大学入学共通テストでは、2026年度(令和8年度)から試験当日に受験生が持参すべき物品にいくつか重要な変更点があります。特に新たに必須となった持ち物や、保護者としてサポートする際に知っておくべきポイントをまとめました。本番前の最終確認にぜひお役立てください。
目次
今年度からの変更点の概要
まずは、2026年度から新たに変更・追加された持ち物について、その詳細と背景を解説します。今年度の共通テストでは、受験票の取り扱い方法と身分証明書の持参義務化という二つの大きな変更があります。それぞれ何が変わったのか、なぜ変更されたのかを見ていきましょう。
受験票の自宅印刷への変更
今年度から受験票は郵送されず、各受験生が自らインターネット出願サイトのマイページからダウンロード・印刷して用意する方式に変わりました。具体的には、共通テスト出願サイトで出願後、12月上旬(令和7年12月10日から)にマイページ上で受験票が発行されますので、それを各自でA4用紙に印刷し、試験当日に必ず持参する必要があります。紙の受験票が自宅印刷になったことで、従来のように大学入試センターから郵送されることはなくなりました。スマートフォンやタブレットの画面に表示するだけでは試験会場に入れませんので注意が必要です。公式の「受験上の注意」にも「試験当日は,マイページから各自で取得・印刷した『受験票』を必ず持参してください。スマートフォン等での画面表示では試験場に入場できません」と明記されています。
こうした受験票取り扱いの変更は、2026年度から共通テストの出願方法が全面的にWeb出願へ移行したことに伴う措置です。インターネット出願に一本化することで手続きの効率化や迅速化が図られ、紙の郵送にかかる時間や手間を省く狙いがあります。受験生にとっては、自宅で受験票を印刷する手間が増えますが、その分出願情報の確認や訂正もオンライン上で容易になる利点があります。受験票を印刷する際は、白紙のA4用紙に余白や裏書きのない状態で印刷するよう推奨されています。万一不鮮明な印刷や汚れ・書き込み等の不備があると無効とみなされる可能性もありますので、印刷後は内容が正確に印刷されているか、汚れがないかを十分確認してください。なお、受験票に何らかの書き込みをすることは禁止されています。受験票にメモや印などを書き込んでしまうとカンニング(不正行為)とみなされるおそれがありますので、試験当日まで清潔な状態で保管してください。
ポイント:受験票の印刷に関する注意
- 印刷タイミング:受験票は共通テスト出願サイトのマイページ上で12月10日頃から取得可能です。早めにダウンロードして印刷しておきましょう。
- 印刷の形式:用紙はA4サイズ・白色、カラー印刷でも白黒でも構いませんが、汚れや極端な薄さがないようにします。裏紙の再利用は避け、裏面含めて何も印刷されていない用紙を使います。
- 予備の用意:念のため予備の受験票をもう一部印刷しておくと安心です。本番当日に紛失や汚損した際の備えになります。
- 持参方法:受験票は折り曲げたりせずにクリアファイル等に入れて持参するとよいでしょう。当日は試験監督の指示に従い、机上に本人の受験票を掲示する形になります。写真票(顔写真)は出願時に提出したデータが受験票に反映されていますので、当日は別途用意する必要はありません。
身分証明書の持参が必須に
もう一つの大きな変更点が、写真付き身分証明書の持参が今年度から必須になったことです。従来、共通テストでは受験票(貼付された写真)による本人確認が中心でしたが、2026年度からは受験票に加えて公的な身分証の提示を求められる場合があります。今年度の「受験上の注意」にも「今年度の大学入学共通テストから,試験当日は,身分証明書(生徒証・学生証・マイナンバーカード・パスポート・運転免許証・在留カード等)の持参を必須とします」と明記されました。具体的には、氏名・生年月日の記載があり顔写真付きで試験当日に有効な身分証明書(例:高校の生徒証・学生証、マイナンバーカード、運転免許証、パスポート、在留カードなど)を持参する必要があります。高校生の場合は学校発行の生徒証で問題ありませんが、顔写真が無い生徒手帳しかない場合や有効期限が切れている場合は、パスポートやマイナンバーカード等の準備を検討してください。
