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【2026年3月時点】全国の私立大学医学部医学科「留年率」ランキング完全版

医学部選びでは、偏差値や学費ばかりが注目されがちです。ですが、入学後にどれだけストレートで進級しやすいかは、6年間の学びやすさを大きく左右します。

ここでは、文部科学省の「医学・歯学教育」ページに掲載されている最新の公式PDF「各大学の医学部医学科の入学状況及び国家試験結果等」をもとに、全国の私立大学医学部医学科31校を「留年率が高い順」に並べました。元データは「令和元年度入学者の卒業状況」と「第119回医師国家試験(2025年3月)の新卒合格状況」です。

ここでの「留年率」は、各大学ごとに定義がぶれやすい単年度の留年者数ではなく、全国比較しやすい指標として、文科省公表の「最低修業年限での6年次進級率」から算出しています。

計算式は 留年率(概算)=100 − 6年次進級率 です。厳密には「6年間で6年次まで到達できなかった割合」なので、純粋な留年だけでなく、休学・退学などを含む可能性があります。そのため、表には補助指標として「卒業率」と「新卒国試合格率」も併記しました。

全国の私立大学医学部医学科 留年率ランキング

順位大学名留年率(概算)6年次進級率卒業率新卒国試合格率
1東海大学33.9%66.1%66.1%98.9%
2川崎医科大学32.8%67.2%65.6%87.5%
3福岡大学28.2%71.8%68.2%94.6%
4愛知医科大学27.6%72.4%72.4%98.0%
5岩手医科大学25.8%74.2%74.2%95.8%
5東京医科大学25.8%74.2%71.0%96.2%
7藤田医科大学24.2%75.8%75.0%98.1%
8兵庫医科大学24.1%75.9%75.0%99.1%
8大阪医科薬科大学24.1%75.9%74.1%97.9%
10日本大学21.1%78.9%78.9%93.7%
11近畿大学19.5%80.5%79.6%91.7%
12久留米大学18.1%81.9%79.3%84.3%
13昭和医科大学15.9%84.1%84.1%92.5%
14聖マリアンナ医科大学15.7%84.3%84.3%90.0%
15金沢医科大学15.5%84.5%81.0%94.6%
16杏林大学15.4%84.6%83.8%96.9%
17北里大学15.2%84.8%80.8%92.4%
18獨協医科大学14.2%85.8%84.2%90.5%
19国際医療福祉大学13.6%86.4%82.9%100.0%
20産業医科大学13.3%86.7%82.9%94.4%
21埼玉医科大学12.3%87.7%83.8%95.6%
22東京女子医科大学11.9%88.1%88.1%92.8%
23関西医科大学11.5%88.5%86.1%90.3%
24東邦大学11.3%88.7%88.7%98.2%
25帝京大学11.2%88.8%81.6%98.6%
26慶應義塾大学10.5%89.5%89.5%99.1%
27東京慈恵会医科大学9.2%90.8%90.8%99.0%
28東北医科薬科大学9.0%91.0%84.0%92.3%
29日本医科大学7.4%92.6%90.1%95.0%
30順天堂大学3.5%96.5%93.6%97.8%
31自治医科大学2.4%97.6%97.6%99.3%

※留年率(概算)= 100 − 6年次進級率。同率は同順位。自治医科大学と産業医科大学も、文科省資料の区分に従って私立として含めています。表の数値はすべて同一の文科省資料から作成しました。

ランキングから見えること

まず全体像として、私立大学全体の6年次進級率は83.1%、卒業率は81.2%、新卒国試合格率は95.0%でした。全大学平均はそれぞれ86.8%、85.5%、95.7%なので、私立は進級・卒業ではやや厳しめですが、国家試験合格率の差はそこまで大きくありません。留年率(概算)に直すと、私立平均は16.9%、全大学平均は13.2%です。

