大阪は、日本でも屈指の医学部・大学病院の集積地であり、医療関係者の間では「医局の勢力図」が非常に明確に分かれている地域です。
特定の地域でどの大学が強い影響力(医師の派遣や医療連携)を持っているかを知ることは、進路を考える学生にとっても重要な情報です。2026年現在の状況を整理した「大阪の大学病院勢力図」を解説します。
目次
大阪の「五大医学部」による棲み分け
大阪府内には、1つの国立大学、1つの公立大学、3つの私立大学の計5つの医学部が存在します。それぞれが「地盤」となる地域を持っており、概ね以下のように分類されます。
大阪大学(国立・吹田市):北摂から全域に及ぶ「絶対王者」
旧帝国大学の一つである大阪大学(阪大)は、大阪府内だけでなく近畿圏全体に強大なネットワークを持ちます。
- 本拠地: 北摂エリア(吹田・豊中)
- 特徴: 特定の地域に留まらず、府内の主要な大病院の多くに医師を派遣しています。
- 主な関連病院: 大阪警察病院、国立循環器病研究センター、大阪国際がんセンター、住友病院、JCHO大阪病院など。
大阪公立大学(公立・大阪市阿倍野区):大阪市内の「守護神」
大阪市立大学と大阪府立大学が統合して誕生。特に旧・市大の流れを汲む医学部は、大阪市内の地域医療に深く根ざしています。
- 本拠地: 大阪市内(天王寺・阿倍野)
- 特徴: 大阪市の行政と密接に連携しており、市内の公立系病院に強い影響力を持ちます。
- 主な関連病院: 大阪市立総合医療センター、大阪市立十三市民病院、多根総合病院、石切生喜病院など。
私立三強の「地域独占」
大阪の私立医大(関西医科大学、近畿大学、大阪医科薬科大学)は、それぞれが特定の鉄道沿線やエリアで圧倒的なシェアを誇ります。
関西医科大学(私立・枚方市):京阪沿線の「東の雄」
- 本拠地: 北河内エリア(枚方・守口)
- 勢力圏: 京阪沿線。枚方市や守口市周辺の医療は、関西医大抜きでは語れません。
- 主な関連病院: 関西医大総合医療センター、関西医大香里病院、松下記念病院など。
近畿大学(私立・大阪狭山市):南大阪の「砦」
- 本拠地: 南大阪エリア(堺・南河内)
- 勢力圏: 堺市以南の広大なエリア。2025年には医学部と病院が堺市(泉ヶ丘駅前)へ移転・新築され、さらに南大阪での存在感を強めています。
- 主な関連病院: 近畿大学奈良病院、大阪南医療センター、市立貝塚病院など。
大阪医科薬科大学(私立・高槻市):JR・阪急沿線の「北の拠点」
- 本拠地: 北摂東部エリア(高槻・茨木)
- 勢力圏: 京都に近い北摂エリア。阪大と勢力を二分する形ですが、地域密着度では非常に高い信頼を得ています。
- 主な関連病院: 高槻赤十字病院、済生会茨木病院、市立ひらかた病院など。
【地域別】どこの大学病院が強いのか?(まとめ表)
大阪府内を4つのエリアに分けると、影響力を持つ大学は以下のようになります。
| エリア | 支配的な大学 | 影響力のある大学 |
| 北摂(吹田・豊中・高槻) | 大阪大学、大阪医科薬科大 | 大阪公立大 |
| 大阪市内(梅田・難波・天王寺) | 大阪公立大学 | 大阪大学 |
| 東部・北河内(枚方・守口・寝屋川) | 関西医科大学 | 大阪公立大 |
| 南部・泉州(堺・岸和田・和泉) | 近畿大学 | 大阪大学、大阪公立大 |
なぜ「勢力図」が存在するのか
この勢力図が形成される最大の理由は、医師の派遣システム(医局制度)です。
例えば、歴史的に関西医科大学が医師を送り続けてきた病院には、その次の世代も関西医大出身者が着任するのが一般的です。これにより、地域ごとに「医療のカラー」や「大学間の連携ルート」が固定化されていきます。
近年では、大学の枠を越えた連携も増えていますが、依然として「急病で紹介状を書く際、どこの大学病院に繋がるか」はこの勢力図に大きく左右されます。