた、奈良県農業研究開発センターの跡地(約10.6ヘクタール)に建設されました。畝傍山キャンパスの名称は、キャンパスが大和三山の一つである畝傍山(うねびやま)のすぐ北側に位置することにちなみ決定したものです。所在地は近鉄橿原線やJR桜井線の沿線地域で、周辺には奈良県立医科大学附属病院や藤原京跡などがあります。

新キャンパスの開設予定時期

奈良県立医科大学新キャンパス工事中写真
奈良県立医科大学新キャンパス工事中写真

新キャンパス(畝傍山キャンパス)は令和7年(2025年)4月に開校予定と公式発表されています。ちょうど奈良県立医科大学の創立80周年にあたる年であり、2025年2月13日に竣工式が行われました。2025年4月の新年度開始に合わせて教育活動を開始する計画で、2025年4月から学生の受け入れを新キャンパスで開始します。現キャンパスからの移転工事は2021年度から進められており、新キャンパス開校までに必要な教育施設の整備が完了しています。

2025年度医学部医学科合格者の新キャンパス移行年次

2025年度に医学部医学科へ入学する新1年生は、入学直後の1年次から新キャンパスで学ぶ予定です。 新キャンパス開校に伴い、医学科1年生の教養・基礎教育は畝傍山キャンパスで実施されることになっています。大学側の発表でも「医学科の1年生、看護学科の1~4年生、および看護学研究科の教育を新キャンパスで開始する」と明言されています。したがって、2025年度医学科合格者(2025年4月入学者)は1年次から新キャンパスで授業を受けることになります。なお、医学科の2年生以上については当面現行キャンパスでの授業・実習が継続される見込みです。

新キャンパスでの授業実施状況(新旧キャンパスの併用)

2025年4月の段階で、新キャンパスに移転するのは教育機能の一部に限られます。新キャンパスでは医学部医学科の教養教育部門(=医学科1年次の一般教育科目)と看護学科(看護学部)全学年の教育が行われ、対象学生数は約500人にのぼります。これに対し、医学科の2年生以上(専門教育や臨床実習を受ける学年)や医学系の研究室・大学院は引き続き旧四条キャンパスに残ります。現キャンパスには附属病院を含め「教育・研究・診療」が集中しており、新キャンパスはまず教育機能を移転する先行整備として位置付けられています。今後、第2期整備として研究棟や事務棟等を新キャンパス側に建設し、研究部門の移転も進める計画が検討されています。そのため当面は、講義・演習の一部が新キャンパス、臨床実習や研究活動は旧キャンパスという形で、新旧両キャンパスを併用する状況になります。

新キャンパスの設備の変更点

新キャンパスは旧農業研究開発センター跡地約11ヘクタールの広大な敷地に建設され、講堂・図書棟、講義棟、実習・研究棟、体育施設棟の4棟(いずれも地上3階建て)で構成されています。各棟は回廊で接続されており、かつての藤原京の大極殿になぞらえた配置や和風の外観デザインが採用されています。新キャンパスの整備により教育環境・設備が大幅に充実しました。例えば、講堂図書棟には定員600人の大講堂と新図書館が備わり、講義棟には250席規模の医看合同講義室が設置されています。体育施設棟にはアリーナ(体育館)や武道場、弓道場など最新の運動施設が完備され、学生のクラブ活動の拠点にもなります。敷地内には憩いの広場などゆとりある空間も多く設けられており、老朽化し手狭になっていた旧キャンパスに比べて、ゆとりある最新の設備環境が整っています。これらにより、奈良医大ならではの医学・看護学教育を実践するのにふさわしいキャンパス環境が実現しました。

通学手段の変化

新キャンパスへの移転に伴い、学生や教職員の通学経路が一部変更になります。畝傍山キャンパスは旧キャンパスから約1kmと近接しているため、大まかな通学手段は従来と同じですが、最寄り駅からキャンパスまでの徒歩経路が変わります。現在、新キャンパスの最寄り駅として大学が案内しているのは以下の通りです。

  • JR桜井線(万葉まほろば線):「畝傍駅」下車
  • 近鉄橿原線:「八木西口駅」下車
  • 近鉄南大阪線:「畝傍御陵前駅」下車
  • 奈良交通バス:「四条町」バス停下車

