共通テスト(大学入学共通テスト)は、2日間にわたって実施されます。受験生にとって、1日目の試験が終わった夜は「自己採点して結果を確認したい」という誘惑に駆られる場面かもしれません。しかし、1日目終了後に自己採点をすることはデメリットしかなく、絶対に控えるべき行動です。ここでは、感情に流されず冷静に「なぜ1日目の自己採点をやめるべきか」を解説し、代わりにどう行動すべきかを考えてみます。
目次
1日目に自己採点することのデメリット
共通テスト1日目の夜に自己採点を行うことにはいろいろデメリットがあります。
- 結果は変えられない: どれだけ早く採点しても一度終わった試験の結果は変えられません。試験後すぐに答え合わせをしても、得点そのものを改善することは不可能です。冷静に考えれば、「終わったものは終わったもの」です。
- 悪い結果ならショックを受ける: 万一自己採点の結果が思わしくなかった場合、大きな精神的ショックを受けてしまい、翌日の試験に過度のプレッシャーがかかる可能性があります。自信を喪失したり不安が増大したりすれば、2日目の集中力に深刻な悪影響が出ます。
- 良い結果でも油断につながる: 逆に予想以上に得点が良かった場合でも、安心感からくる油断や慢心が生まれてしまうリスクがあります。満点に近いスコアを確認してしまい、「もう大丈夫だ」という気持ちになれば、本来気を引き締めて臨むべき2日目の試験で注意力が散漫になります。点数が良かったら慢心が生まれ、悪かったら絶望して気分が落ち込む――いずれにしても良いことは何一つありません。
- 精神状態が不安定になる: 良くても悪くても感情が大きく揺さぶられることでメンタルが不安定になり、試験本番中の平常心を失いかねません。心の動揺は集中力低下につながり、当日の実力発揮を妨げる最大の敵です。特に「ショックで2日目の試験に集中できない」という事態になれば元も子もありません。
- 睡眠や体調への悪影響: 自己採点の結果に一喜一憂することで神経が高ぶり、不安や興奮で夜になかなか眠れなくなります。十分な睡眠を取れずに翌日試験に臨めば、集中力や記憶力が低下し、普段なら解ける問題を間違えるリスクが高まります。テスト前日に睡眠不足だった生徒よりもしっかり睡眠を確保した生徒の方が結果がいいことは言うまでもありません。受験直前の夜は、知識を詰め込むよりむしろ良質な睡眠で脳を休めることが成績アップの鍵です。自己採点による不要なストレスで貴重な睡眠時間を削るのは本末転倒です。
- 貴重な休息時間の浪費: 1日目の試験が終わった夜は、翌日に向けて休息・英気を養うべき時間です。自己採点を始めると、解答速報を探したり点数計算をしたりと時間と労力を消耗してしまいます。さらに一度採点してしまうと「この点数は全体で見てどうなのだろう?」と気になって、インターネット上で他の受験生の状況や平均点予測を調べ始めてしまうかもしれません。しかし共通テスト1日目の夜は予備校も正確な情報を持っておらず、そうした情報収集は正確ではなく徒労です。限られた夜の時間を無駄に過ごすことで、心身の疲労が十分に取れないまま2日目を迎えてしまうかもしれません。
以上のように、1日目に自己採点をすることはデメリットだらけです。もう一度言います。デメリットしかありません。早めに点数を知りたい気持ちは理解できますが、それによって得られるものは何もなく、失うもの(メンタルの安定や翌日のコンディション)しかありません。
「自己採点した方がいいのでは?」と感じる理由とその誤解
それでも受験生の中には、「早めに自己採点することにもメリットがあるのではないか?」と考える人がいるかもしれません。一見もっともらしく思える自己採点をしたくなる主な理由を取り上げ、それがなぜ合理的とは言えないかを考えてみます。
- 不安を解消したい: 試験1日目が終わった時点では「自分はどれくらい点が取れているのか」という不安はあるものです。しかし、不安を完全に消し去ることは早急な自己採点でも難しいのが現実です。点数が判明しても、もし想定外に低ければさらに大きな不安と焦りを生むだけですし、高かった場合でも今度は「明日も失敗できない」という新たなプレッシャーが生じるだけです。多少の不確実さが残っていても、それを抱えたまま休息に努める方が建設的です。翌日の試験が終われば嫌でも結果は判明するのですから、一日くらい疑問を保留にしても大勢に影響はありません。心配な気持ちをぐっと抑え、「今は休んで明日の自分に備えるのが最善だ」と割り切ることが得策です。最後の科目が終わるまで自己採点を我慢した方が心穏やかでいられることは間違いありません。
