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2025年度最新|国公立医学部志願者推移と増減の要因を徹底解説!

医学部受験生や保護者の皆様に向けて、2011年度から2025年度入試までの全国の国公立大学医学部医学科における志願者総数と志願倍率の推移をまとめました。各年度の志願者数(のべ出願者数)と、募集人員に対する志願倍率を示し、続けて全体的な傾向や変化について考察しています。

年度別 志願者総数・志願倍率一覧

2011年度(平成23年度入試)

志願者総数 19,023人、志願倍率約5.3倍(募集人員3,567人に対し19,023人が志願 )。前年2010年度(17,177人)。から志願者数が増加し、医学部人気の高さがうかがえます。

2012年度(平成24年度入試)

志願者総数 20,483人、志願倍率約5.7倍(募集人員3,587人に対し20,483人が志願 )。2011年度から引き続き志願者が増え、倍率も上昇しました(前年より約+7.6%の志願者増 )。

2013年度(平成25年度入試)

志願者総数 約2.2万~2.3万人、志願倍率6~7倍程度と推定されます。正確な統計は年度によって集計方法が異なりますが、この頃まで毎年志願者が増え続け、医学部人気がピークに近づいた時期です。センター試験の得点が伸び悩んだ影響で「安全志向」の出願も見られましたが、それでも前年から志願者は増加し難化傾向が続きました。

2014年度(平成26年度入試)

志願者総数 約3万人弱(推定)。志願倍率約7~8倍。2013年前後で医学部志願者はひとつのピークに達しており、この年度も依然として高い志願者数を維持しました。前年度の反動で多少の増減はあったものの、引き続き全国的に医学部志願者は高水準に推移しました。

2015年度(平成27年度入試)

志願者総数 30,046人(目安)、志願倍率約8倍。医学部人気は依然高く、この頃は募集人員約3,700~3,800人に対し志願者が約3万人を超える状況でした。競争倍率も8倍前後と非常に高い水準で推移しています。

2016年度(平成28年度入試)

志願者総数 28,415人(目安)、志願倍率約7.5倍。2015年度をやや下回る志願者数となりましたが、それでも依然高倍率で推移しています。医学部定員拡大などの影響もあり若干志願者数は減少しましたが、依然として医学部入試は狭き門でした。

2017年度(平成29年度入試)

志願者総数 約2.7万人(推定)、志願倍率約7倍前後。2016年度までのピークから志願者数は漸減傾向となり、この年も若干の減少が見られました。それでも倍率は約7倍と高く、依然医学部志望者の熱意は衰えていません。

2018年度(平成30年度入試)

志願者総数 約2.3~2.4万人(推定)。志願倍率約6倍弱。近年の中では志願者数がやや落ち着いた時期で、前年度までと比べ志願者が減少した可能性があります (※2018年度前期試験の志願倍率は約4.06倍 で、後期日程志願者を含めた総合計では6倍近い倍率と推定)。

2019年度(平成31年度入試)

志願者総数 24,713人、志願倍率約5.9倍。 この年は前年より志願者数が増加し、募集人員約4,159人(前期3,635人・後期524人)。に対し前期志願者15,824人、後期志願者8,889人となりました。倍率は前期4.4倍・後期17.0倍となり、全体でも約6倍近い高倍率でした。

2020年度(令和2年度入試)

志願者総数 21,244人、志願倍率約5.3倍。 前年度より志願者数が大幅減少(約-3,469人)。し、倍率も低下しました。募集人員約4,035人(前期3,581人・後期454人)。に対し前期志願者14,190人、後期志願者7,054人となり、前期倍率4.0倍・後期15.5倍、全体では約5.3倍とここ10年で比較的低い水準となりました。

2021年度(令和3年度入試)

志願者総数 約2.2万人(推定)。志願倍率約5.5倍前後。大学入学共通テストへの移行初年度でしたが、医学部志願者数は前年の落ち込みから持ち直したとみられます。共通テスト初年度は平均点がやや高く(前年度比で上昇)、医学部人気と相まって志願者数は増加に転じた年度です。

2022年度(令和4年度入試)

志願者総数 約22,000人強(推定)、志願倍率約5.6倍。前年から引き続き志願者数が増加しました。共通テストが難化(平均点大幅ダウン)した影響で安全志向の出願も見られましたが、最終的に医学部志願者は前年より増加(2年連続増)しています。競争倍率も全体で5倍台後半まで上昇しました。

2023年度(令和5年度入試)

志願者総数 23,510人、志願倍率約5.9倍。  募集人員の減少(前年より64人減)。にもかかわらず志願者数は前年度比+1,167人増加し、3年連続の志願者増となりました。一般選抜前期志願者は15,960人、後期志願者7,550人となり、前期倍率4.3倍・後期倍率約21.5倍といずれも前年並みか微増でした。医学部人気が高まり、コロナ禍で医療への関心が高まったことも背景に志願者が増えたと考えられます。

2024年度(令和6年度入試)

志願者総数 23,036人、志願倍率約5.87倍。  一般選抜前期の志願者数は15,973人(前年比+13人と微増)、後期志願者数は7,063人(前年比-487人と減少)。総志願者は前年度から474人減とわずかな減少に転じました が、依然として倍率は5.87倍と高い水準です。18歳人口減少下でも2021年度以降増加傾向が続いた医学部人気は健在で、この年も国公立全体の平均倍率(前期2.9倍・後期10.0倍)。を大きく上回る競争率となりました。