なぜ身分証明書が必要になったのか? 背景としては、不正受験防止や本人確認の厳格化があります。今年度から導入されたWeb出願では、受験票が紙で郵送されない分、試験会場での本人確認をより確実に行う必要が出てきました。そのため写真付き身分証の提示が義務化されたと考えられます。公式発表でも「不正行為が疑われる場合や受験票を持参し忘れた場合など,本人確認のために提示を求めることがあります」と説明されています。実際、試験当日にカンニング行為の疑いが生じた際や、受験票を忘れてしまった受験生への対応として、第三者による“なりすまし”受験を防ぐ目的で身分証の提示を求めるケースが想定されています。こうしたリスク管理の観点から、新たに身分証の持参が必須となったわけです。
ポイント:身分証明書に関する注意
- 使用できる身分証の例:高校の生徒証・学生証(写真付き)、マイナンバーカード、運転免許証、パスポート、在留カードなどが有効です。いずれも氏名と生年月日の記載があり写真付きであること、そして試験当日に有効期限内であることが条件です。
- 事前準備:もし適当な身分証を持っていない場合(例えば写真付きの生徒証が無い、パスポート未取得等)、早めに学校や役所で身分証を発行してもらいましょう。マイナンバーカードは発行に時間がかかるので注意が必要です。
- 当日の提示:試験会場では受験票に貼られた(または印刷された)写真と本人の照合をまず行います。その際、必要に応じて身分証の提示を求められる流れになります。監督者から求められたら速やかに提示できるよう、身分証はすぐ取り出せる場所にしまっておきましょう。
- 写真の写り:受験票に登録した顔写真と当日の容姿が大きく異なる場合(例えば髪型の劇的な変化や眼鏡の有無など)、監督者に申し出れば確認がスムーズです。写真と異なる装い(眼鏡の着脱等)について不安がある場合は、身分証の写真と照合してもらう際に説明できるようにしておくと良いでしょう。
持ち込み禁止物と試験当日の注意事項
新しく追加された持ち物だけでなく、持ち込んではいけない物や当日の注意事項についても最新の情報を押さえておきましょう。共通テストでは毎年「受験上の注意」が公表され、そこで細かなルールが定められています。今年度もいくつか重要な注意点がありますので、違反して失格になってしまうことのないよう、事前に確認してください。
持ち込み・使用が禁止されている主な物品
試験場に持ち込むこと自体が禁止されているもの、あるいは持ち込みは許可されても試験時間中に使用・所持していると不正行為とみなされるものがあります。以下に主な例を挙げます。
- 電子機器類:携帯電話・スマートフォン、ウェアラブル端末(スマートウォッチ、スマートグラス等)、タブレット、電子辞書、ICレコーダー、音楽プレーヤー、イヤホンなどの電子機器は試験中の使用が禁止です。リスニング試験で配布される専用ICプレーヤーとイヤホン以外、一切使用できません。これらは持ち込むこと自体は可能ですが、試験教室に入室する前までに必ずアラームを解除し、電源を切ってカバンにしまう必要があります。試験中に身につけたり手に持っていた場合は不正行為と見なされます。また、試験中にカバンの中で電源が入っていて着信音やバイブ音が鳴った場合も即座に没収され、その科目は0点扱いになる可能性がありますので、電源オフは確実に行ってください。特にスマートウォッチなど腕時計型の電子機器は着用自体が禁止されています。
- 時計(置時計含む):時計は時刻を見る目的のもののみ使用できます。具体的には、時計機能以外の付加機能が一切無いものに限られます。電子音が鳴るもの(アラーム音や秒針のカチカチ音がするもの)、辞書・計算機機能付き、高度なデジタル表示機能を持つもの、大型で周囲の迷惑になるようなものは使用不可です。スマートウォッチ等は時計としても使用できませんし、身につけることも禁止です。試験室に壁掛け時計が無い可能性もあるため、シンプルなアナログ腕時計を用意し、試験開始前にアラーム機能が完全にオフになっていることを確認しておきましょう。
- 学習補助具類:定規(定規の機能を備えた鉛筆なども含む)、コンパス、電卓、そろばん、グラフ用紙など、解答を補助する器具は一切使用できません。試験時間中にこうした物を使うことは不正行為となり、机上に置くこともできません。計算が必要な場合でも電卓やそろばんは使えず、計算はすべて筆算で行うルールです。どうしても定規等が必要となる障害等の事情がある場合は、事前に「受験上の配慮」を公式に申請して許可を得る必要があります。
- 参考書・メモ:言うまでもなく、教科書・参考書・ノート・辞書類は試験中に参照できません。これらは試験開始前にカバンにしまい、机の上に置かないでください。ポケットの中にも紙片などが入っていないか確認しましょう。受験票の裏面や筆箱に公式やメモを書いて持ち込む行為も禁止です。試験官に不審と判断されれば不正と見なされる可能性があります。