- 良い点なら自信になる?: 「もし思った以上に高得点だったら、それを知ることで明日の自信につながるのでは」という考えもあるでしょう。しかし、この自信は刃にもなり得ます。確かに適度な自信は大切ですが、前日に高得点を知ってしまうと慢心や油断に直結しやすいのが人間心理です。点数が良ければ気が緩み、悪ければ落胆するだけで、どちらに転んでも良いことはありません。また、2日目には理系科目(数学や理科など)の試験を控えているのですから、必要なのは冷静さと慎重さであって、勢い任せのノリや過剰な自信ではありません。高得点を知ってテンションが上がりすぎると、細心の注意が要求される問題でケアレスミスを犯す危険もあります。本当に有益な自信とは、自己採点の結果ではなく「これまで勉強してきた」という事実に裏打ちされた自信のはずです。前日の点数確認なしでも、自分の努力を信じて2日目の試験に臨めるようメンタルを整えることが大切です。
- 悪い点なら割り切れる?: 一方で「もし予想より点が悪かったら、いっそ開き直って明日は捨て身で挑めるかもしれない」と考える人もいるでしょう。しかし、実際には悪い点を知ってプラスに作用するケースはごく稀です。大半の受験生は、悪い結果を見て平常心ではいられず、落ち込みます。仮に「もう失うものはない」と開き直れたとしても、それはやぶれかぶれの諦めの境地であり、本来の実力を発揮するプラスの動機づけとは言えません。むしろ「昨日ダメだった分を取り返さなければ」と焦りが先行し、ミスを連発する恐れの方が高くなります。失点を引きずらず翌日に切り替えるコツは、悪かった可能性があっても確認しないことで頭から追い出すことです。1日目に手応えが今ひとつでも、「まだチャンスは残っている」と自分に言い聞かせて気持ちを立て直す方が建設的です。目の前の試験に集中するためには、下手に数字を知るより「もしかしたら挽回できているかも」という希望を残しておくほうが精神のバランスは保たれるのです。
- 翌日の戦略を立てられる?: 中には「1日目の得点次第で2日目の戦略を変えたい」という考えを持つ人もいます。例えば「1日目で十分な点数を取れていれば、2日目は難しい問題を見極めて確実に取れる問題に絞ろう」といった発想です。しかし、このような器用な戦略転換は現実にはあまり功を奏しません。なぜなら、共通テストでば短期間では急に作戦を変えること自体がリスクだからです。試験本番では、今まで練習してきたペース配分や解答手順を守りつつベストを尽くすのが基本です。突然「安全運転」に切り替えたり「攻め」に転じたりしても、判断を誤る可能性が高まります。そもそも、自己採点で把握した1日目の点数自体に誤差があるかもしれません(マークミスや記憶違いで実際の得点とズレることもあり得ます)。不確かな情報を元に戦略をいじることは危険な賭けです。結局のところ、2日目も全力で解ける問題を一つ一つ確実に解答していく以外の攻略法は存在しません。1日目で成功していようと失敗していようと、2日目にやるべきことは変わりません。であれば、あえて得点を確認して雑念を増やす必要はどこにもないと言えるでしょう。
以上のように、自己採点を1日目に行うことには一見するともっともらしい理由付けが存在しても、合理性に欠けることがお分かりいただけると思います。
自己採点は2日目終了後に行うべき
自己採点はいつ行うのが望ましいのでしょうか。答えは明白です。すべての試験科目が終わった後、つまり2日目の全日程を終えてから自己採点を行うのです。多くの指導者や経験者が「共通テストの全科目が終わるまでは絶対に自己採点をしてはいけない」と口を揃えて助言しています。2日目終了後に自己採点することには、次のような利点があります。
- 最後まで実力を発揮できる: 試験中に余計な情報(途中経過の点数)が頭に入らないため、2日目の試験に全集中で臨むことができます。1日目の結果を気にせず平常心を保つことで、本来の実力を最後まで発揮できます。受験は長時間かかるのですから、途中でメンタルを乱さないことが合格への近道です。
- 心穏やかに試験に向き合える: 2日間すべての試験が終わるまでは結果を見ないと決めてしまえば、1日目の夜も「今は考えても仕方がない」と割り切って休息に集中できます。途中経過を知らないことで不安がゼロにはならないかもしれませんが、中途半端に結果を知るほうがかえって精神に波風を立てます。最後まで自己採点を我慢できた受験生の方が心が安定した状態で2日目を迎えられることは、多くの先輩たちの体験談が物語っています。ストレスや不安を最小限に抑え、万全のメンタルで試験本番に臨むためにも、2日目が終わるまでは結果に触れずにいるのが賢明です。
- 冷静かつ正確な自己分析ができる: 全日程が終わった後であれば、時間的・精神的な余裕をもって自己採点や自己分析に取り組めます。試験がすべて終わった解放感の中であれば、たとえ予想外に点数が悪くても落ち着いて受け止めやすいでしょうし、逆に良かった場合も手放しで喜べます。途中だと「この点数では志望校は無理か?」などと慌ててしまうこともありますが、全て終わっていれば慌てて勉強し直す必要もなく、冷静に今後の方針を考えることができます。