上位を見ると、東海大学33.9%、川崎医科大学32.8%、福岡大学28.2%、愛知医科大学27.6%、岩手医科大学・東京医科大学25.8%が目立ちます。ただし、ここで大切なのは 「留年率が高い = そのまま教育の質が低い」とは言えない ことです。たとえば東海大学の新卒国試合格率は98.9%、愛知医科大学は98.0%、東京医科大学は96.2%、岩手医科大学は95.8%で、厳しい進級・卒業判定と高い国試成績が両立しているように見える大学もあります。一方で、川崎医科大学は87.5%、久留米大学は84.3%で、上位群の中でも国試成績にはかなり差があります。因果関係をこの表だけで断定はできませんが、「進級が厳しい大学の中にもタイプがある」と読むのが自然です。

逆に、留年率が低い大学にも注目する価値があります。自治医科大学2.4%、順天堂大学3.5%、日本医科大学7.4%、東北医科薬科大学9.0%、東京慈恵会医科大学9.2%が下位(=留年率が低い側)でした。自治医科大学の新卒国試合格率は99.3%、順天堂大学は97.8%、東京慈恵会医科大学は99.0%、日本医科大学は95.0%で、低留年率と高国試合格率を両立している大学もはっきり存在 します。つまり、「厳しく落として国試合格率を上げる」モデルだけが正解ではないということです。

さらに見逃せないのが、6年次まで到達した後の厳しさ です。6年次進級率と卒業率の差を見ると、帝京大学は88.8%から81.6%へ7.2ポイント低下、東北医科薬科大学は91.0%から84.0%へ7.0ポイント低下、北里大学は84.8%から80.8%へ4.0ポイント低下、埼玉医科大学は87.7%から83.8%へ3.9ポイント低下しています。ここは「進級はできても、卒業試験や最終判定が厳しい」可能性を示す部分で、実際に受験校を選ぶ際にはかなり重要です。

もう一歩踏み込むなら「6年で卒業できなかった割合」も見る

今回の主ランキングは「6年次進級率」ベースですが、6年次での留年まで含めて厳しさを見たいなら、100 − 卒業率 も有効です。この見方だと上位は、川崎医科大学34.4%、東海大学33.9%、福岡大学31.8%、東京医科大学29.0%、愛知医科大学27.6%になります。特に東京医科大学、帝京大学、東北医科薬科大学は、6年次進級後に数字がさらに落ちるため、「6年次まで行けるか」だけでなく「6年で卒業できるか」まで見たほうが実態に近いと言えます。

受験生・保護者はこのランキングをどう使うべきか

このランキングは、大学の優劣を一発で決める表ではありません。

医学部では、進級要件の厳しさ、再試の有無、CBT・OSCE前後のサポート、卒業試験の設計、国家試験対策、学年主任や補習制度の厚さなどで、学生生活のしやすさが大きく変わります。だからこそ、志望校選びでは「偏差値」「学費」「立地」だけではなく、6年次進級率・卒業率・国試合格率 をセットで見るのが実践的です。

特に、ストレート卒業を重視する人は、ランキング上位の大学を避けるかどうかではなく、なぜその数字になっているのかを調べるべきです。進級判定が厳しいのか、6年次の卒試が厳しいのか、あるいは学修支援が弱いのかで、意味はかなり違います。逆に、留年率が低い大学でも、授業の密度や試験の負担が軽いとは限りません。数字はあくまで入口であり、大学ごとの教育設計を読むための手がかりです。

まとめ

全国の私立大学医学部医学科を「留年率(概算)」で並べると、最も高かったのは東海大学、次いで川崎医科大学、福岡大学、愛知医科大学でした。最も低かったのは自治医科大学、順天堂大学、日本医科大学、東北医科薬科大学、東京慈恵会医科大学です。とはいえ、高留年率でも国試に強い大学はあり、逆に低留年率でも教育が楽だとは限りません。志望校選びでは、このランキングを「入学後の6年間を見通すための指標」として使うのがいちばん賢い見方です。なお、今回の元データは令和元年度入学者ベースなので、近年のカリキュラム変更や運営変更はまだ十分に反映していない可能性があります。

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