- 耳栓:周囲の音が気になる場合でも、耳栓の使用は認められていません。耳栓をしていると監督者の指示が聞こえない恐れがあるため禁止されています。どうしても必要な事情(聴覚過敏など)がある場合は、事前に受験上の配慮申請を行い許可を得る必要があります。なお、イヤホンを耳栓代わりに装着していても使用と見なされ不正行為扱いとなりますので絶対にしないでください。
- その他の持ち込み注意:ハンカチ・ティッシュは持ち込み可能ですが、机に出す場合はビニール袋や箱から出して中身だけにする必要があります (外装に書かれた文字等で不正と疑われないようにするため)。また、防寒や体調管理の目的で膝掛け毛布、クッション、手袋(手汗対策用グローブ等を含む)を使用したい場合は、試験開始前に監督者に申し出て許可を得れば使用できます。黙って使っていると不正と誤解されかねませんので、必ずひと声かけるようにしましょう。携帯酸素やお守り程度のものは黙認される場合もありますが、机上には置かずポケットやカバンにしまっておく方が無難です。基本的に机上に置ける物は公式に許可されたもののみであり、それ以外の所持品が机に出ていると監督者判断で一時預かりとなることがあります。
その他の重要な注意事項
- 受験科目終了後のSNS投稿禁止:今年度から新たに明文化されたルールとして、試験終了後であっても試験問題をSNS等インターネット上に投稿することは禁止されています。例えば、試験当日の全日程が終わっていない段階(他会場で遅延により別室受験者がいる可能性があるなど)で問題内容が拡散すると、公平性に影響を及ぼす恐れがあります。また、試験問題には著作権があるため、たとえ自己分析の目的でも問題文や解答用紙の画像をネットにアップする行為は認められません。「試験が終わったから大丈夫」と思って問題内容をSNSに書き込むと不正行為と見なされる可能性がありますので絶対にやめましょう。実際、2022年の共通テストでは試験問題の漏洩事件も発生しており、こうした事態を防ぐため今年度から規則が強化されています。試験当日だけでなく終了後も含めて、問題内容の取り扱いには十分注意してください。
- 試験会場での本人確認:前述の通り、試験監督者は受験票に印刷された顔写真と受験生本人の照合を試験前に行います。また試験中も監督者が室内を巡回し、不審な行為がないか見回ります。この際、監督者から「前を向いてください」と声をかけられたり、マスクや帽子、眼鏡を一時外して顔を確認される場合があります。驚くかもしれませんが、不正防止のための措置ですので落ち着いて指示に従ってください。特にコロナ禍以降、マスク着用の受験生も多いですが、必要に応じて一瞬外して顔確認を行うことがあります。
- 不正行為への厳正な対処:試験中に不正行為を行った場合、その場で失格となり退室を命じられます。その科目だけでなく共通テスト全科目の成績が無効となり、以後の受験もできなくなります。場合によっては警察に被害届が出されることもあり得ます。ペナルティは極めて重いので、「うっかりミスのつもりが不正行為と見なされてしまった…」という事態にならないよう、持ち物と行動には十分注意しましょう。
- 忘れ物をした場合の対応:万一、受験票を忘れてしまった場合でも試験が受けられなくなるわけではありません。試験場本部に申し出れば仮受験票を発行してもらえますが、その手続きに時間を要します。気付いた時点で速やかに係員に伝え、指示に従ってください。また筆記用具を忘れた場合も、開始前に試験監督やスタッフに相談すれば予備の鉛筆や消しゴムを借りられる場合があります。いずれにせよ、試験開始直前では慌ただしくなるため、会場に着いたら早めに確認し、不足があればすぐスタッフに伝えましょう。
保護者の方へのアドバイス
受験生本人はもちろんですが、保護者の方も今年度の変更点を理解し、当日のサポートに備えることが大切です。以下に、保護者として押さえておきたいポイントをまとめました。
- 最新情報の共有と確認:まず、今年度から受験票は自宅印刷になったこと、身分証明書の持参が必須になったことをお子さんと共有してください。「前年まではこうだったから…」という思い込みで準備を怠ると、当日トラブルになりかねません。大学入試センターの公式発表や学校からの連絡文を一緒に確認し、変更点を正確に把握しましょう。公式サイトにはQ&Aや「受験上の注意」PDFが掲載されていますので、時間をとって親子で読むことをお勧めします。