- 今後の出願戦略に活かせる: 共通テスト終了後には、自己採点の結果を踏まえて出願校の検討や二次試験対策に移ります。そのタイミングで初めて得点状況を把握するのが理にかなっています。1日目終了時に自己採点してしまうと、結局2日目の結果もわからないまま不完全な情報で出願戦略を考えてしまう危険があります。2日間の全科目が終わってから合算点を見ることで、初めて正確な自分の立ち位置が把握でき、以降の出願先選定に役立てることができます。共通テストの点数は国公立大学の出願や私立大学の共通テスト利用入試に大きく影響する重要なデータです。この重要データは万全の状態で正確に把握することが肝要であり、試験が全て終わった後に腰を据えて採点する方がミスも少なく確実でしょう。
- 達成感を損なわずに済む: 全ての試験を終えた直後に自己採点することは、一種の儀式的イベントでもあります。2日間の試験を乗り越えたという安心感・達成感の中で結果確認を行うことで、良かった点は素直に自分を褒め、悪かった点も次への教訓として前向きに捉えやすくなります。試験本番中に結果を知って一喜一憂するより、最後にまとめて結果を見る方が精神的にも区切りを付けやすい。受験生活の総決算として、全力を出し切ったあとに自己採点を行うほうが、健全な気持ちで結果と向き合えるでしょう。
自己採点は全試験終了後に行うことで初めて意義を持つと言えます。1日目に急いで点数を知ったところで、それを活かす場もなく害ばかりが大きいですが、2日目までやり切ってから得点を確認すればその後の戦略立案や反省にしっかり役立てることができます。「急がば回れ」の精神で、どうか最後の科目が終わるまでは自己採点を封印してください。その我慢がきっと良い結果につながります。
保護者の皆様へ: 不要なプレッシャーをかけないために
共通テスト1日目の夜、保護者のかたにもぜひ気を付けていただきたいポイントがあります。それは、お子さんに対して「今日の出来はどうだったの?」「何点ぐらい取れたの?」と結果を詮索しないということです。親御さんとしてはお子さんの出来が気になるのは当然でしょう。しかし、そこで詳細を聞き出そうとすることは、大きなプレッシャーを与える行為になりかねません。
くれぐれも結果を詳しく聞くなんてことはしないようにしてください。「疲れていない?」「お腹はすいていない?」など、体調や気分を気遣う無難な会話に留めて、試験の点数や手応えについては保護者の方からは深追いしないようにしましょう。お子さんが自分から話したがっている様子であれば、その時に初めて静かに耳を傾けてあげるのが良い対応です。
受験生本人が「自己採点をしない」という冷静な戦略を採ろうとしていても、親に聞かれると答えざるを得ず動揺してしまう可能性があるからです。また、親に心配をかけまいとして無理に明るく振る舞ったり、逆に点数を知らないことで叱られるのではと不安になったりと、余計な精神的負担を子どもに与えてしまうことも考えられます。保護者の何気ない一言が受験生のメンタルに影響を及ぼす繊細な時期ですので、ぜひ注意深くサポートしてあげてください。
保護者のかたも「2日目が終わるまで結果に触れない」というスタンスを共有することです。お子さんに「自己採点は後でいいんだよ」、「今日はゆっくり休もうね」と声を掛け、焦りや不安を静める存在になってください。保護者自身も不安な気持ちはあるかもしれませんが、そこはグッと堪えて、受験生が安心して休息できる環境づくりに徹することが、結果的に合格への一番の手助けとなります。
冷静さを保ち最後までベストを尽くそう
試験が全て終わる前に途中結果を知ることは、得られるものが何もないばかりか害の方が大きいということを詳しくお話ししました。試験本番という緊張下では、いかに平常心を維持して自分の力を出し切るかが最重要です。そのためには、不確実な途中経過に心を乱されないことが肝心です。
受験生の皆さんは、ここまで積み重ねてきた努力をどうか信じてください。1日目にどんな感触があったとしても、2日目までは自分のやるべきこと(試験に集中すること)だけに目を向けましょう。結果が気になる気持ちは試験終了後の楽しみに取っておけばいいのです。最後の回答用紙を提出するまでは、前だけを見て走り抜けてください。
また保護者の皆様も、お子さんの頑張りを信じて静かに見守ってください。余計な詮索をせず、いつも通りの落ち着いた環境を用意してあげることが、お子さんの力を最大限発揮させることにつながります。
すべての試験が終わるまで自己採点は封印し、その代わり2日間の試験に全力を注ぐ――この冷静な対応こそが、合格を引き寄せる最善策です。最後までベストを尽くした先に、本当の結果が待っています。どうか惑わされず、自分を信じて走り抜けてください。そして全日程終了後に、落ち着いた気持ちで自己採点を行い、次のステップへの糧としてください。共通テストという大きな舞台に挑むみなさんが、二日間を通して持てる力を存分に発揮できることを心から願っています。