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英検は医学部受験に有利?いつ何級を取るべきか、国公立・私立の活用法を徹底解説

近年、大学入試全般で英語の外部検定試験(英検やTOEFLなど)を活用する動きが強まっています。医学部は以前まで大学独自の試験で合否を決める傾向が強く、「6年間で医師国家試験に合格できそうな学生」を自前の学力試験で選抜したいという考えから、他学部ほど英検等を積極的に取り入れてきませんでした。しかし2019年以降の大学入試改革の流れもあり、医学部でも英検など英語4技能試験を活用する大学が徐々に増え始めました。英検の資格やスコアを出願要件に課したり、試験の得点に加点する医学部が2025年度入試以降目立って増加してます。

こうした状況で、医学部を目指す受験生にとって英検取得のメリットも大きくなっています。英検を取得しておけば、大学の英語試験を有利に進められる場合があるからです。例えば英検の級やスコア次第では「大学入学共通テストの英語を満点扱いにする」、「大学独自の英語試験の得点に加点する」といった優遇措置を受けられることがあります。また英検は年3回(従来型)または年6回(CBT方式)と何度も受験のチャンスがあるため、高校在学中に計画的にクリアして英語の得点を先行確保できれば、入試本番では英語以外の科目対策に時間を回すことも可能になります。このように「受験英語の貯金」を作れる点で、英検取得は医学部志望者にも注目されています。

国公立医学部で求められる英検の級

国公立大学の医学部では、英検準1級以上(CEFRで言うB2レベル)の取得が事実上の前提条件となっている場合が多いようです。実際、英検準1級以上の資格を出願時に提出すれば、共通テスト英語の得点を満点に換算する、あるいは共通テスト英語の得点に一定の加点を行う国公立医学部が複数存在します。

たとえば広島大学医学部では、出願までに英検準1級以上を取得した受験生について、その年度の共通テスト英語(リーディング・リスニング)を一律満点とみなす制度を導入しています。

また岡山大学医学部では、英検1級(C1レベル)取得者に対し、共通テスト英語だけでなく二次試験の英語も満点として扱う制度を打ち出しました。英検1級合格はハードルが非常に高いものの、該当者にとって英語が満点保証されるこの措置は「英語120点分以上のアドバンテージ」になるとも言われています。

他にも、鹿児島大学医学部では英検準1級以上の資格を持つ受験生を対象に共通テスト英語の救済策を設けています。具体的には共通テスト英語(リーディング・リスニング)それぞれの得点率が80%以上であればその部分を満点に引き上げ、80%未満でも実得点の25%を加算するという制度です。例えばリスニングが70点(満点100点中)だった場合、準1級保持者であれば17.5点分を上乗せして87.5点にしてもらえる計算になります。

このように、国公立医学部では英検準1級を一つの基準として、共通テストの英語成績を底上げしたり満点扱いにしたりする仕組みが主流です。裏を返せば、国公立医学部を目指すなら高い英語力(少なくとも準1級レベル)が求められるということになります。

私立医学部で求められる英検の級

私立大学の医学部でも、2025年度入試以降は英検を活用した選抜方式が増えてきました。国公立に比べ導入は遅れていましたが、最近になって英検など英語資格を出願条件に課したり、試験成績に加点する医学部が相次いでいます。私立医学部の場合、求められる英検の級は方式によって異なりますが、一般に準1級〜2級レベルが最低ラインとして設定されるケースが多くなっています。

まず「出願条件」として英検資格を要求するケースでは、比較的高い級が求められます。

埼玉医科大学の推薦入試(特別枠・英語型)では英検1級の取得が出願の必須条件です。

また関西医科大学の特色選抜(英語運用能力重視型)では準1級以上、兵庫医科大学の一般選抜B方式(高大接続型)では2級以上の取得が出願要件となっています。

これらはいずれも「一定以上の英語力証明(CEFR基準)」を持つ受験生のみ出願を認める方式で、他にも日本医科大学のグローバル特別選抜(準1級以上)や、東邦大学医学部が2025年度から開始した統一入試(2級以上)など、英検資格を出願資格に課す私立医学部が増加傾向にあります。

多くは「出願時点から遡って2年以内」に取得した証明が有効と指定されています(例:2025年度入試なら2023年以降の検定が対象)。英検の場合、有効期限を明示していない大学も多いですが、基本的には直近2年程度のスコア提出を求める大学が主流です。遅くとも高校3年生の秋までに必要級を取得しておくことが望ましいと言えます。