- 持ち物チェックリストの活用:保護者の目から見て、前日までに持ち物チェックリストを作成・確認すると安心です。必須の受験票 と身分証明書 は最優先として、鉛筆(H・F・HBの黒鉛筆) 、消しゴム、鉛筆削り、腕時計 、昼食、お財布(交通費や非常時用現金)など、必要なものをリストアップしてください。特に受験票と身分証は忘れた場合の手続きが大変ですので、カバンに入っているか二重三重に確認しましょう。チェックリストは紙に書いてもスマホのメモでも構いませんが、最終的には目視で実物を確認することが重要です。
- 身分証明書の事前準備:学校の生徒証を身分証として使う場合、有効期限や写真の有無を確認してください。高校3年生の生徒証は有効期限が「卒業まで」等になっている場合もあります。有効期限が明記されていなくとも 、受験には問題ありませんが、顔写真が貼られていない手帳型の場合は別の身分証を用意した方が安心です。マイナンバーカードを使用する場合は当日有効なパスワード(数字4桁)も覚えておくと良いでしょう(試験場で提示を求められた際に暗証番号入力が必要になるケースは考えにくいですが、念のため)。パスポートや在留カードの場合は期限切れでないことを再確認してください。
- 印刷物・書類のサポート:受験票の印刷は自宅にプリンターがない場合、コンビニのプリントサービスなどを利用する必要があります。保護者の方が代わりに手配してあげる、あるいは一緒にやってあげると良いでしょう。また、印刷した受験票は折り曲げ厳禁ですのでクリアファイルに入れて保管します。当日までに写真や氏名に印字ミスが無いか、汚れや破れが無いかを確認してください。不備があれば早めに大学入試センターに問い合わせましょう。試験当日の朝になって印刷トラブルが発覚しないよう、予備も含め早めに印刷しておくことが肝心です。
- 当日の連絡手段と緊急対応:試験中は基本的にスマートフォンの電源を切ってカバンにしまうため 、保護者からお子さんへの連絡は取れないものと考えてください。緊急時(電車遅延や体調不良など)のために、試験場本部や学校担当者の連絡先をメモしておくと安心です。朝、自宅を出る前に天候や交通情報を確認し、万一の遅延時には振替輸送やタクシー利用も含めて早め早めに対応しましょう。保護者の方がお車で送迎できる場合は、渋滞なども考慮して時間に余裕を持って出発してください。試験場付近は混雑することが多いので、可能であれば少し離れた場所で降ろす、公共交通機関を使うなど臨機応変なサポートを心掛けましょう。
- 昼食・防寒など体調面のサポート:共通テストは長丁場です。昼食や休憩時間の軽食、水分補給の準備も重要な「持ち物」です。保護者の方がお弁当を用意する場合は、消化に良いものや食べ慣れたものを持たせてあげてください。緊張で食が進まない可能性もあるので、ゼリー飲料や栄養補助食品など軽く口にできるものもあると安心です。冬場の試験ですので、上着やマフラーなど防寒具の調整も必要です。試験室内は暖房が効いているとは限らず、逆に暑い場合もあります。脱ぎ着しやすい服装やカイロ、膝掛け等を持たせ、寒暖に対応できるようにしましょう(膝掛け等は前述の通り監督者への申請で使用可能です )。体調管理面では、試験前日は早めに就寝させ、当日の朝は余裕を持って起床できるようサポートしてください。緊張を和らげるため、いつも通りの声掛けや温かい見送りを心がけましょう。
まとめ
2026年度からの大学入学共通テストでは、受験票のWeb出願・自己印刷への変更や写真付き身分証明書の必携化といった重要な変更点が導入されました。これらは受験生の本人確認を徹底し、公平・円滑な試験運営を図るための措置です。【変更点の概要】でも述べた通り、受験票は自分で印刷して持参する必要があり 、併せて顔写真付きの身分証も忘れずに持ちましょう。加えて、スマートフォンや電子機器の取り扱い 、試験中に使用できる物の範囲 、そして試験後の問題取り扱い(SNS投稿禁止) など、細かな注意事項も今年度版にアップデートされています。保護者の方も含め、公式に発表されている「受験上の注意」や各種案内に目を通し、「知らなかった」では済まされないルールを事前に把握しておくことが大切です。
最後に、受験当日は持ち物の不備やルール違反がないよう万全の準備を整え、落ち着いて試験に臨んでください。忘れ物や想定外の事態が起きても慌てず、試験監督やスタッフの指示に従えば救済措置が用意されています。この記事で挙げたポイントを踏まえて、受験生の皆さんが実力を十分に発揮できるよう心から願っています。試験本番まで体調に気をつけて頑張ってください。