最寄り駅からキャンパスまでは徒歩または自転車等での通学となり、旧キャンパスに通う場合と比べて数分程度の追加徒歩時間が発生します(大学は最寄駅からの徒歩所要時間に+10分程度余裕を見るよう案内しています)。新キャンパス開設当初は専用の新駅がまだないため、学生は上記の既存駅を利用し、従来よりやや延長された経路を通学することになります。大学側も、JR畝傍駅や近鉄八木西口駅から新キャンパスまでの徒歩ルート案内図を公表し、円滑な通学を支援しています。いずれにせよ、新キャンパスは従来のキャンパスから大きく離れてはいないため、通学手段自体(鉄道・バス利用という点)は従前と同様で、大きな負担増にはならないと見られます。

近鉄電車の新駅計画

新駅の構想・計画の詳細

近鉄電車医大前駅周辺地図

近鉄橿原線・医大新駅の予定位置: 上図の赤丸が計画中の「医大新駅」の位置で、既存の八木西口駅(青)と畝傍御陵前駅(白)の間に新設される予定です 。緑色のエリアは奈良県立医科大学の新キャンパス、紫色は附属病院の位置を示しています。この近畿日本鉄道(近鉄)橿原線の新駅構想は、奈良県と近鉄が連携して進めているプロジェクトで、新キャンパスおよび奈良医大附属病院へのアクセス改善を目的としています。新駅は仮称「医大前駅」等とも呼ばれ、橿原市四条町周辺(現キャンパス・附属病院の北側付近)に位置する計画です。近鉄八木西口駅~畝傍御陵前駅間に新駅を設けることで、奈良医大への最寄り駅を新設しようというものです 。奈良県と近鉄との間では2022年に新駅設置に関する連携協定が結ばれており、現行の八木西口駅は存続させる方針で調整が進められています。

新駅の開業予定時期

近鉄橿原線の新駅(医大新駅)は、2031年頃の開業を目指して計画されています。奈良県が2025年2月に明らかにした方針によれば、新駅の供用開始時期を奈良医大附属病院の新外来棟完成と同時期(2031年前後)に設定する考えです。附属病院では現在、新キャンパス移転後の跡地等を活用して大規模な新外来診療棟の整備計画が進行中であり、その竣工時期が2031年ごろと見込まれています 。奈良県はこの新外来棟の完成に合わせて医大新駅を開業し、一体的に利便性を向上させる計画です。なお、奈良県では2031年に第79回国民スポーツ大会(国体)・全国障害者スポーツ大会の開催を予定しており、医大新駅の設置と並行して観客5000人規模の新アリーナ(体育館)建設も検討されています 。これら複数のプロジェクトを2031年前後に間に合わせることで、地域の公共交通と施設整備を一体的に推進する構想となっています。

新キャンパスへのアクセス・利便性向上への影響

近鉄橿原線の新駅が開業すると、奈良医大新キャンパスへのアクセス利便性は飛躍的に向上する見込みです。現在は最寄り駅から徒歩やバスで10分以上かかるところ、新駅がキャンパス至近にできれば電車降車後の移動時間が大幅短縮されます。学生や教職員にとって通学が便利になるだけでなく、附属病院を利用する患者や来訪者にとっても公共交通で直接アクセスしやすくなるメリットがあります。奈良医大の所在地は奈良県内でも鉄道網が集まる橿原市街地に近く、新駅整備によりキャンパス・病院と鉄道駅が直結することで、地域の交通結節点としての機能も高まるでしょう。 実際、新駅予定地は大学および病院の目の前であるため、新駅開業後はキャンパスと駅が徒歩数分圏内となり、通学・通院の利便性が著しく向上すると想定されています。さらに、新駅と併設される予定の大型アリーナ施設の利用者も含め、この地域一帯の交通アクセスが改善され、奈良県立医科大学周辺は教育・医療・スポーツの拠点として発展が期待されます。新駅計画はまだ数年先の実現ですが、公表されている最新情報からはその具体像と効果が徐々に明らかになっています。

参考資料

関連記事

TOP