2025年度(令和7年度入試)

志願者総数 21,957人、志願倍率約5.64倍。 一般選抜前期志願者は15,306人、後期志願者6,651人となり、ともに前年比減少(前期 -667人、後期 -412人)。総志願者数も前年度比1,079人減(-5.7%)。と2年連続の減少となりました。倍率も5.64倍と前年より低下しています。この志願者減少について、駿台予備学校は「2022・2023年度に志願者が増加して難易度が高まったことから、受験生に敬遠された」ことが要因と分析しています。それでも依然5倍台半ばの高倍率であり、医学部人気の根強さもうかがえます。

全体傾向の分析と変化の要因

2011年~前半(医学部人気の高まりとピーク)

2010年代前半は医学部志望者が毎年増え続けた時期でした。リーマンショック後の景気不安も背景に「安定した職業」として医師を志す傾向が強まり、医学部志願者は2011~2013年頃にかけて急増しました 。2011年度には前年から約10%増の19,000人超となり、2012年度も約20,000人を突破。その後も2010年代前半に志願者数・倍率とも大幅上昇し、募集定員拡大にも関わらず倍率は上昇を続けました。「医学部志向の高まり」は顕著で、2003年度以降毎年志願者が増え続けて10年余りというデータもあります。この結果、平成25年前後には志願者数・倍率が頂点に達し、入試難易度は極めて高い水準となりました。特に2013~2015年頃は志願者総数が3万人前後と突出して多く、志願倍率が7~8倍台に達する超狭き門の時期でした。センター試験の難易度変動も出願行動に影響し、例えば2013年度にはセンター国語の難化で一部受験生が医学部志望を断念する動きも見られましたが、それでもなお医学部人気は衰えず高倍率を維持しました。

2010年代後半(志願者数の緩やかな減少と一時的な低下)

2015年以降になると、長年続いた増加傾向が徐々に頭打ち・減少傾向に転じます。各大学で医学部定員増(医師不足対策の臨時定員措置など )。が進み募集人員が拡大したこと、さらには18歳人口の減少が本格化したことなどが背景にあります。2016~2018年頃には志願者総数が徐々に減り、倍率もそれに伴い低下していきました。2019年度入試の志願倍率は約5.9倍と、ピーク時(7~8倍台)。から見るとだいぶ落ち着いた水準になっています。特に2020年度入試では前年度比で志願者が大幅減少し、ここ10年で最も低い約5.3倍まで志願倍率が下がりました。この頃は大学入試改革(センター試験から共通テストへの移行準備)など制度面の変化や、他学部志望者との相対的な人気動向の変化もあり、一時的に医学部志望者の伸びが落ち着いた時期と言えます。それでも依然として他分野に比べれば高い人気を保っており、国公立全体の平均倍率(概ね3倍前後)と比べると医学部医学科の倍率は倍以上の高さを維持していました。

2021年以降(コロナ禍での志願者増加と直近の減少)

2021年度入試からは大学入学共通テストが導入され、新テスト初年度となった2021年度は平均点の上振れもあって前年の反動で医学部志願者が増加に転じました。さらに新型コロナ禍で医療への関心や社会的注目が高まったことも、医学部人気を後押ししたと考えられます。2022~2023年度入試では2年連続で志願者数が増加し、医学部医学科の志願者は再び増加傾向となりました。難関でありながらも「社会貢献できる安定した職業」として医師を志す若者が増えたこと、私立医学部の学費値下げなどで医学部進学へのハードルが下がりつつあることも一因でしょう。2023年度には国公立医学科志願者が約23,500人となり、18歳人口減少下でも医学部人気の根強さを示しました。

しかし直近の2024・2025年度入試では志願者数が2年連続で減少しています。この背景について、「志願者増による難易度高騰で受験生が敬遠し始めた」とする分析があります。つまり、2021~2023年の志願者増により競争が激化し、「合格が難しすぎる」という印象から一部の受験生が出願を控える傾向が出てきたということです。その結果、2025年度入試の志願者総数は約21,957人と5年前(2020年度)並みの水準にまで減少し、志願倍率も5.64倍とやや緩和されました。もっとも依然5倍台後半の倍率であり、高い人気自体は維持されています。「医学部離れ」が起きたというより、受験生の出願戦略が慎重化した側面が強く、難易度動向を見極めて安全校・他学部へ志望変更する動きがあったと考えられます。

2011年から2025年までの約15年間で、医学部医学科の志願者動向は「増加→ピーク→減少→再増加→やや減少」という波を描きました。常に他分野より高倍率を保ちつつ、特に2010年代前半の人気ピーク時には志願倍率7~8倍超の超難関期が存在しました。その後定員拡大や人口動向で一時緩和したものの、直近まで5~6倍程度の高倍率が続いています。最新の2025年度入試では2年連続の志願者減となりましたが、これは前数年の志願者急増による難化の反動であり、医学部人気そのものがなくなったわけではありません。 実際、依然として多くの受験生が医学部を第一志望とし、医師という職業への熱意と魅力は揺るぎないものがあります。医学部志望者にとっては競争がやや緩和した今こそチャンスとも言えます。志望校の募集人数や試験科目の変更にも注意を払いながら、最後まで粘り強く学習を続けていってください。医学部入試は依然厳しい戦いですが、近年の動向を踏まえた綿密な戦略と十分な準備で合格を勝ち取ってくださるよう応援しています。




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