次に「加点方式」で英検を活用する私立医学部もあります。

これは出願資格としてではなく、取得級に応じて試験の得点にボーナスを与える方式です。

代表的な例が福岡大学医学部で、共通テスト利用入試において英検等のスコア提出者に英語の一次試験得点を加算しています。英検2級合格なら英語得点に20、英検準1級または1級合格なら40点を加点すると明示されています。この差からも分かる通り、より高い級の取得ほど大きな優遇を受けられるのが特徴です。実際、福岡大学の場合は準1級以上を持っていると英語で40点もの大幅加点が期待でき、合否に直結する強みとなります。

また順天堂大学医学部(一般B方式)でも出願時に提出した英検スコアに応じて最大25点の加点が行われます。例えば英検1級相当(CSEスコア2600以上)で25点、準1級相当(2450以上)で20点、2級相当(1980以上)でも5点以上の加点が得られる仕組みです。このように私立医学部では、準1級〜2級以上を持っていれば何らかの優遇措置が受けられるケースが多く、特に準1級以上を取得しておくと選択肢や有利さが格段に広がります。

英検はいつまでに取得すべきか

英検の取得時期は早め早めが鉄則です。

高い級を狙うほど合格までに時間がかかるため、逆算して計画的に臨む必要があります。一般的には、高校2年生終了までに英検2級を取得し、英語が得意な場合はその時点で準1級に合格しておくのが理想的と言われます。実際、グリットメディカルでも、「高2までに2級、余力があれば準1級を目指す」ことが推奨しています。そこから高3序盤〜夏までに準1級や1級に挑戦できれば、出願までに必要な級を揃えられるでしょう。

スケジュールを立てる際は各大学の出願時期から逆算することが大切です 。

多くの私立医学部は11~12月頃に出願締切を迎え、国公立も年明け1月中旬には出願開始となります。したがって、高3の秋(11月)以降の英検では結果発表が間に合わない可能性があります。

英検は筆記試験から合否判定まで通常数週間以上かかり、合格証明書の発行にも時間を要します。大学によっては「◯年◯月◯日までに取得した資格に限り有効」と細かく指定している場合もあります。

例えば東邦大学統一入試では「試験実施年の2年前の4月1日以降に取得したもの」などの条件がありますが、これは日付で見ると高3の夏〜秋までに合格している必要があることを意味します。受験生は志望校の出願要項を確認しつつ、「どの試験回の英検を受ければ締切に間に合うか」まで逆算してスケジュールを組みましょう。

英検は毎年実施日が多少前後し、特に従来型(筆記)の第2回・第3回検定は日程がずれやすいので要注意です。漠然と「秋までに取る」ではなく、「〇月〇日の検定で合格する」という具体的な目標設定が大切です。

幸い英検は年に複数回受験できるため、一発勝負ではありません 。

段階的にステップアップしていく戦略も有効です。最初から無理に英検1級を狙わず、まず2級→準1級→1級と徐々に挑戦することで、英語力を伸ばしつつ確実に目標級を取得できます。その際にも、「〇年〇月までに2級合格、次に〇月までに準1級合格」というように各段階で期限を決めて取り組むと良いでしょう。こうした計画的な受検により、高3の秋までには志望校で活用できる英検資格を手に入れておくことが可能になります。

英検利用にあたっての注意点

英検の取得は医学部受験において確かに有利な武器になりますが、あくまで「合格の手段」の一つであり、それ自体が最終目標ではないことを心得ておきましょう。

英検対策に時間をかけすぎるあまり、肝心の他教科の学習が疎かになっては本末転倒です。医学部合格には英語以外に数学・理科など高得点が要求される科目が多くあります。

英語が得意な人ほど英検の勉強に熱中しがちですが、入試全体を見渡してバランス良く学習時間を配分することが大切です。実際、英検1級レベルの語彙や内容は医学部入試の英語とは傾向が異なり、高校生にとって負担が大きい側面もあります。無理に最高級を狙って他科目の時間を削るよりも、自分の志望校に必要な級を見極め、そこに到達したら他の科目対策にシフトする柔軟さも求められます。

英検取得は英語力の証明になるだけでなく、自身の英語力を客観的に測る良い機会にもなります。

苦手意識がある人も、まずは2級合格を目標にすることで基礎的な読解・リスニング力を鍛えることができますし、準1級に挑戦する過程で医学論文にも通じる高度な英文読解力や表現力が養われます。その結果として英語の実力がつき、その証明が受験でも活かせれば一石二鳥です。英検はあくまで受験を有利に進めるための一手段と割り切りつつ、上手に活用してください。

適切な級を適切な時期に取得できれば、医学部合格への道筋に大きな追い風となるでしょう。最後までバランスを意識して学習を進め、英検の資格もうまく役立ててください。各大学の最新情報を確認しつつ、目標級の合格に向けて頑張っていきましょう。グリットメディカルでは英検の勉強のアドバイスも行っています。お気軽にご相談ください。



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