2026年1月、聖マリアンナ医科大学病院(川崎市宮前区)は、手術支援ロボット「da Vinci Xi(ダヴィンチ Xi)」の導入を正式に発表しました。
これまで整形外科領域のロボット(ROSA等)では先行していた同院ですが、消化器外科や泌尿器科といった「内臓外科」におけるロボット手術については、周辺の私立医大に対して慎重な姿勢を続けてきました。しかし、今回の導入により、ついに「ライバル校との設備格差」を埋めるラストピースが揃ったことになります。
目次
周辺ライバル校との「手術ロボット」設備比較
神奈川・東京エリアの主要私立大学病院と、聖マリアンナ医大の設備状況を比較してみましょう。
| 病院名 | 導入機種 | 導入時期(内臓外科領域) | 特徴・戦略 |
| 聖マリアンナ医大 | da Vinci Xi | 2026年1月 | 満を持しての導入。後発の利を活かした最新運用を目指す。 |
| 北里大学病院 | da Vinci Xi/X (複数台) | 2018年〜 | 国内屈指の稼働数。2018年には本邦初の4世代2台体制を確立。 |
| 日本医科大学 | da Vinci Xi + hinotori | 2022年〜 | 米国製と国産(ヒノトリ)のハイブリッド運用。先進性に強み。 |
| 慶應義塾大学 | da Vinci 複数台 / 他 | 長年の実績 | 圧倒的な症例数と、ロボット手術の教育拠点としての地位。 |
なぜ今、マリアンナは「ダヴィンチ」を必要としたのか?
これまで聖マリアンナ医科大学病院が慎重だった背景には、費用対効果や既存の腹腔鏡手術の習熟度への自信があったと考えられます。しかし、2026年というタイミングでの導入には、以下の「医局パワーマップ」上の戦略的理由が見え隠れします。
若手外科医のリクルート競争
現在、外科を志す研修医にとって「ロボット手術が学べるか」は死活問題です。北里や日医に流れていた「若手の手」を繋ぎ止めるためには、もはやダヴィンチは「あれば良い設備」ではなく、「無ければスタートラインに立てない設備」となっていました。
関連病院への「医師派遣」の維持
聖マリアンナ医科大学は神奈川県内に強固な医局ネットワーク(派遣網)を持っていますが、派遣先の地域基幹病院が次々とダヴィンチを導入する中、大学本院に設備がない状態は、指導体制の逆転現象を招きかねませんでした。今回の導入は、「教育機関としてのメンツ」を保つ一手でもあります。
2026年度診療報酬改定への布石
2026年度の診療報酬改定では、ロボット支援手術の評価がさらに見直される動きがあります。これに合わせる形で運用を開始し、収益性と低侵襲治療の両立を狙う経営的判断があったと推察されます。
今後の展望:消化器外科から全方位へ
聖マリアンナ医科大学病院での運用スケジュールは以下の通りです。
- 2026年1月: 消化器・一般外科でスタート
- 2026年2月以降: 婦人科、呼吸器外科、腎泌尿器外科へ順次拡大
先行する北里大学の「圧倒的な症例数」や、日本医科大学の「国産ロボット併用」という特色に対し、聖マリアンナ医科大学病院がどのように「後発ならではの質の高い医療」を打ち出すのでしょうか。